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2章 学園生活
56話 入学式(5)
しおりを挟むそして始まった入学式は正直言ってとても退屈だった。学園長のお話から始まり各部長の話と、とにかく話が続く。それに言っていることは入学おめでとう、学園生としてしっかり励んでくれと言うものと自慢話とか注意話とかそんなものなのだ。しかし、聞くしか選択肢がないのが苦痛だ。
「相変わらず話が長いですね」
はぁ、とため息をつきながらのエリオベラ様の言葉に激しく同意する。それにしてもこの長さが日常茶飯事だなんて……。
そして在校生代表の言葉でとある生徒が呼ばれたときに今まで静まり返っていたホール内がわずかにざわめきだした。なんでだろう?
「あの、どうして……?」
「あの方は生徒会長で皆のあこがれなのですよ」
なるほど。権力者は好かれるということかな。顔も整っているし、やっぱりあこがれる人は多いんだろうな。ボーっとしていて名前も話も聞いていなかったけど、まあもう関わることもないでしょう。
そして次は新入生代表の言葉だった。って、高等専門部の代表って今朝のあの男⁉ こちらも同様に周りがざわついているし。マフェルク・ゼリベ・フルージア、様と言うのか。そういえば全く名乗ってもらっていなかった。
「あの、あの方は?」
「フルージア公爵子息様ですか?
あの方は騎士団総帥のご子息で、卒業後は近衛騎士団に入ることが決まっているんです」
つまり、いい家の出で将来有望ということか。なのに、なんで今朝はあんなことをしたのだろうか。つい興味がそそられて話を聞いていたが、内容はいたって真面目なものだった。なんというか、少しかっこいい……?
そして入学式は無事に終わった。どうやらこちらは親が参加しない分こうして静かに、速やかに終わるが基礎教育部だとそうはいかないらしい。子どもが騒がしかったり、親が騒がしかったり……。うん、入学式はこちらだけで充分だね。
「では、この後はクラスごとに移動します。
担任の先生の指示に従って移動してください」
アナウンスがかかると、前の方から先生方が出てきてそれぞれの場所に向かっていく。こちらにも先ほどこのクラスの担任だと紹介された先生がやってきた。確か、トルコッチ先生だったかな。
「初めまして、初等専門部魔法科一年担当のトルコッチと申します。
よろしくお願いします。
皆さんは最後の移動になりますので、しばらくその場でお待ちください」
さすがに最前列とあってすぐには動けなさそう。人がゆっくりと出ていくのを待つと先生が先導して移動を開始した。
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