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第7章 大陸編

目覚めよ!

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 「なにあれ!大丈夫なの!?」

 「エイケン様!東と西に援軍です!魔王様とヴァルキューレのお二人がお越しになられました」

 「あぁ?んじゃやっぱさっきのは…サナリア大丈夫だ!ありゃぁコニーの魔法だ!」

 「はぁ~?ま、まぁいいわ!」

 「下はなんとかなりそうだが上がちっと押されてんな」

 先ほど急にあらわれた強い力がエイコのものだと聞いたエイケンは東に突如上がった火柱と西に淀み始めた黒い雲がコニーとアイリーンのものだと知り安堵の息を吐いたが上空ではドラニスタの飛龍たちが苦戦をしいられており苦々しい顔をしてそれを見つめた。

 「ゲイリー空がよえぇぞ!」

 「向こうの飛龍の陰から捨て身で小型の魔物が!」

 「くそ!このままじゃ上から抜かれちまう!」

 上空での戦いをみながらなんとか打つ手を必死に考えるエイケンとゲイリーだが圧倒的な数の差にいい案が思いつかず焦り始めていた。

 ==========================================

 「きゃ!」

 「んーー!!上空の敵が厄介ですね!」

 エリスが空から降ってくる攻撃に短い悲鳴をあげ、コニーは必死に空と海に攻撃をしているが手数が足りていなかった。

 ========================================

 「さすがに魔物には瘴気はあまり効果がありませんわね…」

 アイリーンの出した瘴気の雲は敵と味方の飛龍には効果があるが魔物にはあまり効果がなく、倒した飛龍をゾンビに変え飛ばしてはいるもののゾンビに俊敏な行動はできず上空ではあまり効果的とはいえなかった。

 ==========================================

 「………」

 少し前から体の節々が痛み体も倦怠感におそわれまともに飛ぶことさえ最近はつらくなり今も戦場の後方で待機はしているだけのグラニールが戦場をただただじっと見ていた。

 「グギャァー!」

 「グルルルル」

 「上を抜かせるな!」

 「街と城をまもれ!」

 「ぐはっ!」

 グラニールは次々と敵も味方も死んでいく光景と耳に入る仲間の声や断末魔をただただじっと聞いていた。

 「てめぇら気張りやがれ!」

 「ここは抜かせないわ!」

 「………」

 「忌々しいですわね」

 「やらせません!!ここで役に立たなければきた意味がありません!」

 「………」

 「はぁはぁ~…きゃぁ!……くっ!ドラニスタここは必ず守ってみせる……皆も…グラニールも……セナ様の大事なものを守ってみせると剣に誓った!……だから!だから必ず守り切ってみせる!!」 

 『………グルルルル………ガァァァァァァァァ!!!!』

 エイケンが周りを鼓舞し、サナリアが必死に結界の起点をまもり、アイリーンとコニーが空と海の敵に必死に攻撃し、そして慣れない属性化をし動きが鈍ったエリスが敵の攻撃を受け吹き飛びながらも自分たちをまもるため力を振り絞り立ち上がるのが目に入った瞬間、グラニールの中で鎖がちぎれるような音がするとすべてを揺るがすかのような咆哮とともに翼を広げ立ち上がった。

 「なに!?え?なにあれ!」

 「うぉ!?グラニール!?まさか!」

 地響きが起こったようなグラニールの咆哮に敵味方が驚き同じ方角をみるとグラニールのいる場所の上空に厚い雷雲が立ち込めはじめグラニールが全身から光を放ちながら飛び上がり雲の中へと消えた。

 ============================

 「ちょっと母さん!なによあれ!」

 「お義理母さん、あれはまさか……」

 「え、ええ……」

 (ラミ!あれってまさか!)

 (え、ええ……私も驚いてるわ…けど間違いなく覚醒よ…)

 「どうやらグラニールが覚醒するみたい…」

 「え!?ですが通常だと個体差があるにしても最低でも10年から20年といわれていますよね!」

 「え、ええ……だけどあの子はセナちゃんの龍で特別だから……」

 ================================

 「ブルルルル!」

 「きゃ!どうしたんですか?迅風!」

 =================================

 「ん?グラニール?」

 「どうなさいましたセナ様」

 「今、グラニールに僕と迅風が呼ばれた気が…」

 「セナ様!グラニール殿になにかあったのでは?すぐに参りましょう!」

 「え?タ、タオさん落ち着て!迅風と合流して向かいましょう!」

 =================================

 「セナ様あれなんですか!?」

 「あそこにグラニールがいるみたいだ」

 「これはグラニール殿が孵った時と同じ……タオ殿あれはもしや…」

 「ええ、間違いありませんわ……覚醒ですわ」

 迅風とメディーと合流したセナ達がドラニスタに転移し上空を見た。

 「ん?ああ、そうだね……わかっているよ迅風…」

 「セナ様?」

 「どうなさったんですか?迅風も?」

 空を見た後、鼻を鳴らした迅風をやさしくなでセナが刀を抜き迅風へとまたがった。

 「メディー?危ないから離れて結界をはってくれるかい?」

 「え?わ、わかりました」

 「ヤオさん、タオさんも」

 「ぎょ、御意!」

 「かしこまりました!」

 セナが優しい目で3人にいうと焦ったように3人は離れ結界を全力で張った。

 「じゃあ…やろうか迅風」

 「ブルル……」

 セナの言葉にカッポカッポとゆっくりと迅風が歩き始め、雲に映るグラニールの陰の真下あたりまでくると足を止めた。

 「全開だよ?いけるかい?」

 「ブルルル……」

 「うん……じゃあ……やるよ!」

 「!!……ヒヒィーーーーーーーン!!!」

 掛け声と同時にセナがすべての力を開放すると迅風も風の魔力を最大限に開放した。そして二人の力が混ざりあうと眩い光が二人を包みこんだ。

 ==============================

 「今度はなんだ!」

 「きゃ!なに!?大気がゆれてる!?」

 「セナ様?」

 「なっ!?これはセナ様ですか!?」

 「なにこれ……」

 セナと迅風が最大のちからを放ち始めると大地がゆれまるで大気までもがゆれたように感じエイケンたちをはじめ異変にきづいた者たちは力の震源をみた。

 「ん?セナちゃんもきたようね」

 「え、ええ……グラニールが呼んだようよ」

 「おお!セナ君また力が上がったようだね!これはすごいな!」

 場内では力に気づいた3人が窓の外をみた。

 「よし!やるよ!」

 「ヒヒィーーーーーーーン!」

 「うけとれグラニール!!!」

 まじりあった力が最高潮に達したとき、セナが上空にかかげた刀からすべての力をグラニールへと向かい放った。


 『グルルルル……グワァァァァァァァァァ!!』

 セナの放った力が雲を突き抜けグラニールに直撃した瞬間、いくつもの雷が降り注ぎ収まった瞬間、グラニールの咆哮が響き渡ると雲が飛び散りそこには翼を広げたグラニールの姿があった。

 「なっ!ありゃぁグラニールなのか?」

 「なによ……あれ……」

 エイケンとサナリアが上空をみながら驚いていたが、それは二人だけではなく戦場すべてがまるで戦いが終わったかのように静まり返り止まってしまっていた。

 「おぉ?グラニールすごく大きくなったなぁ」

 「ブルルル…」

 セナは成体となったグラニールをみながら満足げに迅風を一撫でした。

 ========================================

 「グルワァ」

 「え?グ、グラニール?」

 体調が悪い中、常に気を使い自分を守ろうとしてくれたエリスをみたグラニールと目が合ったエリスが困惑していた。

 「……グルルルルルル」

 「おいおい…でかくなりすぎだろ……ってかあいつ何やる気だ?」

 上空からグラニールがあたりを見渡すと傷ついた仲間や命を落とした味方が目に入ると低く喉をならし力を集め始めた。

 「魔、魔法陣!?なぜグラニールが古代魔法エンシェントマジックを!?それは途絶えた魔法ロストマジックなんですよ!?というかそもそもなぜ魔法が使えるんですか!?」

 力をためたグラニールの頭上を中心に戦場をのみこむのではないかというほどの規模の魔法陣が上空に広がるとコニーが驚きすぎて困惑していた。

 「グルルルル!」

 「!?雷!属性化!?」

 グラニールがに龍気、燐気そして新たに魔力を雷属性へと変えた力を集め始めた。

 「来るよ」

 『グルワァァァァァァァ!』

 力を極限まで集めたグラニールが咆哮とともに魔法陣の中心へと力を放出すると魔法陣が一気に輝き無数の雷を魔法陣の下へと落とした。

 「なっ!でたらめすぎんだろ!」

 「え?敵が……全滅したの……?」

 その光景をみたエイケンとサナリアがあたりを見渡すと敵だけが落雷を食らい丸焦げになっていた。
 
 「うわぁ…すごいとは文献で読みましたが…よもやここまでとは……」

 「グラニール…やはりすごい!」

 コニーが愕然としエリスが感動したようにつぶやいた。

 「ヤオ殿!メディー!見てくださいまし!あの神々しいまでのお姿を!」

 「はい!もう言葉では言い表せないほど神々しく素晴らしいですね!見てください!あの3本になった角と6対に増えた羽の絶妙なバランス!鱗もさらに硬質化しているのか輝きが増してますよ!まるで1枚1枚宝石のようです!」

 「そ、そうにございますな…」

 圧倒的なサイズになった体躯とそれに引けを取らない攻撃力を見せたグラニールにヤオが驚愕したが、タオとメディーのテンションのせいで一気に冷静さを取り戻してしまい、内心複雑な心境となっていた。
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