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第7章 大陸編

悲しみの咆哮

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 「皆の者ご苦労であった」

 「はっ!」

 ドラニスタを守り切り城でエイシャを前に被害の状況などをゲイリーが報告をしおえねぎらいの言葉をもらった。

 ================================================

 「敵はやはり別の大陸からのもので間違いねぇな、焦げ残った武器なんかは見たことのねぇものがいくつもあった」

 「ふむ」

 「わりぃがアキラさんに渡すからちっと調べてみてくんねぇかな」

 「いいのかい?」

 「かまわないわ、そのほうが早くて確実だもの」

 「お義理母さん、エイケン君ありがとうございます」

 「それにしても…グラニールには度肝抜かれたぜ」

 「ああ、僕もさ。まさか龍が魔力と獣気をもつなんてね」

 「体躯もありゃぁもうラミレスよかでけぇんじゃねぇか?」

 「ええ、ラミレスより二回りほど大きいみたいね」

 「げっ…マジかよ…」

 報告を終え身内だけとなりエイシャもいつもの口調へとなりながらグラニールのことを話し出した。

 「なぁ…おふくろ1つ聞いていいか?」

 「なによ改まって」

 「グラニールには度肝ぬかれたが…それよりもセナだ…あいつどこまで力があがるんだ?」

 「…私が聞きたいわ」

 「んー、僕もそれは気になっていたんだが、からこちらに来て適応したものは少なからず元からいるこちらの人間たちよりは強い力を得るというのは想像につきやすいがセナ君については異常だ」

 「ああ、しかもあいつどう見ても10代後半か20代前半あたりまで体がもどっちまってるだろ?」

 「ああ、普通ならば2~3歳程度だが彼は10歳は若返って見える…その後手に入れた力で加齢が遅れるのはわかるが肉体が全盛時をずっと維持しているようだし…その辺が彼の限界のなさにつながっている可能性もあるね」

 「いやいや!限度があるだろ!」

 「あなたも、エイケンあんたもよ、セナちゃんだからにきまってるじゃない」

 「いや理由になってねぇよ!」

 「いいのよ!どんなに強かろうが可愛いセナちゃんのままなんだから!」

 「エイコの言うとおりね。可愛い孫が強くなってこの世界でも元気に暮らしている…今はそれだけで十分ね」

 「そうよ」

 「あはははは!確かに!セナ君はセナ君で変わりないね!」

 「はぁ~…俺だけはしっかりセナをみてやろう…」

 3人の揺るがない態度にエイケンはげんなりしながら肩を落としつぶやいた。

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 「グラニール…結局助けられてしまったわね…ありがとう」

 「グラニール!あの魔法陣!!あれ!あれを私にも教えてください!!!」

 「グルル…」

 「エリスさんとコニーさんが必死に自分と仲間たちを守ろうとしてくれたのにありがとうと言っているよ。それとまだ言葉をしゃべれないから魔法陣については説明できないって」

 「グラニール!当り前じゃない!!」

 「ぐっ!…言葉をしゃべれるようになるのであればなった時には必ず教えてくださいね!!」

 セナがグラニールの言葉をまるで通訳するかのように伝えるとエリスは感極まりグラニールに抱き着き、コニーは悔しそうに指さしながら必死にお願いをしていた。

 「さすがコニーですわ…龍が人語を話すことに…驚かないなんて…」

 「グラニールですからね!話せても不思議じゃありませんよ!龍なのに獣気と魔力まで使いこなすんですから!」

 「そうですわ!ハァハァ!この神々しいまでのグラニールなのですからハァハァ!そんな些細な事問題ではありませんわハァハァ~!」

 「タオさんの言う通りですよ!この威風堂々とした姿をみてください!優雅に空を統べる絶対的な王のお姿ですよ!」

 「メディー!まさしくその通りですわ!!」

 「あはははは!とりあえずグラニールの調子が良くなってほんとうによかったよ!」

 「グルルワ」

 コニーの姿にアイリーンが呆気に取られているのとは別に興奮さめやらぬタオとメディーにヤオが絶句している中、セナは体調がよくなったと優しくグラニールを撫でた。

=====================================================

  「もう、あまり無理してはいけませんよ?」

 「ブルルルル」

 その後、各自元居た場所へセナに送り届けられ、メディーと迅風はジルネイへと戻ってきていた。

 「…もしグラニールが覚醒して成体になるために体調が悪かったとしたら…迅風も…まさかですよね!あなたはもう成体ですもんね!」

 グラニールを思い出し優しく迅風を撫でながらメディーが自身の可能性を否定した。

 =========================================

 「なにごとですか!?」

 「メ、メル様!ジルネイ北部に空に無数の魔物が!!」

 「え!?」

 「このままではホーシーが!」

 「なんですって!!すぐに兵を!」

 ==========================================

 「!?」

 「迅風?うわ!まってください!!うひぃぃぃぃぃぃ!!!」

 兵がメルに報告をしていた少し前、なにかに驚いた顔をした迅風が心配そうに様子を伺うメディーをひょいと自身の背中に咥え投げ捨てるとそのまま馬房を飛び出し街からでると魔力を爆発させさらに加速した。


