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第7章 大陸編

兆し

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 「はぁ~静かねぇ」

 「ええ、誰もいないとほんと静かなものね」

 レイファとオリファが誰もいない屋敷でお茶を飲んでいた。

 「セナ様はランドリーフへ切り出しにむかってしまい、他のメンバーもそれぞれ修行に行ってしまってるんだもん」

 「エリスとグラニールはドラニスタ、スカーレットとメディー、それに迅風はジルネイでしょ?」

 「ええ、コニーは魔大陸でコルネとマインはアリアと共にエターニャへカトリーヌも帝国へ戻っているわ」

 「いざ屋敷ができてもだーれもいないんじゃ意味ないわね」

 「ふふっ、皆が返ってくる場所があるというだけで違うものよ」

 「そうね!では私は皆がいつ戻ってきてもいいように屋敷をピカピカにしておくわ」

 レイファがやる気を出し立ち上がるとブレイダー邸へと人員確保の為向かっていった。

 「では私はこれまとめてしまいますか」

 レイファを見送ったオリファがおびただしい数の伝票を取り出すと、セナの技術使用料の入金と屋敷建設の支払い、各国への支援金をまとめ始めた。

 ====================================

 「コニー随分がんばるじゃないか」

 「それはそうですよ先生!私全く役に立たなかったんですから!ベヘモートさんの力はまだまだあんなものじゃないんです!私がもっと強くなるしかありません!」

 模擬戦でメディーの結界を破れず、その後セナには自ら繰り出した魔法すべてを切り伏せられ、かつそれをそのままコピーされ返されるという屈辱を味わったコニーは魔大陸でさらなるレベルアップと新たな魔法の習得にせいを出していた。

 ====================================

 「カトリーヌ少し休んではどうだ?」

 「そのような悠長なことなどできませんわ!私が休んでいる間も必ず皆はさらなる力をお付けになっておられますもの!」

 帝国へもどったカトリーヌは様々な戦術や地形の活かし方、そして自身の武力向上のための鍛錬など目まぐるしく動いていてその間も帝国の復興の手伝いなどをこなしていたためレオが心配そうに声をかけるが意に介さず帝国魂が燃え上がりっぱなしでいた。

 「武の帝国の皇女が武の領分で辛酸をなめるなどもう2度とあってはなりませんわ!」

 ヴァルキューレとしての自身の役割とやれることやれないことを改めて考え直し今日もカトリーヌは己を高めるために縦横無尽に駆け巡った。

 ====================================

 「コルネ無理はするな」

 「わかってはおりますがこのままでは守ることも何もできませんシャドウ様」

 模擬戦でセナだけではなくエイケンにまで気配をよまれ攻撃のすべてをことごとく防がれ一方的に倒されたコルネは神皇国で師匠のシャドウの元へ赴き再び修行を始めていた。

 「道具に頼っていたのは否めないがお前の腕が鈍っていたとも思えんがな」

 「だからと言ってこのままではいづれ皆に置いて行かれてしまいます…」

 「お前がそのように考えついていくのがやっとというのが信じられんが…あのメンツを見れば仕方ないな」

 「はい…必ず皆をアリアを守りセナ様の元に居続けるため…」

 覚悟の火をともしたコルネをみて昔のすべてに絶望し光を失っていたかのような目をしていたのをしっているシャドウは嬉しくも複雑な心境でコルネの修行を見守った。

 ====================================

 「うんうん!筋がいいよマイン」

 「ありがとうございますアディオン様」

 マインはアディオンの元、さらなる医療と神聖魔法の向上の為ひび研究と修行に明け暮れていた。

 「体力がなくなっても一定の魔力を出し続けるんだ」

 「はい!」

 「しかし急に訪ねて来て修行したいと言ってきたのには驚いたよ」

 「セナ様の元には私しか治療師はいません、セナ様が唯一お持ちになっていない神聖魔法…私の役目はそこしかありません!ですから私はどんな状況でも怪我をすることもなく皆を回復しなければと思いまして」

