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五章 学園生活 1‐1

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「さて、今日はこれくらいかな……。
 んじゃあ、明日の確認をさらりとして帰りますか」

 こんなに軽い感じで大丈夫か? 不安にはなるが、まあ大丈夫だろう。

「明日は今日と同じ時間に来てくれ。
 それで、明日は校内を案内する。
 後は、来てからのお楽しみだ」

 ニヤリと笑うアベ先生。
 嫌な予感しかしない……。
 隣のルカさ、んも思わず苦笑いをしている。
 うーん、頑張って普通に呼べるようにしなくては……。
 ルカさん、ルカさん、ルカさん、よし!
 
「じゃあ、帰りますか。
 お疲れさま~」

 そう言うと、アベ先生はさっさと教室を出ていってしまう。
 今のが帰りの挨拶ですか……。
 もう、気にしない方が楽そうだ。
 
「では、帰りましょうか」

 荷物を手早くまとめると、ルカさんは立ち上がった。
 準備が早い!  
 慌てて、帰る準備をしたところで、今朝兄に教室で待っていてと言われたことを思い出した。
 
「行きませんか?」

「あ、あの、兄様とここで待ち合わせをしているので……」

「仲がよろしいですね。
 では、また明日」

 ルカさんはくすくすと笑いながら教室を出ていった。
 なんだろう。
 なんだか恥ずかしい……。

「あの、オリベルトさん!!!」

 勢いよく声をかけられ振り返った先には、三つ編みお下げの女の子。
 目がくりくりとしていて可愛い。
 顔を真っ赤にしているその子を前に、どうしたら良いかわからず、思わず固まってしまった。
 確か、この子は自己紹介のときも席で固まっていたような……。

「はい、なんですか?」 

「あ、あの、その。
 私から声をかけるのは良くないとは思うけど……。  
 な、仲良くしてくれたら嬉しいなって……」
 
 この反応からして、この子は多分平民の子なのだろう。
 まあ、そんなの関係ないけどね!

「うん、もちろんだよ!
 えっと、名前を教えてもらってもいい?」

「カンナ、です。
 カンナ・ベルク。
 よ、よろしくお願いします」

 ふわっと笑ったベルクさんは、とても可愛い。
 まだ頬は赤いけど、緊張はほぐれてきたみたいでよかった。

「あの、アーネミリアちゃんって呼んで良い……?」

「アーネ、でいいよ。
 じゃあ、カンナちゃんでいいかな?」

「あ、ありがとう!
 うん、そう呼んでくれると嬉しい……」

 カンナちゃん、思わず抱きしめたくなるほど可愛い……!!
 お友達になれて嬉しいな。

 じゃあ、また明日、と言ってほかほかした気持ちのまま私は教室を出た。
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