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第2章 リネア王国 ― 【王都リストニア編】
とある異世界転移冒険者の1日②ー彼女の名はー
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午前の訓練を終えたセナは、エミルとの昼食を終えた。ちなみに、ギルスは職務のため不在だった。
そして、セナはレイファを伴いブレイダー家が運営している治療院へと来ていた。
「ようこそセナ様。レイファもご苦労様」
筆頭治癒士のスターシャが2人を出迎えた。
「こんにちわ、スターシャさん。冒険者ギルドへ行く前に少し寄らせていただきました。」
「お疲れ様です、スターシャ様。」
セナとレイファも挨拶を返すと。
「ちょうどよかったわ。今日の午前中に検診をしたら、両手のほうがもう良さそうで、包帯がとれるのよ」
「ほんとですかっ!? よかったです!」
スターシャの言葉にセナが喜びをあらわにし、レイファも笑顔を浮かべていた。そして、3人で病室に向かった。
コンコン。
「スターシャよ?はいるわね?」
スターシャが言いながらドアをあけ、セナたちを引き連れて病室の中にはいる。
そこには、1か月前とは見間違えるほどふっくらとして、だいぶ健康そうに見える少女が居た。
少女はスターシャの後ろのセナを見つけると、輝くような笑みを浮かべた。
「毎日治療しているのは私なのに…。ここまで露骨に差を付けられると、さすがにショックね」
スターシャが呆れたような顔で少女へと言うと、少女は顔を真っ赤にしてふさぎ込んだ。
「まぁいいわ?治療をはじめましょう?今日で一応、手の包帯は取れると思うわ」
少女へそういいながら、スターシャが少女の両手から包帯を外していき、外し終えると、そのまま両手を包み込むようににぎり。
「ヒール」
スターシャがそうつぶやく。すると、スターシャの手から緑色の淡い光が少女の手を包み込んだ。
時間にして10秒程光った後。徐々に光が消えていく。
「ふぅ~。ちょっと動かしてもらえる?うん。いいようね?」
スターシャが少女の手や指の動きを確認した後、笑顔で少女にそういった。そして、スターシャは胸のポケットからメモ帳のようなものと、黒いペンを取り出し少女へと手渡した。
「名前をおしえてもらえるかしら?そろそろ私との付き合いも1か月よ?いい加減、私。あなたを名前で呼びたいわ?」
キョトンとした顔でスターシャをみていた少女へ、苦笑気味にスターシャが言った。メモ帳とペンを受け取った少女がスラスラと何かを書いてスターシャへと手渡した。
「そう。あなたの名前は アリア というのね?改めて、よろしくね?アリア」
スターシャが笑顔で少女、アリアへと挨拶をした。セナとレイファも笑顔を浮かべた。
「うん…。よかった。僕も君のことをアリアと呼んでもいいかな?」
セナがスターシャの肩越しに顔をのぞかせそういうと、アリアは笑顔でコクっとうなずいた。
その後もアリアと筆談をかわした3人だったが、スターシャがこれ以上は、手首の負担になるといい、明日また来ることをアリアに伝え病室を後にした。
「まさか、エターニャ神皇国から攫われてきたとは……」
レイファがつぶやくようにいう。
「えぇ。しかも帝国の手によってってところが、厄介ね」
スターシャが苦々しい顔でそれに答えた。
「これがエターニャ側に知らされたら…。」
「えぇ。しかもアリアは神職だったようですし…。ただではすまないでしょう。」
スターシャとレイファの話を聞き、セナは今後のことを考え口にした。
「えっと。とりあえずギルス様には報告したほうがいいですよね?」
セナの言葉に2人が頷いた。
「ギルス様がどういった判断をするかにもよりますけど、とりあえず、アリアがどこからきたのかわかって、よかったですよ」
「そうですね」
「はい」
セナが笑顔でそういうと、二人も笑顔でうなずいた。
その後、一度ブレイダー家へと戻り、レイファにアリアのことの報告をお願いして、セナは冒険者ギルドへと足を運んだ。
「あっ!セナ様。こんにちわ。本日は薬草採取ですか?それとも街のほうの依頼をお受けになりますか?」
「オリファさん、こんにちわ。ん~。街のほうは結構焦げ付いてますか?」
ギルドにはいり、受付の前までいったセナに気づいたオリファが声をかけ、セナが答える。
「ん~。今のところ焦げ付いてる依頼や、急ぎのはありませんね」
「そうですか。じゃぁ、今日は薬草採取をうけてもいいですか?」
「承知しました。ギルドカードの提出をお願いいたします。」
オリファの話にセナが本日の依頼を伝え、ギルドカードを提出し受付を済ませた。
セナの目的が少女の治療なので、ギルドランクをあげる等、興味がなく。実力や知識を付ける間。日ごろ、最低ランクのF級冒険者用のクエスト。街の清掃や、街で暮らす人たちの雑用などを率先してこなしていた。
それはギルドとしてもいいことで、街の依頼は報酬が少なく誰も受け手がおらず、焦げ付いていたものを、セナが率先してこなし、セナの人当たりもあり、街の人々のギルドへの好感度が多少あがっていた。
「はい、薬草5束納品を受理いたしました。」
なので、ギルド職員からのセナへの好感度は非常に高く。オリファ以外の受付もセナへは好意的に接していた。
「ありがとうございます。それでは、いってきます。」
「はい。セナ様なら大丈夫ですが、一応。魔物が出る場合もありますのでお気を付けくださいね?」
オリファがそう言いながら笑顔で手を振り、セナを見送り、セナは街の外へと向かった。
========================================
第2章書き始めました。
2話目でやっと、少女の名前などをだすことができました。
そして、セナはレイファを伴いブレイダー家が運営している治療院へと来ていた。
「ようこそセナ様。レイファもご苦労様」
筆頭治癒士のスターシャが2人を出迎えた。
「こんにちわ、スターシャさん。冒険者ギルドへ行く前に少し寄らせていただきました。」
「お疲れ様です、スターシャ様。」
セナとレイファも挨拶を返すと。
「ちょうどよかったわ。今日の午前中に検診をしたら、両手のほうがもう良さそうで、包帯がとれるのよ」
「ほんとですかっ!? よかったです!」
スターシャの言葉にセナが喜びをあらわにし、レイファも笑顔を浮かべていた。そして、3人で病室に向かった。
コンコン。
「スターシャよ?はいるわね?」
スターシャが言いながらドアをあけ、セナたちを引き連れて病室の中にはいる。
そこには、1か月前とは見間違えるほどふっくらとして、だいぶ健康そうに見える少女が居た。
少女はスターシャの後ろのセナを見つけると、輝くような笑みを浮かべた。
「毎日治療しているのは私なのに…。ここまで露骨に差を付けられると、さすがにショックね」
スターシャが呆れたような顔で少女へと言うと、少女は顔を真っ赤にしてふさぎ込んだ。
「まぁいいわ?治療をはじめましょう?今日で一応、手の包帯は取れると思うわ」
少女へそういいながら、スターシャが少女の両手から包帯を外していき、外し終えると、そのまま両手を包み込むようににぎり。
「ヒール」
スターシャがそうつぶやく。すると、スターシャの手から緑色の淡い光が少女の手を包み込んだ。
時間にして10秒程光った後。徐々に光が消えていく。
「ふぅ~。ちょっと動かしてもらえる?うん。いいようね?」
スターシャが少女の手や指の動きを確認した後、笑顔で少女にそういった。そして、スターシャは胸のポケットからメモ帳のようなものと、黒いペンを取り出し少女へと手渡した。
「名前をおしえてもらえるかしら?そろそろ私との付き合いも1か月よ?いい加減、私。あなたを名前で呼びたいわ?」
キョトンとした顔でスターシャをみていた少女へ、苦笑気味にスターシャが言った。メモ帳とペンを受け取った少女がスラスラと何かを書いてスターシャへと手渡した。
「そう。あなたの名前は アリア というのね?改めて、よろしくね?アリア」
スターシャが笑顔で少女、アリアへと挨拶をした。セナとレイファも笑顔を浮かべた。
「うん…。よかった。僕も君のことをアリアと呼んでもいいかな?」
セナがスターシャの肩越しに顔をのぞかせそういうと、アリアは笑顔でコクっとうなずいた。
その後もアリアと筆談をかわした3人だったが、スターシャがこれ以上は、手首の負担になるといい、明日また来ることをアリアに伝え病室を後にした。
「まさか、エターニャ神皇国から攫われてきたとは……」
レイファがつぶやくようにいう。
「えぇ。しかも帝国の手によってってところが、厄介ね」
スターシャが苦々しい顔でそれに答えた。
「これがエターニャ側に知らされたら…。」
「えぇ。しかもアリアは神職だったようですし…。ただではすまないでしょう。」
スターシャとレイファの話を聞き、セナは今後のことを考え口にした。
「えっと。とりあえずギルス様には報告したほうがいいですよね?」
セナの言葉に2人が頷いた。
「ギルス様がどういった判断をするかにもよりますけど、とりあえず、アリアがどこからきたのかわかって、よかったですよ」
「そうですね」
「はい」
セナが笑顔でそういうと、二人も笑顔でうなずいた。
その後、一度ブレイダー家へと戻り、レイファにアリアのことの報告をお願いして、セナは冒険者ギルドへと足を運んだ。
「あっ!セナ様。こんにちわ。本日は薬草採取ですか?それとも街のほうの依頼をお受けになりますか?」
「オリファさん、こんにちわ。ん~。街のほうは結構焦げ付いてますか?」
ギルドにはいり、受付の前までいったセナに気づいたオリファが声をかけ、セナが答える。
「ん~。今のところ焦げ付いてる依頼や、急ぎのはありませんね」
「そうですか。じゃぁ、今日は薬草採取をうけてもいいですか?」
「承知しました。ギルドカードの提出をお願いいたします。」
オリファの話にセナが本日の依頼を伝え、ギルドカードを提出し受付を済ませた。
セナの目的が少女の治療なので、ギルドランクをあげる等、興味がなく。実力や知識を付ける間。日ごろ、最低ランクのF級冒険者用のクエスト。街の清掃や、街で暮らす人たちの雑用などを率先してこなしていた。
それはギルドとしてもいいことで、街の依頼は報酬が少なく誰も受け手がおらず、焦げ付いていたものを、セナが率先してこなし、セナの人当たりもあり、街の人々のギルドへの好感度が多少あがっていた。
「はい、薬草5束納品を受理いたしました。」
なので、ギルド職員からのセナへの好感度は非常に高く。オリファ以外の受付もセナへは好意的に接していた。
「ありがとうございます。それでは、いってきます。」
「はい。セナ様なら大丈夫ですが、一応。魔物が出る場合もありますのでお気を付けくださいね?」
オリファがそう言いながら笑顔で手を振り、セナを見送り、セナは街の外へと向かった。
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第2章書き始めました。
2話目でやっと、少女の名前などをだすことができました。
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