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最終章 

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 ここはどこだろう。
 周りを見回してみても白しか見えない。どうして、私はこんなところにいるの?
 先ほどまでどこで何をしていたのかも思い出せない。

「目、覚めたかい?」

 ぼんやりしていると聞こえてきたのはひどく懐かしい声。この声は確か……。
 
「ランス……?」

「あれ、覚えていてくれたんだね!
 迎えに来たよ」

「迎えに、って?」

「アーネが居るべき世界に、だよ。
 どうして何も覚えていないんだろうね。
 やっと、やっとこっちに来てくれた……。
 何度カギをあけてくれと願ったことか。
 父さんももう限界だったし」

「カギ?
 父さんって誰のこと?
 それに限界って……」

「詳しい説明はあとでするよ! 
 というか、思い出すかもしれないしね。
 聖魔法の使い方はもう思い出したんだろう?」

「使い方……。
 なんとなくしかわからないわ。
 というより、あれは本当に聖魔法なの?」

「ああ、そうだよ。
 さあ、行こう!」

 そういうと、ランスは私の手首をつかむ。その力が思ったよりも強く思わず眉をしかめるけど、力を弱めてくれることはない。
 そしてそのままぐいぐいと私を引っ張っていった。この真っ白な空間の先に一体何があるというのだろう。

 道しるべなど何もないのにランスは迷うことなく進んでいった。
 そしてたどり着いた先にあったのは、大きな扉。それだけだった。

「父さん、ようやく連れて行けるよ……」

 扉に手をかける時、ランスがつぶやいた言葉がかすかに聞こえてきた。


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