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第8章 救出編

まだまだ足りない

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 「な、なんと!」

 「それでイース様後見人の件いかがでしょうか」

 「儂などでいいのなら喜んで引き受けさせてもらいたい!」

 「よかった…」

 「セナ様、そのマウアですが私から正直にこれまでのことをお話したいと思いますので……申し訳ありませんがこちらまでお連れしてくださいませんか?」

 魔界でセナが捕まえていた従魔を呼び出し高速で移動しエターニャにつくとアディオンにより腕が元通りにくっついていたイースと話をきき覚悟を決めた顔をしたペドロがセナに頭をさげマウアをつれてくるように頼んだ。

 「ただいま戻りました」

 「セナ様おかえりなさいませ」

 エターニャでの話を終えザラタンの元へもどったセナをレイファが出迎えた。

 「あれ?皆さんは?」

 「外にて談笑しております」

 「そうなんだ、あ!そろそろ戻ろうと思うんだけどアキラさんたちに知らせなきゃ!」

 「アイリーンがすでに知らせにいき、メディーより魔界用の結界を受け取ったリョウ様もご一緒に一度ドラニスタへとすでにお向かいになられております」

 「そうですか、では我々も一度ドラニスタにもどりましょう」

 「かしこまりました」

 セナの言葉を聞きレイファは全員にセナが帰ってきてドラニスタに戻ることを告げザラタンを発進させた。

 「セナ様お疲れ様でした!」

 「メディー、みんなもただいま戻りました、マウアさんと随分打ち解けたみたいだね」

 「はい!マウアさんはものすごく話のわかるいい方ですから!」

 「話がわかる?よくわからないけど仲良くなってよかったよ」

 「はい!」

 「それでなんだけどイース様がマウアさんの後見人を引き受けてくれたしエターニャで保護もしてくれるそうだよ」

 「やった!セナありがとう!」

 「セナ様ありがとうございます!」

 「だから言ったでしょう?マウア、セナ様にお任せしておけば必ず大丈夫なのですわ」

 「そうそう!私もセナにはいっつも迷惑かけちゃって申し訳ないけど頼りにしちゃうんだ!」

 「はい!カトリーヌそうですね!ってアリアったら!」

 「3人は随分仲がいいね」

 「それはそうだよ!マウアは幼馴染だしカトリーヌは親友だもん!二人ももう親友みたいなものだよ!」

 「そうですわね」

 「二人にそう思ってもらえるなんて嬉しいです」

 当然のように答えたアリアとカトリーヌにはにかみながら嬉しそうにしたマウアをみてセナは優しい笑顔を浮かべていた。

 「セナ様…今後についてですが1つお願いがあります」

 「ん?なんですか?」

 「カーバンクルの主をアリアに代えてください」

 「それは構わないけどいいのかい?」

 「はい、今回のこと自分なりに考えました…アリアを守るにはそばにいるだけではだめだと思いました」

 「え?コルネちょっとまってよ!」

 「今後はセナ様と行動を共にし大元をたたくことにしました…アリア勝手に決めてごめん」

 「そう…」

 「うぅ……寂しいけど…すっごく寂しいけど!私のことを思ってコルネが決めたことなら私が邪魔しちゃダメだから……コルネいままで守ってくれてありがとう」

 「アリアごめん……カーバンクル……アリアとマウアをお願い」

 「キュゥ!」

 涙目で頷くアリアに申し訳なさそうにカーバンクルを差し出したコルネの気持ちを汲みセナは主をアリアに変えた。

 「アリアに何かあったらコルネも私たちも必ず駆けつけるわ」

 「そうよ、私たちだって居るしセナ様の屋敷にはいつでも来てくれていいんだから」

 「そうです!私たちだってアリアの親友なんですから気兼ねは不要ですよ!」

 「うん…皆ありがとう」

 「マウアも気兼ねなど必要ないのよ?いつでも遊びにきてね」

 「はい!」

 エリス、マイン、コニーそしてスカーレットの言葉でアリアとマウアは笑顔をうかべた。

 「グルルルル」

 「ブルルルル」

 「ふふっ!話が聞こえていたみたいですね!」

 「うん、そうみたいだね」

 「メディー?セナ様もなにがですか?」

 「グラニールも迅風もアリアに何かあったら駆けつけるといっているんですよ」

 「おぉ!さすがですね!」

 「グラニールも迅風もありがとう!!大好き!!!」

 コニーが絶賛する中、外に向けてアリアが2頭に向けて大きな声で感謝すると2頭も嬉しそうに一鳴きした。

 「アリアはみんなに愛されているのね」

 「え?えへへへへへ……そうかな?」

 「なにをおっしゃってるんですの?もうマウアも私たちの親愛なる友ではありませんか」

 「カトリーヌの言う通りね、マウアになにかあっても私たちが必ず駆けつけるわ」

 「カトリーヌ…スカーレットさんありがとう!」

 「すっかりなじんできてますね」
 
 「ふふふ、セナ様のお話などで盛り上がり意気投合なさっていたようですよ?」

 「え?僕の話ですか?」

 「はい!セナ様がいかに尊いお方かしっかりマウアに説明しておきました!」
 
 「コニー…それってどういう…」

 「ほかには帝国の濡れ衣を晴らすこと」
 
 「それとペドロ叔父さんのことも話したんだぁ…」
 
 「そうなんだ」

 「帝国についてはわかっていたんです…けどあの軍服をみると怖くて」
 
 「わかるよ…カトリーヌには悪いけどいまだにちょっと怖いよ」

 「アリア…マウア…」

 「カトリーヌ、ドラニスタにつくまでまだまだ時間がありますよ?」

 「メディーどういう意味ですの?」

 「今の帝国はすでに昔の帝国ではないでしょう?」

 「ええ、そうですわね…何が言いたいんですの?」

 「軍服を新たにデザインしてかえてしまえばよくないですか?」

 「え?歴史ある帝国の軍服をかえることなど!」

 「帝国の伝統とは物や格式というよりその強い心だとおもっていましたが残念ながら違うのですね、物などにすがるような伝統しかないというのならば仕方ありませんが、伝統というのはすべてを守るものなのですか?必要な部分だけ守り、あとは変える、変わるそのようなターニングポイントを見誤るだけならそのようなものは要らないとおもうのですけどねぇ」

