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第7章 大陸編
王とよばれる頂
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「おい、それは私の獲物だ」
「クゥーン!」
結界をあけさせ再び中にはいったサイが走り寄ってきたケルベロスを見ていうとケルベロスは急ブレーキをかけたかのように止まり、お座りをしておとなしくなった。
「それでいい」
左手をケルベロスに向け満足げにサイが頷いた。
「ほぉ!」
「さすがサイだね!」
「偉そうなふてぶてしさもあそこまでいけば驚愕にあたいするくらい尊敬するわ」
その光景をみてアキラは興味深そうにアディオンはけらけらと笑い、リレイはぐったりしながら言った。
「おい豚、待たせたな貴様を狩る時間だ」
「くっ!何を好き勝手なことを!!貴様少しくらい私の好みだからと言って許さんぞ!」
「……師匠あいかわらず……」
「……不憫ですね」
「もう呪われてるんじゃないですか?」
「……ほぅ?貴様らの声しっかり聞こえているからな」
「「「 ひぃ! 」」」
ベルフェゴの言葉を聞き、スカーレット、エリス、コニーが複雑な表情で好き勝手いいあってるのを聞いていたサイが額に盛大に血管をうかばせ睨みつけながら言った。
「そもそも私は魔王だぞ!貴様は何様で私にそのような態度をとっているんだ!」
「ふむ、挨拶が遅れたな私は13英傑の1人とよばれているものだ」
「それがなんだ!私は王だぞ!!」
「あの!失礼ですがサイ様も王ですよ?」
「なんだと小娘!うそを言うな!こいつは獣人であろう!」
「はぁ~その子が言ったことは事実です。そのお方は拳王と呼ばれているのですよ」
「ちなみに拳王様と呼ばれる前は獣王様と呼ばれていたすごい方なんですよ」
「なんだと!?」
メディーがサイも王だといい、補足するようにスカーレットとエリスが言った。
「貴様も己の道をあるき頂きに到達した王だというのであれば…敬意を表し私の本気をみせてやろう」
「え゛……し、師匠まさか……」
「スカーレットどうしたの?」
「まずい!魔王参謀様!ケルベロスを今すぐお戻しください!!」
「ん?よくわからないが了解したよ」
組んでいた腕をとき両手をひろげるようなしぐさをみせたサイをみて焦り始めたスカーレットの言葉を受けエイコはケルベロスを魔界へと戻した。
「ふん、いい判断だな…では特別に私の真の姿をみせてやろう!」
「な!貴様!!体に模様が!?」
「待たせたな……」
獣気を高め全身に巡らせていくとサイの体に黒い虎のような紋様が浮かび上がり見ると爪なども鋭く伸び口には立派な牙が生え瞳はネコ科の動物のようになっていた。
「スカーレット……まさかサイ様は」
「ええ、あれが師匠が獣王とよばれたゆえんよ」
「獣化ができるなんて…しかも自我を保ってる……」
スカーレットの言葉を聞きエリスは驚愕の表情で未だに目の前のサイを信じられずに見つめていた。
「貴様!なんだその姿は!」
「これが我が真の姿だ光栄に思いながら死ね」
驚きながら指をさし言ってくるベルフェゴに淡々とサイが答えゆったりと獲物を狙うように歩き始めた。
「くそが!」
「どうした?ちゃんと狙わねばあたらんぞ?」
「いつのまにそこに!」
ベルフェゴがイライラしながら炎を放ったがサイが一瞬で移動しベルフェゴは我が目をうたがうように驚いた。
「貴様!虎の獣人だろ!なんなのだ!そのスピードは!」
「ふむ、私の種族は虎ではあるがただの虎族ではない」
「なんだと!?」
「我が種族それは雷虎族だ」
「なんだそれは!」
「な、なんと……」
「ほぉ!!!」
サイが淡々と自身の種族を伝えるとヤオとタオそしてエリスは驚き、アキラは眼鏡をはずし興奮しながらサイを見つめていた。
「驚いたでしょ」
「驚くなんてものじゃない!伝説でしかないとおもってたわ!」
