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九章 初めての夏休み

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 テラスへと行くと、言っていたとおり叔母様たちが待っていらした。
 席にはヴィートもいるな。
 兄様とシアン兄様はいないし、お茶はこの三人でかな?

「いらっしゃい、アーネさん」

「お招きありがとうございます。
 これは……、なんの菓子ですか?」

 テーブルに置かれていたのは見慣れないお菓子。
 紅茶、はいつも通りとして中心には大きなボウルのようなきれいなお皿に、ドロッとした感じの茶色の中にフルーツとかが見える。

「この辺りではよく見かけるものなんですよ。
 食べてみてくださいな」

 叔母様がそういうとリアンカがさっと取り分けてくれた。
 やっぱりこれは取り分けながら食べるものだよね。
 ちなみに紅茶はフィリカが入れてくれた。


 そーっと口に運んでみる。
 その様子を皆にじっと見られてなんだか食べづらい……。

「おいしい……」

 このドロッとしたのは結構甘め。
 味は……、あんこに似ているんのかな?
 そこに少し酸味のあるフルーツがよく合う。
 紅茶にも確かに合う。


「それは良かったわ!
 遠慮せずにどんどん食べてね」

「お、おいしいです、よね。
 僕も大好き、なんです」

「はい!
 ありがとうございます」

 紅茶もお菓子もおいしいし、これは太らないように気を付けないとな……。
 ふと横を見ると、テラスの前一面に広がる庭は手入れが行き届いていてとても綺麗だった。
 夏の花々が咲き乱れている。

「とてもきれいですね」

「庭、ですか……? 
 庭師の方が、一年いつでもきれいな花を見れるようにしてくださっているんです!」

 おずおずとした様子で話していたヴィートの表情がとても明るくなる。
 とてもこの庭のことが好きなんだなと伝わってくる。
 
「ヴィートはここから見る景色が気に入っているんです。
 庭師に伝えておきますね。
 きっと喜んでくれるでしょう」

 そのあとは三人で雑談しながら、庭とお茶を楽しんだ。
 話しているうちにヴィートも私に慣れてくれたようで、はっきりと話してくれるようになったのは結構嬉しい。
 
「ヴィートは来年からどこの学校へ通うのですか?」

「僕は、兄様と同じエブストン校へ通う予定です。
 試験に合格したら、ですが……」

 エブストン……。
 確かそこもなかなかな名門校だったはず。
 そこならここからも通えるかな。

「試験、頑張ってくださいね!」

「はい!」

 そうしてお茶を楽しんでいると、そこに兄様とシアン兄様がやってきた。
 なんだか汗をかかれている?


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