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九章 初めての夏休み
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ここでの滞在日も残るところあと二日。
明日にはここを出るのだ。
大体二週間いたけれど、本当に毎日楽しかった。
ここは王都と違って自然豊かで、そこにはもちろん生き物も生息してる。
ヴィートが結構詳しかったおかげでいろいろと知ることもあった。
「本当に明日帰ってしまうのですか?」
瞳をうるうるとさせてヴィートがそういってくる。
うっ、そんな顔をしないでくれ……。
「ええ。
お兄様もお忙しい方ですから、もう帰らないと……」
そう伝えると、ヴィートはうっと下を向く。
きっとわかってはいるけど寂しいのかな?
「ヴィート、アーネさんを困らせてはいけませんよ」
近くにいた叔母様が助け舟を出してくれる。
私だって寂しいし、帰りたくないけど!
けどルカさんとも約束しているから帰らないといけないんだよな……・
「ヴィートがここまでなつくとはな。
でも、本当に楽しかったからフルトとアーネが帰ってしまうのは寂しいな」
「本当に……。
私に娘はいませんでしたし、息子も一人増えたようで楽しかったですわ」
ああ、なんだかしんみりしちゃった。
この空気はどうにかしたい。
「そ、そんなに落ち込まないでください。
帰るのは明日なのですから、今日は遊びましょう!」
「そうそう、アーネの言うとおりだよ。
さあ、何をして遊ぶ?」
私の言葉に兄様も乗ってきてくれたおかげで何とか気持ちの切り替えができたようだ。
そのあと、みんなで庭を回って、お兄様方が試合をしているのを応援して……。
午前中の間でとても楽しい時間を過ごした。
でも、そうして動いていたからかお昼を過ぎたあたりにとても眠くなってしまった。
うとうとしていると、それに目ざとく気が付いたお兄様の指示によってお昼寝をすることに。
ちなみにヴィートも同様だ。
そして、フィリカとリアンカに声をかけられて目を覚ますことになった。
「起こしてしまい申し訳ありません。
ですが、そろそろ準備を、と思いまして」
申し訳なさそうにそう伝えてくる。
起こされたのは全然かまわないんだけどな。
それにしても何の準備……?
もしかして帰る準備か!
家を出る時に、荷物をつめるのもあんなに大変だったのだ。
これはのんびりしすぎたかな?
「は、はい!
すぐにやりましょう。
何から詰めますか?」
「詰める……?」
あれ?なんで二人は不思議そうな顔をしているのだろう。
荷物をつめなきゃ、っていう話じゃないの?
クエスチョンマークがお互いに浮かんでいる。
だが、それも短い時間だった。
「もしかして、お帰りになられる仕度のことをおっしゃっているのですか?
それでしたら私共で行いますので、ご心配なさらないでください」
これは私が何か勘違いをしていた?
自分のことなのにまかせてしまっていいのか迷ったが、ドレスの正しい畳型の一つすら知らない私が手伝うと言ったところで邪魔になるだけだろうとお任せすることにした。
じゃあ、二人が言っていたのは何の準備のことなんだろうか?
明日にはここを出るのだ。
大体二週間いたけれど、本当に毎日楽しかった。
ここは王都と違って自然豊かで、そこにはもちろん生き物も生息してる。
ヴィートが結構詳しかったおかげでいろいろと知ることもあった。
「本当に明日帰ってしまうのですか?」
瞳をうるうるとさせてヴィートがそういってくる。
うっ、そんな顔をしないでくれ……。
「ええ。
お兄様もお忙しい方ですから、もう帰らないと……」
そう伝えると、ヴィートはうっと下を向く。
きっとわかってはいるけど寂しいのかな?
「ヴィート、アーネさんを困らせてはいけませんよ」
近くにいた叔母様が助け舟を出してくれる。
私だって寂しいし、帰りたくないけど!
けどルカさんとも約束しているから帰らないといけないんだよな……・
「ヴィートがここまでなつくとはな。
でも、本当に楽しかったからフルトとアーネが帰ってしまうのは寂しいな」
「本当に……。
私に娘はいませんでしたし、息子も一人増えたようで楽しかったですわ」
ああ、なんだかしんみりしちゃった。
この空気はどうにかしたい。
「そ、そんなに落ち込まないでください。
帰るのは明日なのですから、今日は遊びましょう!」
「そうそう、アーネの言うとおりだよ。
さあ、何をして遊ぶ?」
私の言葉に兄様も乗ってきてくれたおかげで何とか気持ちの切り替えができたようだ。
そのあと、みんなで庭を回って、お兄様方が試合をしているのを応援して……。
午前中の間でとても楽しい時間を過ごした。
でも、そうして動いていたからかお昼を過ぎたあたりにとても眠くなってしまった。
うとうとしていると、それに目ざとく気が付いたお兄様の指示によってお昼寝をすることに。
ちなみにヴィートも同様だ。
そして、フィリカとリアンカに声をかけられて目を覚ますことになった。
「起こしてしまい申し訳ありません。
ですが、そろそろ準備を、と思いまして」
申し訳なさそうにそう伝えてくる。
起こされたのは全然かまわないんだけどな。
それにしても何の準備……?
もしかして帰る準備か!
家を出る時に、荷物をつめるのもあんなに大変だったのだ。
これはのんびりしすぎたかな?
「は、はい!
すぐにやりましょう。
何から詰めますか?」
「詰める……?」
あれ?なんで二人は不思議そうな顔をしているのだろう。
荷物をつめなきゃ、っていう話じゃないの?
クエスチョンマークがお互いに浮かんでいる。
だが、それも短い時間だった。
「もしかして、お帰りになられる仕度のことをおっしゃっているのですか?
それでしたら私共で行いますので、ご心配なさらないでください」
これは私が何か勘違いをしていた?
自分のことなのにまかせてしまっていいのか迷ったが、ドレスの正しい畳型の一つすら知らない私が手伝うと言ったところで邪魔になるだけだろうとお任せすることにした。
じゃあ、二人が言っていたのは何の準備のことなんだろうか?
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