 ==============================================

 「!!」

 「どうしたんですか?うわっ!グ、グラニール!!どこに!!」

 エリスをつまみあげグラニールが上空高く舞い上がると一気に加速して飛び立った。


 =============================================

 「うひぃぃぃぃぃぃ!!!迅風どこまで行くんですか!!」

 「ヒヒィーーーーーーーン!!!!!!!!」

 圧倒的な速度で駆け抜ける迅風が急に止まり威嚇するように鳴き声をあげた。

 「へぶっ!急にとまらないで…って…え?…なにあれ…」

 鼻を抑えうらめしそうに言ったメディーの目に映ったのは空一面を黒にそめあげた無数のなにをだった。

 「!!ブルルルル……ヒヒィーーーーーーーン!!」

 「うわぁぁ!迅風はやすぎるぅぅぅぅぅぅ!!!」

 前足で地面を数回かいたあと姿勢を低くした迅風が一気にトップスピードで駆け出した。

 「うひぃぃぃぃぃぃ!!!……え!?あれってホーシー!?え?え?攻撃されてるの!?」
 
 ============================================

 「皆的にならぬよう足をとめるな!女子供!戦えぬものは地下に入れろ!!」

 「くそっ!!ここでなんとか食い止めるぞ!!森に行かせるな!」

 「おぉ!!バトルホースは絶好の的になる!これ以上やらせるわけにも森にも行かせるわけにもいかん!!食い止めろ!!」

 「おお!」
  
 「このままでは神馬様に顔がたたん!森の民の意地をみせろ!!!」

 
 迅風が近づくにつれホーシーの人々が空に向け必死に矢を放ちながら鼓舞しあっており村の前や中には数頭のバトルホースが投槍などが突き刺さり息絶えていた。

 「なっ!!ひ、ひどい!!迅風!急いでください!!」

 「ヒヒィーーン!」

 必死に迅風の首にしがみつきながらその惨劇をみたメディーがショックをうけながらもグローブをなんとか装着し迅風が村の外塀を飛び越えた瞬間持てるすべての簡易結界を発動させた。

 「し、神馬様!メディー様!?」

 「だ、だいじょうぶですか!」

 村のほとんどを覆いつくすように発動させた結界を片手で維持させながらさらにマジックバッグから結界を取り出しつつメディーは村人たちの安否を確認した。

 「多少の被害はありましたが我々は大丈夫です……しかし……」

 メディーに駆け寄った男が横たわり息絶えているバトルホースたちをみて言葉に詰まった。

 「そうですか……」

 「この馬たちは……村の女子供…戦えない者たちが避難するまでの間、必死に…身を挺して守ってくれた英雄たちです…神馬様…もうしわけありません!」

 男は悔しそうに涙を流しながら迅風に土下座をすると迅風は優しく鼻を男の頭につけた。

 「泣いている暇はありませんよ!結界もいつまでもつかわかりません!」

 「は、はい!」

 ==========================================

 「失礼いたします…セナ様ジルネイの北東にあるホーシーという村が襲われており迅風様とメディーさんがむかわれております」

 「え!?」

 「グラニール様とエリスさんも向かっております」

 「敵の数は」

 「上空に無数の魔物が飛んでおります」

 「そうですか、ではすぐにでも向かいましょう!」

 「御意!」

 =============================================

 「失礼いたしますわ」

 「アイリーンさん!」

 「セナ様がもうすぐお越しになられますのしばし耐えてくださいませ」

 「は、はい!あ!ありがとうございます!」

 「いえ、これくらいしか今はできませんわ」

 「十分です!」

 セナに報告したアイリーンがメディーの結界の上にさらに闇の魔力で結界をはった。

 「迅風!セナ様がきてくれますよ!…迅風?」

 嬉しそうに声をかけたメディーを無視するように迅風が村の中をゆったりと歩き出した。

 「ブルルルル……」

 「迅風…気持ちはわかりますが…今は目の前のことに集中しましょう?あとで必ず手厚く……ね?」

 息絶えたバトルホース1頭ずつに鼻をつけていく迅風にいたたまれない気持ちを抑えメディーが悲しそうな笑顔で言った。

 「ギャッギャッギャッギャ」

 悲しみに耐えている迅風をあざ笑うかのように空に飛んでいる羽の生えた猿のような魔物が指さし笑って挑発した。

 「くっ!調子に乗って!!あんたらなんか!迅風が本調子なら一瞬で塵にできるんだからねっ!!あっ!」

 挑発に乗ったメディーがミスをし結界が弱まった瞬間魔物たちはいっせいに手に持っていた石や投槍などを投擲してきた。

 「くぅ!きゃ!!」

 「!?」

 なんとか結界を持ち直した瞬間メディーの側頭部に投げつけられメディーは額から血を噴出し倒れた。

 「け…結界を…ぐぅ…」
 
 「ぎゃっぎゃっぎゃ!!」

 倒れこみながらも歯を食いしばり這うようにしながら必死に結界を維持しようとしているメディーを魔物たちが指さし汚い笑い声をあげ馬鹿にしたように笑いあっていた。

 「ブルルルルル……ググググ……グガァァァァァ!!!!」


 その光景をみて迅風の中で何かが砕けるような感覚とともに周囲にも聞こえるほどのブチンという何かが切れる音がすると後ろ脚だけで立ち上がった迅風が今までに聞いたこともない鳴き声を上げた。 
 
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