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最終章
254 リディアとカルベア 11
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『ああ、尊き魂を持つもの、リディア。
そなたは楽園での生も終えたのだな。
転生はどうしようか。
今、そなたが地上に降りては人々はきっと自分で歩むのをやめてしまう』
私はまた、魂の最初の記憶の場所へ来ていた。そして目の前には創造神。
これはきっと地上へと降りる前に通る場所なのだろう。
「どうして、ですか?」
『人々は未だ歩み始めたばかり。
そのものらにとっては聖心力は偉大過ぎるのだ。
しかしこのままというわけにもいくまい』
創造神はそういうと考え込む。そんなにも難しい問題なのだろうか。
『おお、そうだ。
少し待っとれ』
何かを思いついたのか、ぱっと表情を明るくすると創造神はどこかへと消えてしまった。
そしてしばらくすると晴れ晴れとした表情で戻ってきた。
『そなたの転生先が見つかった。
それにあたり、今までの記憶は封印をさせてもらうからの』
伸ばしてきた手に頭を触られると、強い衝撃が走った。
そしてそのまま意識を手放した。
次に目覚めた先は、日本という場所だった。そこではすべてを忘れ、華原愛音として生を受け、生きていた。
充実した日々の中、突然ランスが現れるまでは。
どうやら、カルベアたちはずっと探していたようだった。楽園での生を終え、転生したはずの私を。
どうして異世界にまで飛んでいた私を見つけることができたのかわからないが、それでもランスは愛音のもとに来た。
そして、長い間リディアを失って何もできなくなっていたカルベアのために私を再びこの世界へと連れてきたのだ。
そうすればきっと楽園に戻ってきてくれるはずだと。
だが、彼らの予想は外れた。
私は楽園に戻ることはなく、華原愛音しての記憶だけが残った状態で地上で生を受けた。
それが今のアーネミリア・オリベルトだった。
そなたは楽園での生も終えたのだな。
転生はどうしようか。
今、そなたが地上に降りては人々はきっと自分で歩むのをやめてしまう』
私はまた、魂の最初の記憶の場所へ来ていた。そして目の前には創造神。
これはきっと地上へと降りる前に通る場所なのだろう。
「どうして、ですか?」
『人々は未だ歩み始めたばかり。
そのものらにとっては聖心力は偉大過ぎるのだ。
しかしこのままというわけにもいくまい』
創造神はそういうと考え込む。そんなにも難しい問題なのだろうか。
『おお、そうだ。
少し待っとれ』
何かを思いついたのか、ぱっと表情を明るくすると創造神はどこかへと消えてしまった。
そしてしばらくすると晴れ晴れとした表情で戻ってきた。
『そなたの転生先が見つかった。
それにあたり、今までの記憶は封印をさせてもらうからの』
伸ばしてきた手に頭を触られると、強い衝撃が走った。
そしてそのまま意識を手放した。
次に目覚めた先は、日本という場所だった。そこではすべてを忘れ、華原愛音として生を受け、生きていた。
充実した日々の中、突然ランスが現れるまでは。
どうやら、カルベアたちはずっと探していたようだった。楽園での生を終え、転生したはずの私を。
どうして異世界にまで飛んでいた私を見つけることができたのかわからないが、それでもランスは愛音のもとに来た。
そして、長い間リディアを失って何もできなくなっていたカルベアのために私を再びこの世界へと連れてきたのだ。
そうすればきっと楽園に戻ってきてくれるはずだと。
だが、彼らの予想は外れた。
私は楽園に戻ることはなく、華原愛音しての記憶だけが残った状態で地上で生を受けた。
それが今のアーネミリア・オリベルトだった。
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