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6章 学園
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しおりを挟む例の公爵はこの後しばらくこの国に留まるということで、いろいろと観光名所を巡るらしい。国の要所にはいかない、と。そういえば、聞いた話だと、実はあの公爵を迎え入れるために国境、つまりカーボ辺境伯領まで国の迎えをやっていたらしい。そういえば、兄上の結婚式が迫っているのに、父上が何か忙しくしていたような? そのあたりの憂いがないように、僕たちに皇国からの使者が会わないで済むように、と頑張っていたようだ。
厚かましくも、辺境伯騎士団の視察をしたいとも言っていたらしいが、それはもちろん断った。誰がこちらの手の内を見せるものか。しかも、それをひょうひょうとした態度で行ってきたらしい。本当に厄介な奴。
ちなみにこの辺りの情報源はシントです。
そんなごたごたで大人たちが忙しい中、今日は僕らの学園初日。真新しい制服に身を包み、姉上と馬車に乗り込む。一番上の学年から、一番下の学年まで、同じところで学ぶため、建物も一つ。ということで、一緒に行けるのだ。
「ふふ、アランが制服を着ているなんて本当に不思議」
「そうですね。
自分でもなかなか違和感あります」
「わたくし、真ん中で本当によかったですわ。
兄上とも、そしてアランともこうして一緒に学園に行けるのですもの」
楽しそうにほほ笑む姉上に、僕も自然と嬉しくなる。正直学園なんて行ったことがないから、多少は緊張しているのだ。でも、きっとどうにかなるはず!
そうこうしているうちに馬車は学園へと到着した。
門を通り過ぎて、馬車から降りる。クラスについては事前に連絡をもらっていて、今日はそのまま教室に向かえばいいらしい。ちなみに僕はAクラス。他にどんな人がいるのかはわからない。
基本はあの視察であったことがある人だろうから、初めて会うのは特別入試で入ってきた一般の人くらいかな?
クラスが間違っていないことを何度も確認して、緊張のまま教室の扉を開ける。そこにはもう何人かが来ていた。あっ!
「シント、殿下!」
「アラン!
よかった、同じクラスだったんだね」
「はい。
よかった、シント殿下がいるなら安心だ」
「それはこっちのセリフだけれど……。
それにしても、ここにいる間はアランに殿下って呼ばれないといけないのか」
「それは我慢してよ。
怒られるの僕だし」
わかってる、というシント。まあ、僕としても今まで通り呼びたかったけどさ。ここはもう公の場なんだ。仕方ない。
シントと会話をしている間にも、続々と人が入ってくる。やっぱり見たことがある人ばかりだ。まあ、すべての領地を巡って、なおかつまだ各領学校にも入る前だからほとんど家にいる。交流する機会があるのは当然のことだよね。
「あ、シェリー」
「本当だ。
まさかここで固めてくるとは」
「まあ、気楽ではあるけれどさ」
シャーロット嬢もこちらに気が付いたようで、ほほえみながらこちらに手を振っている。デザインを変えることが許されていないこの学園では、みんなが同一デザインの制服を着ている。にもかかわらず、シャーロット嬢は明らかにほかのご令嬢とは違っていた。なんというか、オーラが違うのだ。
もしかしたらシントも違うのかもしれないが、一緒にいすぎて正直よくわからない。そしてシャーロット嬢も合流して三人で話していると、いつの間にか時間が経っていたようだ。鐘の音がなる。それから少しして先生と思わしき男性が入ってくる。思っていたよりも若い先生だ。
「えーっと、ほとんど揃ってますね。
はい、私がこのクラスの担任になります、リーケトルエン・ミズフェと申します。
よろしくお願いいたします」
担任……。こんな若いのに、なんだかめんどくさそうなこのクラスの担任。困らせないように頑張ろう。
「それでは、君たちのクラスメイトになる子たちを紹介しますね」
あれ? 僕らはここに直接集合だったんだけれど、先生から直接紹介? そんな疑問は入ってきた人たちの自己紹介で解消された。
入ってきたのは男子が二名。二人とも僕たちと同じ真新しい制服を着ている。
「は、初めまして!
オシンと言います。
これからよろしくお願いします!」
「あ、え、え、っと。
キラって、言います。
よろしく、お願いします……」
おお、全然違う性格なのはよくわかった。それにしても、なるほど。家名を言わなかったということは、この人たちが今回の特別入試による入学生なのだろう。
「よろしくね、オシン、キラ」
王太子たるシントによる歓迎の言葉に、周りも同様に歓迎の言葉を口にする。これで何とかこのクラスになじんでくれればいいのだが。
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※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
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