「あなた、そんなにめずらしいの?」
「いたたたた、ごめんごめん!僕も初めて見るよ」
スカーレットが意地悪く笑いながら言うとエリスは興奮したように言い、他の女をじろじろみてるなと暗にしらせるようにほほをエイコにつねられたアキラが苦笑気味に答えた。
「ライガーとは伝承では、雷をあやつり雷の速さと強さをもつ虎のような生き物とされていて実在するとは思ってもみなかったよ」
「ふぅ~ん、珍しいのね」
「ああ、スカーレット君やエリス君も珍しいがそれを上回るよ」
アキラが嬉しそうに言ったがエイコは他の女が褒められているように感じ不機嫌に興味なさげに頷いて聞いた。
「一つ聞きたい、貴様らはその魔核を破壊されたら死ぬのか?」
「抜かれたことも壊されたこともないのだ!知るわけないであろう!」
「そうか…ではやってみよう」
「はっ!やれるものならやってみよ!!」
ベルフェゴは魔力を高めながらこわばった表情でいうとサイは獰猛な笑みをうかべた。
「いくぞ!!『雷撃・虎破』」
「がはっ!がはっ!ぐぅ……」
雷属性の獣気をまとったサイがベルフェゴの鳩尾に掌底をたたきこむと反応できなかったベルフェゴは吐血しながらも倒れず耐えてみせた。
「ほぅ?さすが王をなのるだけのことはある…敬意を表し我が最大の拳で葬ってやろう」
「サイ!てめぇ俺にやらせろ!」
「うるさい!だまれ!……いくぞ!!」
『真檄・獣王烈震』
「がぁぁぁ!!!ぐふぅ……ぐはぁ!!」
バチっと放電したサイが残像さえ残さずに3発拳をたたきこむとベルフェゴは驚いた顔をしたまま直立し、よく見ると小刻みに震えていて口や目鼻から緑の血があふれ出し最後にたまった血と石のようなものが口からあふれ出し倒れた。
「ちっ!さすが魔王殿でも破壊できない代物ということか……」
ベルフェゴから吐き出された石をみて苦々しい顔をしたサイからだんだんと紋様が消えていった。
「ベルフェゴ様ぁぁぁ!!がっ!?な……なにを……ベルフェ……ゴ……様」
「ん?」
「サイ!なんかやべぇ!さっさと出ろ!」
「メディー!サイがでたら結界をつよめて!!」
倒れたベルフェゴに駆け寄った敵兵がベルフェゴの体に触れた瞬間くるしみだしガタガタと震えそして干からびたように息絶え、異状に気づいたエイケンとリレイが叫びサイはとりあえず結界からでた。
「ベルフェゴ様!」
「ひぃ!おたすけくださ……」
結界内にのこっていた敵兵が次々ベルフェゴからでた蔦のようなものにつかまり干からびて行った。
「あらら……全員干からびちゃったね」
「あの気持ち悪いのは何かしら」
「知らん、知る気もおきん」
「腹と口からでてるみてぇだな」
「うわぁ気持ち悪さがパワーアップしてしまってますねぇ」
アディオンやリレイなどが気持ち悪そうに結界内でうねうねしているものを見て言い合っていた。
「魔核は食べないみたいですね」
「気持ち悪いですわ…ヤオさん、タオさんアイリーンもあれはご存じないのですか?」
「ありませぬ」
「ありませんわ」
「あれに似たようなものを魔界で1度」
「え?」
カトリーヌが尋ねるとアイリーンが気持ち悪そうに答えた。
「あれはなんなんですの?」
「あれは欲望の芽と魔界で呼ばれていたものですわ」
「欲望の芽……」
「簡潔に申し上げますと男性からは精気を奪い女性には自身の種を植え付けるのですわ」
「え゛……」
「腹内で育った芽が母体となる女性から栄養を吸い取りきると体を突き破り発芽するものなのです」
「こわ!ん?でもあの豚さんは男ですよね?なんで発芽したんでしょうか」
「わかりかねますわ」
コニーの疑問にアイリーンは興味なさげに答えた。
「うげっ!おきあがったよ!?」
「気持ち悪さ倍増ね」
「うむ、アイリーンの言葉が真実であるならば女は近づかぬ方がよいだろうな」
「んじゃエイケンあのウネウネぶった切ってきてよ」
「げっ!きもちわりぃよ」
「ず、ずずずずずーー」
「ひぃぃぃぃ!!きもちわるっ!なにあれ!きもちわるすぎですよ!!!」
アディオンの言葉に心底いやそうな顔をしたエイケンだったが起き上がったベルフェゴが蕎麦をすするように蔦のようなものをすすり飲み込んでいき腹からでていたものも合わせるように腹に入っていくのを見て女性たちは顔を蒼くした。
「げふぅ!ぐへへへ…危なく死ぬところであったわ……」
「おぃおぃ……もうなんか気持ち悪すぎてかける言葉がねぇぞ」
「ベルフェゴ様おひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?礼儀をわきまえ美しいからとくべつにゆるしてやるぞ?ゲッフゥ」
「……ありがとうございます……先ほどの蔦のような物、あれは少し昔に魔界で欲望の芽と呼ばれていたものではありませんか?」
「ん?なんと呼ばれていたかはわからないが確かに魔界に一部を植えたことならばある」
「……お答えいただきありがとうございます」
汚いものをみるような蔑んだ目で尋ねたアイリーンだったがベルフェゴの答えを聞き怒りに震えながらも礼をいった。
「おいアイリーンどうした?」
「エイケン様…私ども吸血鬼も多数が欲望の芽の犠牲になったのでございます…生き残ったのは極わずか、しかし吸血鬼は子をなすことがございません……血を吸われればだれでもなれるというものでもなく……また望まぬ相手から血を吸う行為は欲におぼれた愚かな行為とされており……結局は絶滅の危機に瀕することとなっております」
「……そんなひどいこと」
アイリーンの言葉にエリスが目を見開いてショックをうけていた。
「エリス?」
「ごめん…私の一族もひどい迫害をうけ獣人であることを隠しそれぞれ逃げてくらしてるの…もう自分の同族がだれでどこにいるかなんてわからない……」
「わたしも似たようなものよ」
「ああ」
マインに声をかけられたがエリスの悲しそうな顔でいうとスカーレットも同じ顔で同意し、サイは苦々しい顔をしてうなずいた。
「ちっ!おい豚!てめぇついてるぜ?」
「どこがだ!」
「セナがいたらてめぇ今頃まともに死ぬこともできてねぇからな…だがよ?いまはあいつの気持ちもわかる気がするぜ……」
「貴様なにをいっているのだ?」
「あぁ?てめぇが心底きにいらねぇって話だよ!!」
4人の表情を見て心情を察したエイケンが深いため息をついたかとおもうと愛刀をベルフェゴにむけ鬼人化した。
「なっ!貴様鬼だったのか!」
「ああ、俺はこいつと同じ13英傑で剣王ってよばれてる」
「きさまもケンオウなのか!」
「ああ…同じ王だ俺の相手もしろよ」
「なっ!」
エイケンが剣を数回ふると四陣結界が切られヤオが驚いている中、エイケンはゆっくりと愛剣を担いで中へと入っていった。
「アキラさんこれを」
「うん、たしかに」
中に入ったエイケンが結界が修復される前に魔核を蹴り上げるとアキラの手元に飛んでいきアキラがしっかりと受け止めた。
「あ!貴様!!私の魔核を!」
「うっせぇよ!てめぇあと何個もってんだよ」
「な、なんのことだ?」
「隠してもわかるんだよ!てめぇまだ魔核をもってんだろ?」
「くっ!」
「ほぉー、そこに1つはあるってことか」
とんとんと剣で肩をたたきながら鋭い視線でにらみつけると動揺したベルフェゴは無意識に魔核がある胸あたりをさわってしまいエイケンはそれを見逃さなかった。
「ちがう!」
「別に違ってもなんでもいい……そこをきってみりゃぁわかることだ」
「くっ!きさまも私をみくだしおって!!」
「エリス!特別授業だ!俺のとっておきの奥義をみせてやる!」
「え!?」
「サイ、スカーレットおめぇらもみとけよ?……いくぞ腐れ外道の豚野郎」
「やれるものならやってみろぉぉぉぉ!!」
名前をよばれた3人はエイケンを見つめていた。
「おせぇよ……『業火炎嵐』」
「……かはっ!か、からだがぁぁぁ!!」
剣を超前傾で変則的な正中に構えたエイケンが技を発動させると目にもとまらぬ速さでベルフェゴの背後に走り去っており時間差でベルフェゴの左肩から斜めに袈裟切りされて刃があたった魔核が体から吹き飛んでいき、切られた所からブスブスとベルフェゴの体が燃え出した。
「雷属性だったのに切口は嵐属性?」
「え?意味が分からない……」
「なるほど……さらに高みにのぼっておったか」
エリスとスカーレットが混乱している中、サイだけは一瞬おどろいたが自身より高みに上っていたエイケンに不敵な笑みをうかべ満足そうにしていた。
「師匠!あれは?」
「エイケンは雷属性をまとい、刃だけに嵐属性をのせていた」
「なっ!?す、すごい!!」
サイの説明をきき、スカーレットが目を見開き言葉をうしないエリスは驚愕していた。
「やっぱあの血族はとんでもないわね」
「あっはっは!そうだね!見た目と暑苦しさ以外はやっぱりセナ君とおなじだと実感するよ!」
「うっせぇよ!……ふん!さすがにもう魔核はねぇみてぇだな、それでどうよ?ご自慢の芽も燃えちまってのばせねぇ、魔核をうしなって王のメッキがはがされた気分はよ!」
「ぐっ!はぁはぁはぁ……くそが!」
「ちっ!もういい。アキラさんあとは頼むぜ?」
「ん?いいかい?」
「ええ……あんな下衆に近寄りたくもないわ」
「エイコありがとう」
エイケンが魔核を拾いアキラに声をかけると迅風がゆっくりと降りていきアキラは背からおり結界からでたエイケンと笑顔でハイタッチをし代わりに結界の中に入った。
「クゥーン!」
結界をあけさせ再び中にはいったサイが走り寄ってきたケルベロスを見ていうとケルベロスは急ブレーキをかけたかのように止まり、お座りをしておとなしくなった。
「それでいい」
左手をケルベロスに向け満足げにサイが頷いた。
「ほぉ!」
「さすがサイだね!」
「偉そうなふてぶてしさもあそこまでいけば驚愕にあたいするくらい尊敬するわ」
その光景をみてアキラは興味深そうにアディオンはけらけらと笑い、リレイはぐったりしながら言った。
「おい豚、待たせたな貴様を狩る時間だ」
「くっ!何を好き勝手なことを!!貴様少しくらい私の好みだからと言って許さんぞ!」
「……師匠あいかわらず……」
「……不憫ですね」
「もう呪われてるんじゃないですか?」
「……ほぅ?貴様らの声しっかり聞こえているからな」
「「「 ひぃ! 」」」
ベルフェゴの言葉を聞き、スカーレット、エリス、コニーが複雑な表情で好き勝手いいあってるのを聞いていたサイが額に盛大に血管をうかばせ睨みつけながら言った。
「そもそも私は魔王だぞ!貴様は何様で私にそのような態度をとっているんだ!」
「ふむ、挨拶が遅れたな私は13英傑の1人とよばれているものだ」
「それがなんだ!私は王だぞ!!」
「あの!失礼ですがサイ様も王ですよ?」
「なんだと小娘!うそを言うな!こいつは獣人であろう!」
「はぁ~その子が言ったことは事実です。そのお方は拳王と呼ばれているのですよ」
「ちなみに拳王様と呼ばれる前は獣王様と呼ばれていたすごい方なんですよ」
「なんだと!?」
メディーがサイも王だといい、補足するようにスカーレットとエリスが言った。
「貴様も己の道をあるき頂きに到達した王だというのであれば…敬意を表し私の本気をみせてやろう」
「え゛……し、師匠まさか……」
「スカーレットどうしたの?」
「まずい!魔王参謀様!ケルベロスを今すぐお戻しください!!」
「ん?よくわからないが了解したよ」
組んでいた腕をとき両手をひろげるようなしぐさをみせたサイをみて焦り始めたスカーレットの言葉を受けエイコはケルベロスを魔界へと戻した。
「ふん、いい判断だな…では特別に私の真の姿をみせてやろう!」
「な!貴様!!体に模様が!?」
「待たせたな……」
獣気を高め全身に巡らせていくとサイの体に黒い虎のような紋様が浮かび上がり見ると爪なども鋭く伸び口には立派な牙が生え瞳はネコ科の動物のようになっていた。
「スカーレット……まさかサイ様は」
「ええ、あれが師匠が獣王とよばれたゆえんよ」
