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第4章 ジルネイ編
そうだ、空を飛ぼう
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「いやぁ、思った通りってより、思った以上の成果だね!」
「はぁ、はぁ、はぁ」
「ふむ。これならば当初の予定の半分で着くやもしれんな」
「ふぐぅ!」
「しっかし、よく思いついたなぁ」
「ふぬぅ~!!」
船頭に立ち風を浴びて気持ちよさそうにアディオンがいい、サイが両腕を組みウンウン頷き、舵を取りながら呆れた様にエイケンが言った。
「セナ様……大丈夫ですか?」
「ふぬぅ~!だ、い、じょ、ぶ!」
「・・・・大丈夫じゃないですね……」
「ほらほら!セナ君!スピードが落ちてるよ!頑張って!」
「はいぃぃぃ!!」
「鬼……」
アディオンたちが楽し気に会話をしている中、セナの悲痛な声と荒い息が聞こえた。
セナはエイケンの船、人が約10人程度乗れるほどのもので、全長が約8mで船内に寝室などがある帆船の最後尾に立たされ、腰にロープを巻き付けられ船と固定されていた。
そして、カラドボルグを抜き渾身の魔力で風を起こし、それを帆にあて、この無風の中、船を物凄いスピードで動かしていた。
「これならば3日かかるところ1日は短縮できそうだな」
「そうだねぇ。欲を言えばもう1日、いや半日でも早まれば素敵なんだけどね」
「ふむ、そうか……ん?セナ殿は本来二刀流なのか?腰にもう一本さげているが?」
「あぁ、あれはね?もともとセナ君の剣だよ、今使ってるのはリネア王からもらったものなんだ……ん?あぁ!いいことを思いついたよ!」
サイの質問に答えたアディオンが、悪だくみを思いついたような素敵な笑顔を浮かべた。
「なにを思いついた?」
「まぁ、まぁ、見ててよ。ぅおーい!セッナくぅ~ん!」
「はぁ、はぁ。?はいぃぃ?」
「そろそろ、もう一本剣を抜いて後ろにも魔力とばしてスピードアップしよっかぁ!」
「えぇぇぇ?死んじゃいますって!」
「大丈夫大丈夫!」
アディオンの言葉にセナが悲壮感をあらわに答えるがアディオンは軽く聞き流した。
「アディオン…貴様は鬼か……つい4~5時間前にいつもの修行を終えたばかりだぞ?さすがにこの状況でそれはやりすぎだろう」
「ホントに大丈夫なんだよサイ。セナ君の魔力はもう半分以上戻ってたんだ。今きつそうなのは体力のほうが戻っていないからなんだよ」
「なっ!なんだと?それは本当か!?」
「うん。毎日すっからかんになるまで消費させていたからか、ボクにも原理はわからないけど、魔力量が増えるのと同時に回復速度もあがってるんだよ彼」
「やはりとんでもないヤツだな……」
サイの苦言にアディオンが神妙な顔つきで答えると、サイは呆れた様につぶやいた。
「はぁ、はぁ、このままじゃホントに死んでしまう……スピードをあげればいいんだよな……なにかいい方法は……」
アディオンとサイが話し込んでいる間、セナは必死に船のスピードをあげる方法を模索していた。
「また無理難題をあの人は……セナ様無理なさらないでください。これ以上の速度アップなんて船ごと飛ぶとかしないと無理ですから……」
「はははっ、ありがとう。たしかにスカーレットの言う通り飛ばなきゃ……ん?飛ぶ?それだ!それだよ!スカーレット!」
何気なく言ったスカーレットの言葉にセナが何かを思いつき、エイケンに帆をたたむようスカーレットに言伝を頼んだ。
「あぁ?帆をたためだ?まぁ風はねぇからいいけどよ?セナはとうとうバテたのか?」
スカーレットにセナからの言伝を聞いたエイケンが不思議そうにいいながらも帆をたたんだ。
「ん?船がとまったぞ?セナ殿は大丈夫か?」
