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最終章
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移動は成功した。
先ほど見た洞窟の入り口がすぐそこに見える。気を失いそうになるほどの闇に、私は慌てて聖魔法を身にまとった。
慎重に歩を進めると、奥にやはり未だ聖剣が刺さったままの破壊神の姿があった。それを視界に入れたとたん、激しく震える体を叱咤して私は恐る恐る近づく。
本当は今すぐ逃げたいくらいこわかった。前世ではカルベアが居てくれけど、今は一人。
自分がやらなくてはいけないというプレッシャーから足が止まりそうになった。
その時、先ほどカルベアが分けてくれた力を感じた。それはまるで勇気をくれるみたいだった。
一度深呼吸をしてから、もう一度破壊神に近づいていく。近づくとよくわかるのだが、聖剣はかろうじて刺さっている状態だった。本当にいつ抜けてもおかしくなかったその状況に、ぞっとする。
そして聖剣に手をかけると破壊神は大きくびくり、と動いた。恐怖から離しそうになる手を必死に抑えて、一気に自分の中にある聖心力を聖剣へと注ぎ込んだ。
はやく、はやく消し去りたい。その一心で力を込めていくが、どんどんと力は持って行かれる。
やがて破壊神は断末魔を上げるとだんだんと体が灰になっていく。倒すことができたのか、と手を放しそうになるがそこはぐっとこらえた。
そして、破壊神は一分もしないうちに全身が灰となった。
ああ、これでようやく終わったのだと気が抜ける。最後は思っていたよりもあっけなかった。
破壊神が復活しようとしている、そう聞いたときはもっと元気になっているのかと思っていたが、ただ枷がとれるという話だったみたい。そしてこの剣はこの長いときをかけて確実にこの破壊神の力を削っていてくれたのだ。
へたり込んだ私は、自分の中の魔力が尽きそうなことがわかっていた。
それでも、最後はできることなら。できることならもう一度家族のもとへ帰りたい。
わずかに残った魔力を使い、私は我が家へと移動した。
先ほど見た洞窟の入り口がすぐそこに見える。気を失いそうになるほどの闇に、私は慌てて聖魔法を身にまとった。
慎重に歩を進めると、奥にやはり未だ聖剣が刺さったままの破壊神の姿があった。それを視界に入れたとたん、激しく震える体を叱咤して私は恐る恐る近づく。
本当は今すぐ逃げたいくらいこわかった。前世ではカルベアが居てくれけど、今は一人。
自分がやらなくてはいけないというプレッシャーから足が止まりそうになった。
その時、先ほどカルベアが分けてくれた力を感じた。それはまるで勇気をくれるみたいだった。
一度深呼吸をしてから、もう一度破壊神に近づいていく。近づくとよくわかるのだが、聖剣はかろうじて刺さっている状態だった。本当にいつ抜けてもおかしくなかったその状況に、ぞっとする。
そして聖剣に手をかけると破壊神は大きくびくり、と動いた。恐怖から離しそうになる手を必死に抑えて、一気に自分の中にある聖心力を聖剣へと注ぎ込んだ。
はやく、はやく消し去りたい。その一心で力を込めていくが、どんどんと力は持って行かれる。
やがて破壊神は断末魔を上げるとだんだんと体が灰になっていく。倒すことができたのか、と手を放しそうになるがそこはぐっとこらえた。
そして、破壊神は一分もしないうちに全身が灰となった。
ああ、これでようやく終わったのだと気が抜ける。最後は思っていたよりもあっけなかった。
破壊神が復活しようとしている、そう聞いたときはもっと元気になっているのかと思っていたが、ただ枷がとれるという話だったみたい。そしてこの剣はこの長いときをかけて確実にこの破壊神の力を削っていてくれたのだ。
へたり込んだ私は、自分の中の魔力が尽きそうなことがわかっていた。
それでも、最後はできることなら。できることならもう一度家族のもとへ帰りたい。
わずかに残った魔力を使い、私は我が家へと移動した。
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