 「なっ!」

 「メディー!帝国の服装が古臭くてダサいことは皆触れないようにしていたんですよ!カトリーヌに悪いじゃないですかっ!」

 「なっ!なっ!コ、コニーまで!!」

 「そうかな?私はカッチリしていて結構かっこいいと思っていたけど」

 「エリス?セナ様がお召しになられていたスーツと比べてどうですか?」

 「え?それはスーツのほうがいいに決まってるじゃないっていうかセナ様を引き合いに出さないでくれる?」

 「くぅ!」

 「カトリーヌはどう思うの?想像してみてくださいセナ様が帝国の軍服とスーツを着ているのを見比べて」

 「くっ…ス、スーツのほうが素敵ですわ」

 「そうでしょう、そうでしょう…というわけでこちらです!」

 「え?」

 悔しそうなカトリーヌにメディーが何かを取り出し見せた。

 「本当はリネアで国王様やブレイダー家用にとデザインしていたのですがカトリーヌと私の仲なので特別にこのデザインをおゆずりしますよ」

 「え?え?」

 「リネアですらまだ採用されていない今!帝国が時代を先取りですよ!」

 「え?なんか素敵じゃない?」

 「そうね、カトリーヌが居ないならジルネイに欲しいわね」

 バンと自身のマジックバッグから取り出したスーツタイプの制服を取り出すとエリスとスカーレットが褒めた。

 「これを帝国の軍服の濃い緑色にしたらたしかに素敵かもしれないですね」

 「…………」

 「カトリーヌ今想像しましたね?」

 「そ、そんなことはっ!」

 「はぁ~…仕方ないですね…素直になれないカトリーヌのために素直になれるように最強の手助けをしてあげましょうか」

 「メディーそんなのがあるの?」

 「ありますよ?この世の人だれであれ必ず頷くとっておきの方法が」

 「ふふふっ…さようにございますな」

 「ま、まさかメディー…」

 メディーが言いたいことがわかったヤオがクスクス笑うと察したカトリーヌが驚きの表情をした。

 「セナ様ぁ~」

 「ん?メディーなに?」

 「セナ様は私が作ったこの制服どうおもわれますか?」

 「ん?凄くかっこいいと思うよ、僕も作ってもらいたいくらいだよ」

 「ありがとうございます!セナ様のスーツはすでにいくつか作ってあるのでご安心ください!」

 「え?そうなの?」

 「当然ですよ!」

 朗らかに笑い礼を言うセナにメディーも満面の笑みで答えた後、鼻をフフンとならしカトリーヌをみた。

 「セナ様からもカトリーヌにお願いしてください!せっかく帝国が生まれ変わったんですから見た目でも変わったと周りにアピールしたほうがいいと思うんです!」

 「ああ、なるほどね!そうだねせっかくいい出来だし戻ったらレオ様にもお願いしに行ってみようか」

 「はい!…………それでカトリーヌはどうおもいますか?素直になれそうですか?」

 「メディー卑怯ですわっ!」

 「カトリーヌ諦め時ですよ、セナ様がお出になられた時点で摘んでます」

 「ふふふっそうね」

 「くぅ~!わかりましたわ!メディーあとで型をゆずってください」

 「任せてください!」

 「セナ様って本当におすごい方なのね」

 「でしょ!」

 「ええ、あのように優しく接しながら世の中を変えていける方なのね」

 「そうだよ!セナはあんなに強いのに力で抑えつけたりしないよ!セナはいつも優しさで人も周りもあったかく変えてくれるすごい人なんだよ」

 「みんなが言っていたこと、改めてわかった気がする」

 勝ち誇った顔をしたメディーとどんなことでも負けたことに憤慨するカトリーヌを微笑ましく見ている全員を遠巻きに見てマウアもいつのまにか笑顔になっていた。

 
 ===========================================

 「マウアさんもだいぶ慣れてきたようですね」

 「はい、最近では従魔たちとも触れ合えるようになってきているようです」

 「そうなんですね」

 出発して1週間、ザラタンの上では全員が来る時と同じように襲ってきた魔物を狩ったりそれぞれ修行したり魔界とつながったことで戻っていった従魔たちを呼び出し触れ合ったりしていた。

 「魔界ってもっと暗くて怖いところだと思っていました」

 「そのような場所もありますわ」

 「でもアイリーンさんのお城は豪華で素敵でした」

 「ありがとうございます、いつでもお越しになられて構いませんわ」

 「そうですよ!まだまだ部屋数もあいてますから気軽にいっちゃいましょう!」

 「メディーさんまるで自分の家のようにしてましたものね」

 「それはそうですよ!アイリーンさんとはセナ様にお仕えする仲間というよりもう私たちは家族ですから!」

 「え?」

 「私たちはセナ様にお仕えしていますがぶっちゃけセナ様の家族みたいなものですから!私は敬っていますけど変に遠慮しないことにしているんです!」
 

 「はぁ~…メディーさん大変うれしくは思いますがセナ様には気を使ってくださって」

 「使ってます!皆さんにも使ってますが変に使うのをやめただけです!」

 「メディーさんって何かすごいですね……」

 「ええ、メディーさんですから……」

  マウアが驚いてつぶやくように言った言葉に目線をそらしアイリーンが答えると周りで聞いていたヴァルキューレの面々もそれぞれがかみしめるようにうなずいていた。
 
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