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2章 学園生活
94話 校外学習(11)
しおりを挟む部屋を出て、今日入ってきたところへと向かう。そこではなんだか先ほどよりも多くの人が寝ているように感じた。そしてそんな人たちを治療して回っているのは先ほどとは違う女性、それに男性もいた。
「あの、すみません」
突然声をかけてしまったからだろうか、その女性はびくりと方を揺らしてこちらを振り返る。この人もなんだか顔色が悪かった。
「何か、御用でしょうか」
「新しい包帯、あとは薬はないでしょうか?」
「包帯はこちらに。
薬は圧倒的に足りていませんのでこちらでは使用していません」
てきぱきと必要なことを伝え、新しい包帯を渡されるとそこでふと顔をあげる。そして、改めて私という人間を認識した様だった。
「制服?
それにずいぶんと幼いような……」
ポツリとつぶやかれたそれはおそらく独り言で、きっと返事をしなくても大丈夫でしょう! うん。ということで包帯をもらうと私はお礼を言い先ほどの部屋まで急ぐことにした。
「包帯、もらってきました。
薬も聞いてみたのですが、こちらにはないようです」
部屋に入りつつそう言うとセイットは黙々と治癒魔法をかけていた。布団をはがされている患者の中には腕や足を失っている人もいて、私は思わず息をのんで固まってしまった。
「ああ、ありがとうございます。
そうですね、この方より先の患者の治癒をお願いできますか?
私は包帯を変えていきますので」
セイットに声をかけられてはっとする。いつの間にはセイットは近くに来ていて包帯が入ったかごを受け取っていた。
「やってみます」
それだけを何とか返すとさっそく患者のそばへ行く。そして布団をはがしけがの個所を探すとそこに向かって治癒魔法をかけていく。ケガに関して何も考えないようにしながらも必死に治癒をかけていくと、あっという間に全員分が終わっていた。
終わったことを伝えようとセイットの元に行くと、セイットはまだ3人目の患者の包帯を変えているところだった。この人の包帯変えが終わったら声をかけよう、そう思ってその様子を見ているとセイットの手元がずっと淡く光っているのが見えた。治癒魔法をかけ続けているということ?
けがの個所に淡く治癒魔法をかけながらセイットは包帯を丁寧にはがしていく。そして下に布を挟むとその上から水をかけていた。治癒魔法をかけながらだからか、患者はかすかにうめく程度で暴れることはしなかった。そのあとは傷口の水分を飛ばすと新しい包帯を巻いていた。これは大変だ……。
「セイット、こちらは終わりましたが手伝いましょうか?」
「早かったですね。
そうですね、お願いします。
私は治癒魔法をかけているので、包帯をはがすのをお願いします」
そうしてセイットの指示に従いながら、恐る恐る包帯を変えていった。
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