上 下
1 / 1

心霊体験の話・きぬおばあさん

しおりを挟む
私は田舎ではよく散歩をしていた。
お散歩のときは、近くに住むきぬさんとよく会った。いつももふもふの犬を連れている。
中学から引っ越したが、年に何度か定期的に帰省していた。
きぬさんは私を見るといつも、「おお、おにっこが帰ってきた」と喜んでくれた。
おにっこ というのは、私の田舎の方言で、かわいい子 といった意味だ。
帰省から戻るときにもきぬさんにはあいさつしていた。
お盆はいつも帰っていたが、高校から帰らなくなった。しばらく帰っていなかったが、高校3年の時に久しぶりに帰った。
家の近くを歩いていたら、相変わらずきぬさんが歩いていた。だがその時はきぬさんが気づいてくれなかった。
その後、19歳で出産後、子供と帰った。
きぬさん宅にも行ったが留守だった。犬にだけ子供を見せた。
その時はきぬさんには、会えずじまいで帰った。
続けて第2子が出来たので、その次はまだ1、2歳の二人の子供を連れて田舎に帰った。
その時はきぬさんがいた。連れていた子供を見て、オデコを人差し指でつっつくようなおまじないをしてもらった。
翌年は第3子が出来た。出産が有ったのでその年は帰らなかった。
そこで翌々年に帰ったら、きぬさんは亡くなっていた。
空き家に行って子供を見せたら、ふわっと風が吹いた。
長女が保育園にはいると、「おばあちゃんの名前なに?」と聞いてきた。
きぬばあちゃんの夢を見たといった。
長女と次女は小学校になると、あのおまじないの夢を見たという。長女がオデコに指をあてる真似をした。
夢の中で「おにっこ」とか「きぬさん」とかの名前や家の様子を見たと言った。
その様子は、私の記憶と一致していた。まだ1,2歳の頃のことで、覚えているとはとても思えなかったのだが。
その夢は毎年見るらしく、今年もその夢を見たと言っていた。
今も行くと歩いているのを感じる。声をかけると答えてくれる気がする。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

短な恐怖(怖い話 短編集)

邪神 白猫
ホラー
怪談・怖い話・不思議な話のオムニバス。 ゾクッと怖い話から、ちょっぴり切ない話まで。 なかには意味怖的なお話も。 ※完結としますが、追加次第更新中※ YouTubeにて、怪談・怖い話の朗読公開中📕 https://youtube.com/@yuachanRio

実体験したオカルト話する

鳳月 眠人
ホラー
夏なのでちょっとしたオカルト話。 どれも、脚色なしの実話です。 ※期間限定再公開

螺旋の操り人形

角砂糖
ホラー
ある日のこと。蛍(けい)はふと考えた。 「この世界って、本当に、本物なのかな…?」 考えても終わりが見つからない考え事の末、蛍が辿り着いた真実とは...? 少しミステリー要素含みます。

心の悪魔は真夜中に呟く…

ゆきもと けい
ホラー
まるで路地裏の公衆電話のように、誰にも気づかれない店がある。夜に現れるというその店は、ある条件を満たした者だけが見つけることができる。その条件とはいったい何か…その店を見つけた者はどうするのか…最後はどいう結末になるのか…5話完結です。読んで頂けたら幸いです。

社宅

ジョン・グレイディー
ホラー
 寂れた社宅  3連列の棟に形成された大規模な敷地  両脇の2連の棟は廃墟となり、窓ガラスには板が打ち付けられ、黒いビニールシートで覆われている。  ある家族がこの社宅の5号棟に引っ越して来た。  初めての経験  初めての恐怖  どこまでも続く憎しみ  怨霊に満ちた呪縛  ほぼ実話に基づく心霊現象を描くホラー小説

真夜中の学校

ビッグバン
ホラー
ある夏の日、ロボット開発部に所属している奥田は10月に開かれるロボットコンテストに参加するため学校で部員達と合宿を行っていた。ある日、深夜まで活動していた奥田達は夜間警備員の人に気付かれず鍵をかけられ、学校の中に閉じ込められてしまった。そんななか、誰もいないはずの校内から何かがうごめき出し、

『盆綱引き』

篠崎俊樹
ホラー
福岡県朝倉市比良松を舞台に据えた、ホラー小説です。時代設定は、今から5年前という設定です。第6回ホラー・ミステリー小説大賞にエントリーいたします。大賞を狙いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

書簡体小説集、綴

穏人(シズヒト)
ホラー
書簡体(手紙の体裁を取った小説)が多くなりそうなので、投稿先をひとつにまとめ、思い付いたら適宜更新してみることにしました。既に掲載している「穴の中より」については、しばらくは今の状態のままにしておこうと思います。ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。

処理中です...