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第7章 大陸編

真に恐るべきは

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 「突然申し訳ありません!」

 「うわぁぁっ!え?セ、セナ様!?」

 「至急魔王様にお目通りをお願いしたく」

 「へ?は?は、はい!少々お待ちくだされ!!」

 セナはエイケンとコニーを引き連れ魔王城の正門前に転移し慌てた騎士が報告に行くのを待った。

 「おい、めんどくせぇから中に飛べよ」

 「そういうわけにもいかないよ」

 「変なとこまで親父に似る事ねぇのにな」

 エイケンが緊急事態でも段取りを踏もうとするセナに自身の弟の面影を見て頭を掻きながら苦笑した。

 「お待たせして申し訳ございません!そのまま王の間へご転移なさって結構とのことにございます!」

 「急がせて申し訳ありません!ではこれで失礼します」

 「はっ!」

 セナが頭をさげると門にいる兵たちは敬礼をし転移するセナ達を見送った。

 「おう!どんな感じだ?」

 「はぁ~あんたねぇ…」

 「遮断してんだろ?いいじゃねぇか、それよりどんな状況だよ」

 エイコとアキラがいる間に転移すると同時にエイケンがエイコへと声をかけた。

 「やぁ、エイケン君、セナ君もよく来てくれたね。コニーまで来てくれるとは嬉しいよ」

 「いえ、魔王様やアキラさんには世話になってばかりなので」

 「そうですよ!魔王様と先生のためなら来ないわけないじゃないですか!」

 「二人ともありがとう。とてもうれしいよ」

 セナとコニーの言葉を聞き、アキラは笑顔で礼を言いエイコも満更でもなさそうにしていた。

 「挨拶も礼もいいからよ、状況を教えてくれねぇか?ほんとに大陸を攻めてるやつらの大元なのか?」

 「それは僕から説明するよ」

 「アキラさんたのむ」

 挨拶を遮るように言ったエイケンにアキラが一歩前にでて説明を始めた。

 「まず、敵だがアルドラと魔王軍の混成軍だ」

 「はぁ?なんだよ裏切られたのか?」

 「違うよ。エイコを含めて7人いるうちの1人でどうやら西の方角からきた魔王の一人らしい」

 「別の魔王がせめてきたってのか!?」

 「そのようだよ?現に自ら名乗りをあげ宣戦布告をしてきたからね」

 「はぁ?随分自身があるのか、よっぽどの馬鹿かのどっちかだな」

 「こちらの魔王様と先生に宣戦布告してきた時点で…まちがいなく馬鹿ですね」

 アキラとエイケンのやり取りを聞いていたコニーがげんなりした顔をし深いため息交じりに言った。

 「魔王の姿を見てみるかい?」

 「見れるんですか?」

 「ああ、僕の目のちからでね」

 「お願いします!」

 コニーが勢いよく頭を下げエイケンとセナも敵の姿を見ておきたく頷くとアキラは笑顔を浮かべ魔眼に魔力を集めると映写機のように空中に一人の女性の姿を映し出した。

 「あっちの魔王も女か」

 「そうみたいだね」

 「…………」

 エイケンとセナがじっくり見ている中、コニーは一瞬ビクンと体を震わせた後、うつむきプルプルと震えだした。

 「コニー?」

 「どうしたんだい?コニー君」

 気が付いたセナと映写をしながらアキラが声をかけた。

 「……どうしたもなにも……こんな……」

 「ん?」

 「こんなケバケバシイ若作り全開なBBAが魔王様や先生に戦を仕掛けてくること自体間違いですよっ!なんなんですかっ!?なめてるんですかっ!?」

 「え?ちょっ…コニー?」

 「セナ様!」

 「は、はい!」

 「ああいう輩は、あれで自分はイケてるとか勘違いしてるイタイ人なんですっ!そういう勘違い厚塗りBBAがほぼすっぴんでこの美しさのこちらの魔王様にどの部分で勝てると思ったのか、とっちめて聞き出し現実をおしえてあげなくてはなりませんっ!」

 心配するセナの言葉を遮り一息でコニーは思いのたけを吐き出した。

 「え?え?」

 「はぁ~……コニーおめぇなぁ……」

 一気にまくしたてられ混乱するセナと深いため息をつきあきれたエイケンがコニーをみつめた。

 「うんうん…僕もまったくの同意見だ…さすがコニー君、僕の自慢の生徒だ」

 「先生!やってやりましょう!」

 「ああ!もちろんだとも!」

 アキラが映写をやめ感動したようにがっしりとコニーの方をつかみ満面の笑みでいい、コニーとともに殺る気をたぎらせた。

 「はぁ~もう相変わらずねぇ…あなたまで何を言ってるのよ」

 「ん?悪いが僕は自分の自慢の妻を卑下されて穏やかにいられるほどできた男ではないよ?」

 「卑下とは?」

 「ああ、よく聞いてくれたよコニー君、向こうのB…魔王が宣戦布告したときにエイコをみて言ったんだ…『この田舎臭いブス』とね……」

 「なっ!?」

 「聞き捨てなりませんわっ……」

 「アイリーンさんっ!?」

 アキラの言葉にショックを隠せずに固まったコニーのもとに怒りをたぎらせたアイリーンが現れた。

 「不躾な訪問申し訳ございません……ですが……どうしても我慢できず……」

 「え?」

 「わが神、至高なる魔王エイコ様にたいしての身の程を知らぬ暴言……到底許されるものではございません」

 「うんうん、コニー君、アイリーン君……我々でやってやろうじゃないか!」

 「はいっ!」

 「もちろんにございます。魔王参謀殿」

 3人は力ずよく頷きあった。

 「お、叔父さん……僕たちは必要だったのかな……」

 「もう好きにさせておけよ……」

 圧倒され困惑するセナがすがるようにエイケンに尋ねるとあきれたエイケンは疲れたのかその場に胡坐をかいて座り込んだ。

 「あら、あなたふざけるのはそこまでのようよ?」

 「別にふざけてたわけじゃないんだけどね、それで?抜かれたのかい?」

 「ええ」

 「ふむ」

 「おいおい、二人で話をすすめるんじゃねぇよ、どういうことだ?」

 アキラとエイコに割って入りエイケンが尋ねた。

 「ああ、すまんすまん。どうやら敵はこちらの第1次防衛ラインを超えたみたいだ」

 「なに!?ダイジョブなのか?」

 「ん?どうだろ、一応5段構えだけど、どれくらいの戦力を残してここまで来れるかなぁ」

 「はぁ?あいかわらずえげつねぇなアキラさん!」

 「そうでもないよ?」

 最初から戦力を削りながらここまで誘い出すつもりだと気づきあきれるエイケンにアキラは朗らかに笑顔を返した。

 「敵の戦力がわからないからねぇ、とりあえずここまでの進軍予想ルートにある村や町はもの家の殻にしてある補給をしながら進軍というわけにはいかないとおもうよ?後方の支援隊はエイコには見えていないみたいだしどこまで踏ん張れるのか見ものじゃないか」

 「こえぇなぁ…まぁいいぜ。せっかく来たんだし敵さんが見えたら俺が先陣を切らせてもらうぜ?」

 「ああ、じゃあ頼もうかな」

 「おう!」

 「あの、それじゃあ僕は敵の現状を見るついでに遊撃してこようかな」

 「あ?遊撃ってどうやってだよ」

 「えっと魔大陸はビルバーンさんが地形を覚えているから敵がどこにいるのかだけわかればそこに転移できるから、ランダムな時間に一発広範囲な攻撃を何度かやってみようかなって」

 「おめぇほんと起用で便利になったなぁ、一家に一台って感じだな」

 「人を便利家電みたいに言わないでよ」 

 エイケンが二カッと笑いながら言うがセナはがっくりと肩を落として答えた。

 「アイリーンさん」

 「なんでしょう」

 「先生が張った罠を抜けてもいつセナ様が攻撃してくるかもわからず、やっとたどり着いてもエイケン様やセナ様に先生、それに魔王様まで相手するのって……」

 「補給もできず、休まる暇もなく、やっとたどり着いたら真の地獄……わたくしなら今すぐ死をえらびますわ」

 「デスヨネー」

 敵のことを想像すると敵が気の毒になり先ほどの怒りが少し哀れみに二人は変わった。
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