 「うんうん!治療師は怪我も病気もしてはいけないよ?君が倒れたら仲間が死ぬと考えた方がいい」

 「はい!」

 「ボクが教えれるすべてを君に伝授してあげるから頑張るんだよ?」

 「っ!?ありがとうございますアディオン様!すごく光栄です!」

 「うんうん!スターシャの弟子はボクの弟子でもある気にしないでくれ!」

 素直なマインにアディオンは上機嫌に修行をつけていき、それはある種常軌を逸することもあるがマインは仲間の為、セナの為に必死に頑張りつづけた。

 ==================================

 「くっ!」

 「どうしたスカーレット」

 「同じ属性なのに押し負けるなんて…」

 「貴様はなまじ力があるから力に負けるのだ。我が拳の神髄を思い出せ」

 「師匠の拳…ふぅ~」

 「そうだ、力に頼るな。余計な力みは隙を生むぞ」

 「はい!」

 サイの元、更なる高みをめざすため今一度原点から己を鍛え上げることにしたスカーレットにサイは満足げにうなずいていた。

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 「んー、どこにも異常はないんだけどなぁ…」

 ジルネイにあるセナ命名の迅風森林公園内にある迅風の厩舎でメディーが最近元気のない迅風の様子をみていた。

 「ブルルル…」

 「食欲も少し落ちてるわね…疲れてるのかしら…迅風?少しゆっくり休みましょう」

 「ブルルル」

 迅風をやさしくなでたメディーは消化によい食材を求め冒険者ギルドへとむかった。

 =======================================

 「セナ様、もう一回り小さいものを500程と連絡がきておりまする」

 「わかりました。これくらいでいいか確認を頼めますか?」

 「御意」

 セナたちはランドリーフでルイーネの許可の元、各国への支援資材である鉱物の採掘と切り出しを手伝っていた。

 「セナ様お疲れではありませんか?」

 「大丈夫です!今日中にこれを切り出してしまえば明日からは搬送に専念できるそうなのでやってしまいたいですしね」

 セナが山を切り崩し採掘した鉱物の山をみていうのを見てタオはもはや驚くこともなくそうかと納得しせっせとセナの手伝いに回っていた。

 「セナ様、ドラニスタへ詳細不明な軍勢が迫っております」

 「え!?」

 「ただ対応はエイシャ様とエイケン様、サナリア様にエリスそれとグラニールがおられますので今のところ援軍は必要ないとのことにございますわ」

 「そうですか…では一応、皆にもそのことを伝えていただけますか?」

 「かしこまりました」

 せっせと額に汗をうかべセナが作業をしているとアイリーンからドラニスタで戦闘がはじまりそうだと告げられセナはいつ応援要請が来てもいいように作業のスピードを高めた。

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 「ゲイリー!兵の配置はすんでるだろうな!」

 「もちろんにございます!飛龍隊の配備もすでにおわっております!」

 「おう!さすがだな!」

 「エリス敵は空と海からくるぞ!油断すんじゃねぇぞ!」

 「はい!セナ様に援軍不要とお伝えしたのに後で泣きつくわけにはいきません!」

 「おう!上等だ!!気張りすぎてヘマすんなよ!」

 「はい!…グラニールの故郷を荒らされるわけにはいかないのよ…セナ様に変わり必ず守って見せる!」

 エリスはドラニスタに来る少し前から調子が少し悪そうなグラニールの前に行き優しく一撫ですると決意を口にした。

 「エイケン様!合図が上がりました!」

 「おう!結界を貼れ!!」

 斥候を務める小型の飛龍の鳴き声が響き渡るとエイケンが指示しメディーが設置していた結界を作動させた。

 「すごい!」

 「メディーが作ったものですから、そう容易く抜かれることはありません」

 結界の規模と目に見える強度に驚くゲイリーにどこか自慢げにエリスが信頼を口にしていた。

 「これで城下と城は問題ねぇ!結界の起点の守りを固めろ!サナリアわかってんだろうな!」

 「わかってるわよ!城にはドロシーだっているんだから!抜かせるわけにはいかないわ!」

 「来たぞ!迎え撃て!!」

 「なっ!あのような船が!?」

 「驚いてる暇はねぇ!遠距離に気を付けろ!」

 敵軍は海の魔物に船を牽かせ風に関係なく進み魔法や弓の射程に入ると一斉に攻撃をしかけてきた。

 「上からもくるわ!飛龍隊!」

 敵軍も鳥型の魔物や飛龍に乗った敵兵を見てサナリアが指揮をとり始めた。

 「エイケン様!東の浅瀬に回り込まれます!」

 「師匠!私が向かいます!!」

 エイケンの指示を受ける前に獣気をまとったエリスがセナから賜った刀を抜き全速力で駆け出した。

 「ゲイリー!エリスに兵をつけてやれ!」

 「はい!!」

 ===================================

 「はぁはぁはぁ…くそ!まだくるの…」

 必死に海上からの遠距離攻撃をかわしながら上陸してくる敵を切り伏せているエリスだったが数で押され始めていた。

 「せめて船だけでも…上は…だめね…」

 空からの援護をもらえないかとちらっと空を見たエリスだったが空もすこしドラニスタ側が押され始めていた。

 『雷霆・えん

 「なっ!あれはセナ様!?」

 味方が次第に攻撃を受けるようになってきたとき後方の小高い丘から声が聞こえ突如バチバチと放電している火柱が次々と敵の船を攻撃していった。

 ==================================

 (ラミそろそろ私たちも出なきゃならないかもしれないわ)

 (そうね……ん?ちょっとまって…援軍が来たようよ?)

 「母さん随分おされてるじゃない」

 「エイコ!アキラさんまで」

 「微力ながら助太刀にきましたよお義理母さん」

 戦況を見てエイシャがラミレスとともに戦場へでる準備をしようとしたときエイコとアキラが転移をしてきた。

 「そう、アキラさんありがとう感謝するわ」

 「いえいえ、が報告を聞いてどうしてもというので連れてきたんですよ」

 「今のあのならそこそこ役に立つと思うわ」

 ===================================

 「どうしたんです?エリス。あまりにふがいないとバッジが泣きますよ?」

 「えっ!?コ、コニー!?なぜここに!」

 「アイリーンさんから連絡を受けたので魔王様にお願いして連れてきてもらったんですよ!逆側にはアイリーンさんも向かいましたよ」

 「そう…ありがとう!」

 「お礼は後ででいいですよ!ドラニスタここは特別な場所です!やらせるわけにはいきませんから、エリスそれよりもまさか修行のせいかがそんなものだなんて言わないですよね?」

 「はっ!そんなわけないじゃない!!」

 「さすがエリスです。では久しぶりに私たちのコンビネーションを見せつけてあげましょう!」

 「ええ!」

 「遠距離は任せてください!ヴァルキューレ随一の遠距離攻撃をみせてあげます!!」

 眼帯を外し杖を高々と掲げたコニーをみてエリスに再び活力がわきあがっていくとエリスのまとっていた獣気が揺らめき始めた。

 「我が剣の頂は疾風迅雷の刃!剣王直伝の我が剣に切れぬものなし!」

 刀を構え目をつぶり呼吸を整えたエリスがカッと目を見開くと獣気が緑の風へと変わった。

 「おぉ!?やりますね!」

 無数のファイアボールを放ちながらコニーが獣気を属性化させたエリスを見て嬉しそうにほほ笑んだ。

 
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