「獣化ができるなんて…しかも自我を保ってる……」
スカーレットの言葉を聞きエリスは驚愕の表情で未だに目の前のサイを信じられずに見つめていた。
「貴様!なんだその姿は!」
「これが我が真の姿だ光栄に思いながら死ね」
驚きながら指をさし言ってくるベルフェゴに淡々とサイが答えゆったりと獲物を狙うように歩き始めた。
「くそが!」
「どうした?ちゃんと狙わねばあたらんぞ?」
「いつのまにそこに!」
ベルフェゴがイライラしながら炎を放ったがサイが一瞬で移動しベルフェゴは我が目をうたがうように驚いた。
「貴様!虎の獣人だろ!なんなのだ!そのスピードは!」
「ふむ、私の種族は虎ではあるがただの虎族ではない」
「なんだと!?」
「我が種族それは雷虎族だ」
「なんだそれは!」
「な、なんと……」
「ほぉ!!!」
サイが淡々と自身の種族を伝えるとヤオとタオそしてエリスは驚き、アキラは眼鏡をはずし興奮しながらサイを見つめていた。
「驚いたでしょ」
「驚くなんてものじゃない!伝説でしかないとおもってたわ!」
「あなた、そんなにめずらしいの?」
「いたたたた、ごめんごめん!僕も初めて見るよ」
スカーレットが意地悪く笑いながら言うとエリスは興奮したように言い、他の女をじろじろみてるなと暗にしらせるようにほほをエイコにつねられたアキラが苦笑気味に答えた。
「ライガーとは伝承では、雷をあやつり雷の速さと強さをもつ虎のような生き物とされていて実在するとは思ってもみなかったよ」
「ふぅ~ん、珍しいのね」
「ああ、スカーレット君やエリス君も珍しいがそれを上回るよ」
アキラが嬉しそうに言ったがエイコは他の女が褒められているように感じ不機嫌に興味なさげに頷いて聞いた。
「一つ聞きたい、貴様らはその魔核を破壊されたら死ぬのか?」
「抜かれたことも壊されたこともないのだ!知るわけないであろう!」
「そうか…ではやってみよう」
「はっ!やれるものならやってみよ!!」
ベルフェゴは魔力を高めながらこわばった表情でいうとサイは獰猛な笑みをうかべた。
「いくぞ!!『雷撃・虎破』」
「がはっ!がはっ!ぐぅ……」
雷属性の獣気をまとったサイがベルフェゴの鳩尾に掌底をたたきこむと反応できなかったベルフェゴは吐血しながらも倒れず耐えてみせた。
「ほぅ?さすが王をなのるだけのことはある…敬意を表し我が最大の拳で葬ってやろう」
「サイ!てめぇ俺にやらせろ!」
「うるさい!だまれ!……いくぞ!!」
『真檄・獣王烈震』
「がぁぁぁ!!!ぐふぅ……ぐはぁ!!」
バチっと放電したサイが残像さえ残さずに3発拳をたたきこむとベルフェゴは驚いた顔をしたまま直立し、よく見ると小刻みに震えていて口や目鼻から緑の血があふれ出し最後にたまった血と石のようなものが口からあふれ出し倒れた。
「ちっ!さすが魔王殿でも破壊できない代物ということか……」
ベルフェゴから吐き出された石をみて苦々しい顔をしたサイからだんだんと紋様が消えていった。
「ベルフェゴ様ぁぁぁ!!がっ!?な……なにを……ベルフェ……ゴ……様」
「ん?」
「サイ!なんかやべぇ!さっさと出ろ!」
「メディー!サイがでたら結界をつよめて!!」
倒れたベルフェゴに駆け寄った敵兵がベルフェゴの体に触れた瞬間くるしみだしガタガタと震えそして干からびたように息絶え、異状に気づいたエイケンとリレイが叫びサイはとりあえず結界からでた。
「ベルフェゴ様!」
「ひぃ!おたすけくださ……」
結界内にのこっていた敵兵が次々ベルフェゴからでた蔦のようなものにつかまり干からびて行った。
「あらら……全員干からびちゃったね」
「あの気持ち悪いのは何かしら」
「知らん、知る気もおきん」
「腹と口からでてるみてぇだな」
「うわぁ気持ち悪さがパワーアップしてしまってますねぇ」
アディオンやリレイなどが気持ち悪そうに結界内でうねうねしているものを見て言い合っていた。
「魔核は食べないみたいですね」
