52 / 536
婚約者編
side佐古: クラス分け 1
しおりを挟む今日から学校が始まる。
クソ真面目なハルの荷物を持ってこいつの隣をゆっくり歩いてる俺なんて、一体誰が想像しただろうか。
入学式なんかサボるつもりだった。
クラス分けも見に行くつもりはなかった、なのに……
だが、こいつの隣にいるのも悪くないと思ってる自分がいる。
「ん~、ふふふっ、楽しみだねぇ佐古くんっ」
ふわふわ歩いてるこいつは、本当に楽しそうだ。
「あれっ、櫻さんいるよ。イロハたちも一緒にいる!」
前方を指さして「おはよーっ」と元気に挨拶する。
「あ、ハルたち来た!ハルー!佐古くんー!
おーはーよー!!」
「おはよう」
「おはようございます。小鳥遊くん、佐古くん」
「おはようっ、2人も出るの早いねー」
「ハルきっと早いと思って、先に待ち伏せしてた!そしたら櫻ちゃんいたから話してたんだよねぇ!」
一緒に学校行こ!
ぎゅっと丸雛に抱きつかれて、こいつは本当に嬉しそうだ。
「……ふふふっ」
「…? 櫻さん?」
何故か俺の方を見て、櫻さんが幸せそうに微笑んでいた。
「ーーいえ、私のカンは当たっていたな、と。
みなさん、制服よく似合ってますよ」
(カン?)
一体何のことだ? と櫻さんを見ても、ふふふと笑っているだけ。
「本当に? 櫻ちゃんありがとうー!
……って、佐古くんちゃんとボタン止めなさいー!ネクタイも!」
「あーうっせーうっせー。
服に関しては絶対ぇ直さねぇぞ」
なっ!なんで!? 今日は式典なんだよー!?
まぁまぁその辺にしといてあげなよイロハっ。
むー!ハル優しい!こういうのは初めが肝心なんですー!
俺の着崩し方にいちいち文句を言ってくる丸雛を軽くあしらって、先に歩く。
「あ、佐古くん待ってっ、行ってきます櫻さん」
「行ってきます」
「行ってきますーまたねー!」
後から3人がわいわい着いて来る。
チラリと後ろを振り返れば、幸せそうに見送ってる櫻さんがいて。
何故か胸がギュッとなって、
気恥ずかしさにあいつの重い鞄を持ち直した。
0
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
同室のイケメンに毎晩オカズにされる件
おみなしづき
BL
オカズといえば、美味しいご飯のお供でしょ?
それなのに、なんで俺がオカズにされてんだ⁉︎
毎晩って……いやいや、問題はそこじゃない。
段々と調子に乗ってくるあいつをどうにかしたいんです!
※がっつりR18です。予告はありません。
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
運命と運命の人【完結】
なこ
BL
ユアンには10歳のときに結ばれた婚約者がいる。政略でも婚約者とは互いに心を通わせ、3日後には婚姻の儀を控えていた。
しかし運命と出会ってしまった婚約者はそれに抗うこともできず、呆然とするユアンを前にその相手と番ってしまう。
傷ついたユアン、運命の番たち、その周りにいる人々の苦悩や再生の物語。
『孕み子』という設定のもとに書かれております。孕み子と呼ばれる男の子たちは、子どもを産むことができる、という、それぐらいの、ゆる~い設定です。
3章ぐらいまでは、文字数が少ないので、さくさく読めるかと思います。
R18シーンありますが、下手くそです。
長い話しになりそうなので、気長にお付き合いいただける方にお楽しみ頂ければと思います(◞‿◟)
*R18の回にRつけました。気になる方はお避け下さい。そんなに激しいものではありませんが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる