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三章 いざ、入試へ!

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「わぁ!」

 食堂に入った途端、私は思わず声をあげてしまった。
 想像していたよりも、豪華で綺麗に盛り付けられた料理は食べるのがもったいないほどだ。

「お待ちしておりました、皆様方。
 今宵はアーネミリア様の合格を祝したものをお作りしました。
 食後には、デザートもご用意しましたので、どうぞ最後までお楽しみください」

 料理長の挨拶のあとに、父様が食べよう、と声をかける。
 兄様や母様が食べ始めたのを見て、私も目の前のものを口へ入れていく。
 うん、おいしい。

 談笑しながらもたべすすめていると、あっという間に完食してしまった。
 そのタイミングを見はからって、使用人達がデザートを運んできてくれた。
 デザートはこの国でお祝いごとがあるとよく食べられているもの。
 濃厚なチョコケーキみないなものの上に、ふんだんに季節のフルーツをのせたもの。
 これがとってもおいしい。
 皆のまえに置かれたのを見はからって、お父様が口を開いた。

「改めて、合格おめでとう、アーネミリア。
 先程話した結果、アーネミリアは魔法特進科に入学することになった」

「あら、確かにアーネにはそれが良いかもしれませんね」

「アーネが魔法特進科に入るのなら、あまり一緒にいられないのですね……」

 兄様はがっかりしたようにそう言った。
 何をしたかったのでしょうか?

「フルト、もともとあなたは中等科に進学するのだから、初等科に入学するアーネとはもともと違うじゃない」

「んー、じゃあ、お昼はこんど一緒に食べようね。
 食堂は初等科も中等科も一緒だし」

 はい!と答えると、兄様は嬉しそうに笑った。

「そうだ、こんど制服を作りに行こうね!
 アーネなら絶対に受かると思っていたから、待っていたんだ」

「制服楽しみです!」

 にこにこと笑っている私たちに、両親も嬉しそうにしている。

「そういえば、フルトの12歳の誕生祭のこともそろそろ考えなくてはな」

 その一言に兄様はかたまった。
 兄様は誕生祭をやるのがどうやら嫌なようで……。

 この世界では、基本的には毎年誕生日を祝うわけではない。
 家族内でおめでとう、と言う程度だ。
 貴族にとって大切なのは、12歳と18歳の2つの誕生日。
 その二つのタイミングのみ、誕生祭といって外部の人を招いた大規模のパーティーをやる。
 12歳というのはこの国では、婚約者をもっていい年であり、婚約したいものがいればその人にアピールする場であり、特にいないものにとっては周りに自分の子供を紹介する場となる。
 まあ、その前でも口約束はできるけど。

 18歳の誕生日は成人になるため、盛大に祝う。

 ちなみに、12歳の誕生日の前は基本的にはパーティーに参加することはなく、誕生祭が社交界デビューのようなものらしい。
 まあ、兄弟の誕生祭には参加するので、私も一応リュラも兄様の誕生祭は参加します。
 私は楽しみなんだけどな。

「そんな嫌そうな顔しないの。
 おめでたいことなんだから」

「そうですよ、兄様。
 私はとても楽しみにしていますよ?」

 うっと言う顔をした兄様。
 ありゃ、困らせちゃったかな?

「まあ、ちゃんとやるけどさ」

「制服を作りにいくついでに誕生祭の衣装も作ってはどうだ。
 なるべく早いほうがいいだろう」

「そうですね、ならば明後日にも行ってきたらどうですか?」

 お母様のひと言で、明後日に制服を作りに行くことが決まった。
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