180 / 261
十章 新学期
179
しおりを挟む
うーん、先生は無理に来なくてもいいと言ってくれたけど今日はまだはやい時間だしやっぱり寄っていこう。
そう決めると私はいつもの教室へと足を向けた。
「こんにちは~」
ドアを開けてそういうとすぐに先生が顔を出した。
その顔は少し驚いているようだ。
「おや、今日も来られたんですね」
「生徒会の方が早々に終わったものでして」
そうでしたか、と納得するとさっそく昨日の続きをしようということになった。
今日はまた違う魔法陣を覚えていく。
「それにしてもさすがですね。
ほかの方ですと一日で覚えられる魔法陣の数はとても限られているんですけど……」
そういってちらりとこちらの方を見る先生。
ちなみに今手をかざしているこの魔法陣、今日10コ目でしょうか。
まだ余裕がありそうだし、いいのならまだ覚えておきたいくらいだ。
「まだ余裕そうですね。
ここに流しているのはれっきとした魔力なので、多くはできないはずなんです。
まあ、あなたの魔力量が桁外れなのは知っていましたので当然と言えば当然かもしれませんがね」
はぁ、とため息をつきそうな先生を見てまたやらかしたか? と内心冷や汗をかいていると、先生はもう一度さすがです、と口にする。
これはどっちだ?
「でも、今日はこれくらいにしておきましょう。
魔力は大丈夫でも、精神力はきついでしょうから」
そういうとお菓子でも食べますか、とおいしそうなクッキーを出してきてくれた。
確かに疲れていたからこのタイミングでの甘いものはとても嬉しい。
「いただきます」
うん、おいしい。
サクサクとしていているけど、決してぱさぱさしていない。
それにほんのり果物の味がするのもいい。
これはどこのお菓子なんだろう。
「これはどこのお菓子ですか?」
「お恥ずかしながら、私が作ったものなんです」
アハハ、と気まずそうに先生はそう告げてくる。
なんですと!?
これが先生の手作り……。
なんというか、負けた気がします。
「お口に合わなかったでしょうか?」
「いえ!
とてもおいしいです」
それは良かった、と先生は嬉しそうに笑う。
料理はとてもおいしかったけど、お菓子も作れるのか……。
びっくりしながらもクッキーをいただいていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
先生がどうぞ、と返事をすると入ってきたのは兄様だった。
「こっちにいたんだね、アーネ。
まだかかるかい?」
「いえ、もう帰ろうかとしていたところです」
なんというちょうどいいタイミングなんだ。
じゃあ帰ろうか、と兄様が私の手を取る。
いつの間にか荷物も兄様が持っていた。
恐るべし……。
「ではまた」
先生に見送られて私たちは教室を後にした。
そう決めると私はいつもの教室へと足を向けた。
「こんにちは~」
ドアを開けてそういうとすぐに先生が顔を出した。
その顔は少し驚いているようだ。
「おや、今日も来られたんですね」
「生徒会の方が早々に終わったものでして」
そうでしたか、と納得するとさっそく昨日の続きをしようということになった。
今日はまた違う魔法陣を覚えていく。
「それにしてもさすがですね。
ほかの方ですと一日で覚えられる魔法陣の数はとても限られているんですけど……」
そういってちらりとこちらの方を見る先生。
ちなみに今手をかざしているこの魔法陣、今日10コ目でしょうか。
まだ余裕がありそうだし、いいのならまだ覚えておきたいくらいだ。
「まだ余裕そうですね。
ここに流しているのはれっきとした魔力なので、多くはできないはずなんです。
まあ、あなたの魔力量が桁外れなのは知っていましたので当然と言えば当然かもしれませんがね」
はぁ、とため息をつきそうな先生を見てまたやらかしたか? と内心冷や汗をかいていると、先生はもう一度さすがです、と口にする。
これはどっちだ?
「でも、今日はこれくらいにしておきましょう。
魔力は大丈夫でも、精神力はきついでしょうから」
そういうとお菓子でも食べますか、とおいしそうなクッキーを出してきてくれた。
確かに疲れていたからこのタイミングでの甘いものはとても嬉しい。
「いただきます」
うん、おいしい。
サクサクとしていているけど、決してぱさぱさしていない。
それにほんのり果物の味がするのもいい。
これはどこのお菓子なんだろう。
「これはどこのお菓子ですか?」
「お恥ずかしながら、私が作ったものなんです」
アハハ、と気まずそうに先生はそう告げてくる。
なんですと!?
これが先生の手作り……。
なんというか、負けた気がします。
「お口に合わなかったでしょうか?」
「いえ!
とてもおいしいです」
それは良かった、と先生は嬉しそうに笑う。
料理はとてもおいしかったけど、お菓子も作れるのか……。
びっくりしながらもクッキーをいただいていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
先生がどうぞ、と返事をすると入ってきたのは兄様だった。
「こっちにいたんだね、アーネ。
まだかかるかい?」
「いえ、もう帰ろうかとしていたところです」
なんというちょうどいいタイミングなんだ。
じゃあ帰ろうか、と兄様が私の手を取る。
いつの間にか荷物も兄様が持っていた。
恐るべし……。
「ではまた」
先生に見送られて私たちは教室を後にした。
1
お気に入りに追加
253
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる