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心霊体験の話・エレベーター

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数年前、夏に起きた集中豪雨のさなか、仕事でとあるビルの8階へ上ろうとして一人でエレベーターに乗りました。
上り始めて5階の表示が出たちょうどその時、落雷が起き、エレベーターがストップしたのです。
真っ暗になり、スマホのライトだけが頼りになりました。
仕事の事務所に電話し、たぶん5階と6階の間で止まっていると伝えました。
非常ボタンで外に連絡しろ、自分もそこに行くからと言われました。
非常ボタンを何度も何度もたたいてようやく呼出音が鳴りだしました。
警備会社へつながって女性が出ました。
「どれくらい前から停電していますか?」と女性
「数分前くらいです。」と私。
「暑くないですか」と女性。
「遠隔で動作させる事が出来るのでしばらく待ってください。こちらからカメラで見えてるのですが、
一人じゃなくて良かったですね。」と言われた。
でもエレベーターに乗っているのは私一人。
半信半疑でエレベーター内のモニターに目をやると私の後ろの方にスーツ姿のやせ型の男性が映っていました。
びっくりして後ろを振り向きましたが肉眼では見えず。
何度もモニターと後ろを確認するのですが、やはりいる。怖くて体が震えるのを止められない。
するとふわっと冷たい感触がして、何かが私の方に来た感じがしました。
モニターを確認すると男性が私と被った状態で映ってました。
キャーと大きな声で叫びながら私は後ろ側の壁にもたれ座り込んでしまいました。
その様子を見て、警備会社の女性も霊的な存在を信じたようです。
恐怖のあまり大きな声で「タバコを吸っていいですかー」と怒鳴り、たばこを出したのですが、
手が震えてたばこに火が点けられません。
するとやっとエレベーターが動き出し、6階に着いてドアが開きました。
そこには消防・警察・事務所の人など数人がいました。
壁にもたれてしゃがみ込み、震える手でたばこを持ちながら汗だくの私を見て、
消防の人が「どうしたんですか」と聞いてきましたが、すぐには説明できません。
警察の人も警備会社の女性とモニター越しに話しを聞き、私が霊と二人きりで汗だくになっていたことをようやく理解したようでした。
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