「あれ?どうしたんだろ。帆も閉まってしまってるし」
サイとアディオンが船の様子がおかしいことに気づいた。
「よし……帆をたたんだな……じゃぁ……やってみよう……叔父さんごめんね!」
帆をたたんだのを確認したセナはエイケンに謝りながら船にカラドボルグを突き刺した。
「空気抵抗をなくす風のバリア……はぁ~!!!」
グラグラグラ
ザバザバザバ
「おい!なんだ?船が浮いてきたぞ!?」
「風の魔力?セナ君!なにを?」
「おい!アディオン!貴様が無茶ばかりさせるから、セナ殿が怒ったのではないのか!?」
「嫌な予感がする……」
急に風の魔力に包まれた船が水面から少しうきあがり、エイケン、アディオン、サイが驚いているなか、スカーレットはセナの次の行動を察したのか、顔を蒼くし急いで船内に逃げ込み柱につかまった。
「これはキツイ……一気に距離を稼がなきゃ……持たないぃぃ……」
セナが顔を真っ赤にし船に魔力を送りながら、刀を抜き斜め下に広がる海へ向けた。
「空気を球体に圧縮して……熱膨張させて……鋭く回転させて海面にぶつけて爆発させる……あてる角度に注意だな……はぁはぁ……」
セナが刀に魔力を集め始めるとアディオンたちが何かを察した。
「おい!アディオン!セナは何やる気だ!?」
「ボクにもわからないけど!」
「なにかやばいぞ!みな何かにつかまれ!」
サイの叫ぶような言葉にエイケン、サイと数名の船員が近くにしゃがみ込み船へとしがみついた。
「ぐぅ~!!ま、まだまだぁ~!!」
セナは熱で膨張した空気を風の魔力で小さく丸く圧縮し続け、莫大な量のそれを手のひらサイズに圧縮していた。
ミシミシミシ
剣先に集められ圧縮した空気で刀がきしみ始め時。
「これでっ!」
キュルキュルキュルキュル
セナは自身の力の限界まで圧縮した空気玉に圧倒的な回転を加えた……そして。
「角度はこんなもんだろっ!いっけぇぇぇ!!」
パンッ!
セナが空気玉を気合とともに撃ちだすと、炸裂音とともに空気玉は海へとものすごい速さで発射された。
ドン!
バーーーーーーン!!
「ひぎぃぃぃぃぃ!!!」
海に着水した空気玉が破裂すると、ものすごい爆発音とともに雲にも届きそうな水柱がたった。
そして、空気玉を撃ちだした瞬間、セナは船を覆っていた風でその爆風を受ける形に変化させていたため、船は斜め上に爆発的な加速で上昇し、やった本人のセナはあまりの加速に悲鳴をあげた。
「ぐわぁ!なんだ!?なにがおこってやがる!?」
「うぉぉぉぉ!ものすごい!加速だね!」
「喜んでいる場合か!貴様は!!」
船体に押し付けられるようにへばりついている、エイケン、アディオン、サイがそれぞれ言葉を発した。
船はどんどん加速し上昇していき、ついには雲を突き抜けた……そして、加速が少し緩やかになり、上昇が収まったとき。
「はぁ、はぁ、我ながら怖かった!よし!ここで風を後方に流す!」
セナは船体を覆う風を勢いよく後方に流し始めた。すると空気が薄い上空でさらに空気抵抗が減り船は、ほとんど体感できないほど緩やかに下降しながらも、どんどん加速して進んでいった。
「うっはぁ!サイ!みて!雲の海だよ!!」
「おぉ。これは絶景、見事なものだな」
「てめぇら!立ち直りはやすぎんだろ!どーすんだよこれ!」
上昇が収まると、アディオンとサイは立ち上がり、あたりを見渡し感心していたが、エイケンはいまだ船にへばりつき、そんな二人に怒鳴るように言った。
「なるようになるでしょ?」
「だいの男が女々しいぞ?エイケン」
「だめだこいつら……おい!みんなは無事か!?」
エイケンの言葉にアディオンとサイは見下すように答えると、エイケンはあきらめて他の船員の安否を確認し、全員怪我無くいることに安堵した。
「収まった?……やっぱりセナ様を信用してよかった」
