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五章 学園生活 1‐1

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「まあ、説明はこんなところか。
 とりあえず、休憩はさもうか」

 アベ先生の一言に、ようやく肩の力が抜けた。
 一気に話されすぎて、もう手がいたい。

「あら、やっと休憩ですね。 
 思っていたより、情報が多くて……」

 ふう、と息をついたルカ様の手元をちらっと覗くと、綺麗に整った文字が見えた。
 あのスピードで書いてこれですか!?
 すごいな。
 
「どのような先生方が教えてくださるのでしょう?
 今から楽しみですわ」

 瞳を輝かせて言うルカ様。
 本当に楽しみにしているんだな。
 早くも少し面倒かも?と思い始めていた私は、きっとこの様子を見習わなければいけないのだろう……。

「そうですね。
 授業は全て皆さんと受けるようですし、ルカ様とも一緒ですね。
 楽しみです」

 私の言葉を聞いて、きょとんとしたようにルカ様はこちらを見た。
 なんか変なこと言ったかな?

「そのように言っていただけるのは嬉しいですわ。
 ……、前々から言おうと考えていたのですけど、『様』を私につける必要はありませんわ。
 アーネさんは友人なのですから」

 今度は私固まった。
 現在も王が国を治めるこの国では、王族は特別だ。
 その最も濃い血を受け継ぐルカ様に『様』をつけなくて良いと言われた。
 日本の記憶がある私にとっては喜ばしい申し出だが、本当にいいのだろうかと不安になってしまう。

「アーネさん?
 どうぞ、好きに呼んでください」

 むむっ、としながらこちらを見るルカ様は可愛い……。
 じゃなくて、えっと、『様』をつけるかどうか、だよね。
 でも、本人がいいと言うなら。

「ルカ、さん?」

 おずおずとつぶやいた私に、ルカ様は嬉しそうに微笑んだ。
 
「はい。
 本当はルカ、と呼んでいただいてもかまわないのですが、私もアーネさんと呼んでいますしね……。
 それは、いずれ」

 この笑顔には敵わない……。
 私には、はい、と返事をするほかない。

「食べますか?」

 前に差し出されたのは、包まれた一口サイズの何か。
 言い方的に食べ物だろう。

「はい、いただきます」

 ありがたくいただいて、包みを開くと茶色いものが入っていた。
 チョコだ!
 さっそく、口に入れると、上品な甘さが口に広がる。

「おいしいです!
 ありがとうございます」

「お口にあったようでよかったですわ」

 ほわほわとした気持ちになっていると、先生が始めるぞ!と声をかけた。
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