「気持ち悪いですわ…ヤオさん、タオさんアイリーンもあれはご存じないのですか?」
「ありませぬ」
「ありませんわ」
「あれに似たようなものを魔界で1度」
「え?」
カトリーヌが尋ねるとアイリーンが気持ち悪そうに答えた。
「あれはなんなんですの?」
「あれは欲望の芽と魔界で呼ばれていたものですわ」
「欲望の芽……」
「簡潔に申し上げますと男性からは精気を奪い女性には自身の種を植え付けるのですわ」
「え゛……」
「腹内で育った芽が母体となる女性から栄養を吸い取りきると体を突き破り発芽するものなのです」
「こわ!ん?でもあの豚さんは男ですよね?なんで発芽したんでしょうか」
「わかりかねますわ」
コニーの疑問にアイリーンは興味なさげに答えた。
「うげっ!おきあがったよ!?」
「気持ち悪さ倍増ね」
「うむ、アイリーンの言葉が真実であるならば女は近づかぬ方がよいだろうな」
「んじゃエイケンあのウネウネぶった切ってきてよ」
「げっ!きもちわりぃよ」
「ず、ずずずずずーー」
「ひぃぃぃぃ!!きもちわるっ!なにあれ!きもちわるすぎですよ!!!」
アディオンの言葉に心底いやそうな顔をしたエイケンだったが起き上がったベルフェゴが蕎麦をすするように蔦のようなものをすすり飲み込んでいき腹からでていたものも合わせるように腹に入っていくのを見て女性たちは顔を蒼くした。
「げふぅ!ぐへへへ…危なく死ぬところであったわ……」
「おぃおぃ……もうなんか気持ち悪すぎてかける言葉がねぇぞ」
「ベルフェゴ様おひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?礼儀をわきまえ美しいからとくべつにゆるしてやるぞ?ゲッフゥ」
「……ありがとうございます……先ほどの蔦のような物、あれは少し昔に魔界で欲望の芽と呼ばれていたものではありませんか?」
「ん?なんと呼ばれていたかはわからないが確かに魔界に一部を植えたことならばある」
「……お答えいただきありがとうございます」
汚いものをみるような蔑んだ目で尋ねたアイリーンだったがベルフェゴの答えを聞き怒りに震えながらも礼をいった。
「おいアイリーンどうした?」
「エイケン様…私ども吸血鬼も多数が欲望の芽の犠牲になったのでございます…生き残ったのは極わずか、しかし吸血鬼は子をなすことがございません……血を吸われればだれでもなれるというものでもなく……また望まぬ相手から血を吸う行為は欲におぼれた愚かな行為とされており……結局は絶滅の危機に瀕することとなっております」
「……そんなひどいこと」
アイリーンの言葉にエリスが目を見開いてショックをうけていた。
「エリス?」
「ごめん…私の一族もひどい迫害をうけ獣人であることを隠しそれぞれ逃げてくらしてるの…もう自分の同族がだれでどこにいるかなんてわからない……」
「わたしも似たようなものよ」
「ああ」
マインに声をかけられたがエリスの悲しそうな顔でいうとスカーレットも同じ顔で同意し、サイは苦々しい顔をしてうなずいた。
「ちっ!おい豚!てめぇついてるぜ?」
「どこがだ!」
「セナがいたらてめぇ今頃まともに死ぬこともできてねぇからな…だがよ?いまはあいつの気持ちもわかる気がするぜ……」
「貴様なにをいっているのだ?」
「あぁ?てめぇが心底きにいらねぇって話だよ!!」
4人の表情を見て心情を察したエイケンが深いため息をついたかとおもうと愛刀をベルフェゴにむけ鬼人化した。
「なっ!貴様鬼だったのか!」
「ああ、俺はこいつと同じ13英傑で剣王ってよばれてる」
「きさまもケンオウなのか!」
「ああ…同じ王だ俺の相手もしろよ」
「なっ!」
エイケンが剣を数回ふると四陣結界が切られヤオが驚いている中、エイケンはゆっくりと愛剣を担いで中へと入っていった。
「アキラさんこれを」
「うん、たしかに」
中に入ったエイケンが結界が修復される前に魔核を蹴り上げるとアキラの手元に飛んでいきアキラがしっかりと受け止めた。