スカーレットは船内で、セナが絶対なにをやらかすと信じた自分を心からほめていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「ふむ。これならば当初の予定の半分で着くやもしれんな」
「ふぐぅ!」
「しっかし、よく思いついたなぁ」
「ふぬぅ~!!」
船頭に立ち風を浴びて気持ちよさそうにアディオンがいい、サイが両腕を組みウンウン頷き、舵を取りながら呆れた様にエイケンが言った。
「セナ様……大丈夫ですか?」
「ふぬぅ~!だ、い、じょ、ぶ!」
「・・・・大丈夫じゃないですね……」
「ほらほら!セナ君!スピードが落ちてるよ!頑張って!」
「はいぃぃぃ!!」
「鬼……」
アディオンたちが楽し気に会話をしている中、セナの悲痛な声と荒い息が聞こえた。
セナはエイケンの船、人が約10人程度乗れるほどのもので、全長が約8mで船内に寝室などがある帆船の最後尾に立たされ、腰にロープを巻き付けられ船と固定されていた。
そして、カラドボルグを抜き渾身の魔力で風を起こし、それを帆にあて、この無風の中、船を物凄いスピードで動かしていた。
「これならば3日かかるところ1日は短縮できそうだな」
「そうだねぇ。欲を言えばもう1日、いや半日でも早まれば素敵なんだけどね」
「ふむ、そうか……ん?セナ殿は本来二刀流なのか?腰にもう一本さげているが?」
「あぁ、あれはね?もともとセナ君の剣だよ、今使ってるのはリネア王からもらったものなんだ……ん?あぁ!いいことを思いついたよ!」
サイの質問に答えたアディオンが、悪だくみを思いついたような素敵な笑顔を浮かべた。
「なにを思いついた?」
「まぁ、まぁ、見ててよ。ぅおーい!セッナくぅ~ん!」
「はぁ、はぁ。?はいぃぃ?」
「そろそろ、もう一本剣を抜いて後ろにも魔力とばしてスピードアップしよっかぁ!」
「えぇぇぇ?死んじゃいますって!」
「大丈夫大丈夫!」
アディオンの言葉にセナが悲壮感をあらわに答えるがアディオンは軽く聞き流した。
「アディオン…貴様は鬼か……つい4~5時間前にいつもの修行を終えたばかりだぞ?さすがにこの状況でそれはやりすぎだろう」
「ホントに大丈夫なんだよサイ。セナ君の魔力はもう半分以上戻ってたんだ。今きつそうなのは体力のほうが戻っていないからなんだよ」
「なっ!なんだと?それは本当か!?」
「うん。毎日すっからかんになるまで消費させていたからか、ボクにも原理はわからないけど、魔力量が増えるのと同時に回復速度もあがってるんだよ彼」
「やはりとんでもないヤツだな……」
サイの苦言にアディオンが神妙な顔つきで答えると、サイは呆れた様につぶやいた。
「はぁ、はぁ、このままじゃホントに死んでしまう……スピードをあげればいいんだよな……なにかいい方法は……」
アディオンとサイが話し込んでいる間、セナは必死に船のスピードをあげる方法を模索していた。
「また無理難題をあの人は……セナ様無理なさらないでください。これ以上の速度アップなんて船ごと飛ぶとかしないと無理ですから……」
「はははっ、ありがとう。たしかにスカーレットの言う通り飛ばなきゃ……ん?飛ぶ?それだ!それだよ!スカーレット!」
何気なく言ったスカーレットの言葉にセナが何かを思いつき、エイケンに帆をたたむようスカーレットに言伝を頼んだ。
「あぁ?帆をたためだ?まぁ風はねぇからいいけどよ?セナはとうとうバテたのか?」
スカーレットにセナからの言伝を聞いたエイケンが不思議そうにいいながらも帆をたたんだ。
「ん?船がとまったぞ?セナ殿は大丈夫か?」
「あれ?どうしたんだろ。帆も閉まってしまってるし」
サイとアディオンが船の様子がおかしいことに気づいた。
