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第二章 ゴーストケット編
プロローグ 雪山にて
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雪深い山奥に、二人の男が立っていた。
雪混じりの風がビュウビュウと激しく吹き荒れる中、分厚いもこもこのジャンパーを着込んだ小柄な初老の男が一歩、前へと歩み出る。しかし、二人の男の数歩先は断崖絶壁で、初老の男も、それ以上先に進もうとはしかなかった。
「……こりゃあ、参ったわい」
わざとらしい動作で、男はつるつるの頭の上に手を置いた。
数時間前まではそこに、一つのテントがあったのだ。
とても、大切なものが中に入ったテントだった。
「まさか、たった数時間離れていた間に雪崩が起こり、こんな場所まで押し流されるとはのう。……奴らの目に触れんよう、山に隠しておいたことが裏目に出たようじゃ」
小柄な男はその場にしゃがみ込み、軽く雪をなでると、後ろの男を振り返った。
「緊急事態じゃ。これではアジトへ帰還することもできん。いよいよ…………下げたくない頭を下げてでも、あの小僧(リュウ)に連絡を取るしかないようじゃのう」
その男とは対照的に、もう一人の筋肉質で大柄な男は無言だった。雪に紛れるような白いコートを着込み、ただ黙って、何もない白い大地を見つめている。
「…………」
その男はいかつい、小さい子どもであれば見ただけで泣いてしまいそうなほど恐ろしい顔をしていたが、決して怒っているわけではない。生まれ付き、そういう顔をしているだけだった。
男は腕を組み、じっと考え込む。
小柄な男はそれを見て、声を上げて笑った。
「ハハハッ、PPP第一攻撃部隊隊長も、これでは形なしじゃのう」
その声をかき消すかのように、雪と風はさらに勢いを強めていった。
雪混じりの風がビュウビュウと激しく吹き荒れる中、分厚いもこもこのジャンパーを着込んだ小柄な初老の男が一歩、前へと歩み出る。しかし、二人の男の数歩先は断崖絶壁で、初老の男も、それ以上先に進もうとはしかなかった。
「……こりゃあ、参ったわい」
わざとらしい動作で、男はつるつるの頭の上に手を置いた。
数時間前まではそこに、一つのテントがあったのだ。
とても、大切なものが中に入ったテントだった。
「まさか、たった数時間離れていた間に雪崩が起こり、こんな場所まで押し流されるとはのう。……奴らの目に触れんよう、山に隠しておいたことが裏目に出たようじゃ」
小柄な男はその場にしゃがみ込み、軽く雪をなでると、後ろの男を振り返った。
「緊急事態じゃ。これではアジトへ帰還することもできん。いよいよ…………下げたくない頭を下げてでも、あの小僧(リュウ)に連絡を取るしかないようじゃのう」
その男とは対照的に、もう一人の筋肉質で大柄な男は無言だった。雪に紛れるような白いコートを着込み、ただ黙って、何もない白い大地を見つめている。
「…………」
その男はいかつい、小さい子どもであれば見ただけで泣いてしまいそうなほど恐ろしい顔をしていたが、決して怒っているわけではない。生まれ付き、そういう顔をしているだけだった。
男は腕を組み、じっと考え込む。
小柄な男はそれを見て、声を上げて笑った。
「ハハハッ、PPP第一攻撃部隊隊長も、これでは形なしじゃのう」
その声をかき消すかのように、雪と風はさらに勢いを強めていった。
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