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最終章 

252 リディアとカルベア 9

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「どうしてだ……? 
 これが私たちにできるすべてだというのに」

 渾身の一撃を込めたそれでも、破壊神の命を絶つことはできなかった。
 動きは封じて、あと少しだというのに私の中にも彼の中にも、もう聖心力はわずかしか残っていない。
 
「くそっ!」

 彼のそんな言葉づかいを初めて聞いたな、なんてどうでもいいことを思い浮かべてしまう。ああ、これは本当にもうどうしようもないのかかもしれない。

「ねえ、カルベア。
 聖剣にはどれくらい聖心力が残っているかしら」

「わからないが、もうあまり残っていないはずだ。 
 破壊神の命は絶てないだろう」

「そう。
 なら体の中の聖心力はどれくらい残っている?」

「それもわずかだ」

「私もよ。
 ……これ以上何もできないなら、せめて残っている力をすべて聖剣に込めない?
 そしたら私たちが居なくなったあとも破壊神を足止めできるわ」

「そんなことをして何になる?」

「もう時間がないわ。
 私はこの力すべてを聖剣に託す」

「リディア……。
 そうだな、わかった。
 もしかしたら誰か子孫が倒してくれるかもしれない」

「ええ。
 どんなに細くてもいいの、希望がつなげるなら」

 私は聖剣を握っているカルベアの手の上から自分の手を重ねた。そして、自分の中にあるすべての力を聖剣へと注ぎ込む。
 
 そこで私は、リディアは生を終えたのだ。
 
 
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