「よし……帆をたたんだな……じゃぁ……やってみよう……叔父さんごめんね!」
帆をたたんだのを確認したセナはエイケンに謝りながら船にカラドボルグを突き刺した。
「空気抵抗をなくす風のバリア……はぁ~!!!」
グラグラグラ
ザバザバザバ
「おい!なんだ?船が浮いてきたぞ!?」
「風の魔力?セナ君!なにを?」
「おい!アディオン!貴様が無茶ばかりさせるから、セナ殿が怒ったのではないのか!?」
「嫌な予感がする……」
急に風の魔力に包まれた船が水面から少しうきあがり、エイケン、アディオン、サイが驚いているなか、スカーレットはセナの次の行動を察したのか、顔を蒼くし急いで船内に逃げ込み柱につかまった。
「これはキツイ……一気に距離を稼がなきゃ……持たないぃぃ……」
セナが顔を真っ赤にし船に魔力を送りながら、刀を抜き斜め下に広がる海へ向けた。
「空気を球体に圧縮して……熱膨張させて……鋭く回転させて海面にぶつけて爆発させる……あてる角度に注意だな……はぁはぁ……」
セナが刀に魔力を集め始めるとアディオンたちが何かを察した。
「おい!アディオン!セナは何やる気だ!?」
「ボクにもわからないけど!」
「なにかやばいぞ!みな何かにつかまれ!」
サイの叫ぶような言葉にエイケン、サイと数名の船員が近くにしゃがみ込み船へとしがみついた。
「ぐぅ~!!ま、まだまだぁ~!!」
セナは熱で膨張した空気を風の魔力で小さく丸く圧縮し続け、莫大な量のそれを手のひらサイズに圧縮していた。
ミシミシミシ
剣先に集められ圧縮した空気で刀がきしみ始め時。
「これでっ!」
キュルキュルキュルキュル
セナは自身の力の限界まで圧縮した空気玉に圧倒的な回転を加えた……そして。
「角度はこんなもんだろっ!いっけぇぇぇ!!」
パンッ!
セナが空気玉を気合とともに撃ちだすと、炸裂音とともに空気玉は海へとものすごい速さで発射された。
ドン!
バーーーーーーン!!
「ひぎぃぃぃぃぃ!!!」
海に着水した空気玉が破裂すると、ものすごい爆発音とともに雲にも届きそうな水柱がたった。
そして、空気玉を撃ちだした瞬間、セナは船を覆っていた風でその爆風を受ける形に変化させていたため、船は斜め上に爆発的な加速で上昇し、やった本人のセナはあまりの加速に悲鳴をあげた。
「ぐわぁ!なんだ!?なにがおこってやがる!?」
「うぉぉぉぉ!ものすごい!加速だね!」
「喜んでいる場合か!貴様は!!」
船体に押し付けられるようにへばりついている、エイケン、アディオン、サイがそれぞれ言葉を発した。
船はどんどん加速し上昇していき、ついには雲を突き抜けた……そして、加速が少し緩やかになり、上昇が収まったとき。
「はぁ、はぁ、我ながら怖かった!よし!ここで風を後方に流す!」
セナは船体を覆う風を勢いよく後方に流し始めた。すると空気が薄い上空でさらに空気抵抗が減り船は、ほとんど体感できないほど緩やかに下降しながらも、どんどん加速して進んでいった。
「うっはぁ!サイ!みて!雲の海だよ!!」
「おぉ。これは絶景、見事なものだな」
「てめぇら!立ち直りはやすぎんだろ!どーすんだよこれ!」
上昇が収まると、アディオンとサイは立ち上がり、あたりを見渡し感心していたが、エイケンはいまだ船にへばりつき、そんな二人に怒鳴るように言った。
「なるようになるでしょ?」
「だいの男が女々しいぞ?エイケン」
「だめだこいつら……おい!みんなは無事か!?」
エイケンの言葉にアディオンとサイは見下すように答えると、エイケンはあきらめて他の船員の安否を確認し、全員怪我無くいることに安堵した。
「収まった?……やっぱりセナ様を信用してよかった」
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