「あ!貴様!!私の魔核を!」
「うっせぇよ!てめぇあと何個もってんだよ」
「な、なんのことだ?」
「隠してもわかるんだよ!てめぇまだ魔核をもってんだろ?」
「くっ!」
「ほぉー、そこに1つはあるってことか」
とんとんと剣で肩をたたきながら鋭い視線でにらみつけると動揺したベルフェゴは無意識に魔核がある胸あたりをさわってしまいエイケンはそれを見逃さなかった。
「ちがう!」
「別に違ってもなんでもいい……そこをきってみりゃぁわかることだ」
「くっ!きさまも私をみくだしおって!!」
「エリス!特別授業だ!俺のとっておきの奥義をみせてやる!」
「え!?」
「サイ、スカーレットおめぇらもみとけよ?……いくぞ腐れ外道の豚野郎」
「やれるものならやってみろぉぉぉぉ!!」
名前をよばれた3人はエイケンを見つめていた。
「おせぇよ……『業火炎嵐』」
「……かはっ!か、からだがぁぁぁ!!」
剣を超前傾で変則的な正中に構えたエイケンが技を発動させると目にもとまらぬ速さでベルフェゴの背後に走り去っており時間差でベルフェゴの左肩から斜めに袈裟切りされて刃があたった魔核が体から吹き飛んでいき、切られた所からブスブスとベルフェゴの体が燃え出した。
「雷属性だったのに切口は嵐属性?」
「え?意味が分からない……」
「なるほど……さらに高みにのぼっておったか」
エリスとスカーレットが混乱している中、サイだけは一瞬おどろいたが自身より高みに上っていたエイケンに不敵な笑みをうかべ満足そうにしていた。
「師匠!あれは?」
「エイケンは雷属性をまとい、刃だけに嵐属性をのせていた」
「なっ!?す、すごい!!」
サイの説明をきき、スカーレットが目を見開き言葉をうしないエリスは驚愕していた。
「やっぱあの血族はとんでもないわね」
「あっはっは!そうだね!見た目と暑苦しさ以外はやっぱりセナ君とおなじだと実感するよ!」
「うっせぇよ!……ふん!さすがにもう魔核はねぇみてぇだな、それでどうよ?ご自慢の芽も燃えちまってのばせねぇ、魔核をうしなって王のメッキがはがされた気分はよ!」
「ぐっ!はぁはぁはぁ……くそが!」
「ちっ!もういい。アキラさんあとは頼むぜ?」
「ん?いいかい?」
「ええ……あんな下衆に近寄りたくもないわ」
「エイコありがとう」
エイケンが魔核を拾いアキラに声をかけると迅風がゆっくりと降りていきアキラは背からおり結界からでたエイケンと笑顔でハイタッチをし代わりに結界の中に入った。
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クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す
大小判
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平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし
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「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
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冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
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これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
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