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1章 変わる日常

6話 王都への旅路(2)

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 そうして話しをしていると馬車はゆっくりと停車する。すぐにべスが馬車をノックした。

「お嬢様、ここで昼食にいたしましょう。
 すぐにお食事や場所をご用意いたしますね。
 今日は天気もよく、きっととても気持ちいいですよ」

「ありがとう、べス」

 外に出て、お食事をするのは本当にいつぶりだろうか。少なくともお母様が生きていらっしゃったときだ。わくわくとした表情でお姉様を見ると先ほどとは違い、お姉様もどこか嬉しそうだ。

 馬車を出るとさっそく敷物は敷かれていて、小さめのテーブル、いすが置かれていた。昼食が入ったバケットもテーブルに置かれていた。そして、侍女の一人がお湯を沸かしてくれている。あの人はたしか火の魔法が使えたはずだから、その力を使ってお湯を沸かしてくれているんだろうな。おかげでおいしい紅茶を旅先でも飲むことができる。

 ちなみに魔力を使えるものはいないわけではないが、珍しくはある。きっと自分が使えると知ったらいいようにこき使われるだろうと考えてお父様方に魔力を使えることを言っていないと、この侍女は以前冷めてしまった食事を温めながらこっそりと教えてくれた。それでも、私たちのためにはこうして使ってくれる。私はそれがなんだか嬉しかった。

「アゼリア様、ウェルカ様、お茶が入りました。
 こちらに手拭きもございます」

 紅茶を机の上に置かれ、手拭きも渡される。軽く手をふくとさっそくバケットの中のパンに手を付けた。

「まあ、とてもおいしいわね。
 作って数時間たっているとは思えないわ」

「はい!
 パンは柔らかいし、中のお肉はジューシーでお野菜は新鮮です!」

 おいしい、そう言いながら食べ進めていくとバケットの中はすぐにからになってしまった。どうやら料理人も私たちに申し訳ないと思う気持ちがあったようで、いつも以上に頑張ってくれたようだ。デザートまでを食べ終わるとゆっくりと周りの景色を眺めてみる。机は大きな木の下に置かれているため、木漏れ日がちらちらと私たちを照らしている。心地よい風も吹いていてとても気持ち良い。

「ここの空気は気持ちいいわね」

「はい。
 少し疲れてしまっていたのですが、気分転換できました」

 そうね、とお姉様も笑ってくれる。苦手な人がこの場にいないということもあると思うが、久しぶりにこんなにのんびりした気持ちになれた。

「そろそろ行きましょうか」

 お姉様のその一言で、さっそく片付けが始まる。準備が終わると、馬車はまた王都へむけて動き出した。

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