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2章 学園生活
145話 街遊び(2)
しおりを挟む「ここのお店にはかわいい小物がたくさんありますよ」
「じゃあ、見てみたいな」
少し小さめのお店だが、商品がたくさん並べられている。その並べ方も、余分なスペースがないし、とても見やすく整えられている。自然に期待度が上がった。
「おや、久しぶりだね、ルナ。
今日は人とい……」
奥の方から人が出てくる。ルナベレークと顔見知りだったようで、気軽に声をかけてきたのはわかる。でも、どうして私の顔を見て固まっているのかな?
「こ、これはウェルカ様。
ようこそいらっしゃいました」
ありゃ、速攻でばれてしまった。まあ、当たり前といえば当たり前か。
「ごきげんよう。
少し見せてもらってもいいかしら?」
もちろんです、とこくこくとうなずく店主がなんだかおかしくて、私はくすりと笑ってしまった。
店の中を一通り見て回る。その中で一つ、とあるペンに目が止まった。柄の部分に花が閉じ込められているようで、とてもかわいかったのだ。きれいな紫の花とそれを際立たせるような緑の葉、芽がとても気に入った。
「そちらをご購入なさいますか?」
どうしよう……。でも、せっかくだもんね。
私がうなずくと、ルナベレークがすぐに会計を済ませて商品を受け取ってくれた。それを確認すると、私たちはまたお店を回ることにした。
結局、行儀が悪いと眉をしかめられるのも気にせずに露店で食べ物を買って食べ歩きをしたり、ほかにも店を回ったりしている間にいつの間にかすっかり日は暮れてしまっていた。
「今日は本当に楽しかったわ。
たまにはこういう風に過ごすのもいいわね」
「はい。
気分転換になったのならなによりです」
「一日付き合わせてしまって悪かったわね」
いえ、という二人に苦笑しつつも私たちは屋敷へと戻っていった。
「お帰りなさい、ウェルカ。
街は楽しかったかしら?」
「お母様!
はい、とても楽しかったです」
それはよかったわ、とお母様は微笑む。でもなんでこんなところにいるんだろう?
「少し時間あるかしら?
お話できたらうれしいのだけれど」
「もちろん大丈夫です」
「ありがとう。
私の部屋で話しましょう」
そういうと、お母様はさっそく歩き始めてしまう。私はあわててその後ろをついていった。
お母様の部屋は2階に上がって近くのところにあり、すぐに到着する。お母様に勧められて、私はお母様の正面に座ることになった。
「それで、あの……?」
「旦那様に、聞いたの。
ヴァーレクト様とのご婚約の話をあなたにしたと」
「はい」
「どう、するつもりなの?
セイットとのこともあるでしょう?」
セイットのこと、お母様も知っていたの⁉ 叔父様しか知らないと思っていたんだけど……。ということはお父様も知っているのだろう。うわ、恥ずかしい。
「もちろん、無理強いをするつもりはないわ。
でも、しっかり考えてみてほしいな、って」
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「なら、私はヴァーレクト様と婚約したいです。
素敵な方だと、そう思いましたから」
そう、絞り出す。きっとこれで間違っていないはずだ。
「本当に、それで……。
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はい、と私は何とか答える。どうして、こんなにも自分の発言に心が重く感じるのか、わからなかった。
「なにかあったら、いえ、何もなくてもいいの。
私にぜひ話を聞かせて。
あなたの本当の気持ちを」
「お母様……。
ええ、わかりました」
「引き留めてしまってごめんなさいね。
もう部屋に戻っていいわ」
ありがとうございます、と言って私は部屋に戻っていった。
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