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第7章 大陸編

リネア③ パラドイネ2

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 「改めまして皆さんよくおいでくださいました」

 「こちらこそ急に訪問してしまいお忙しい中、時間を取っていただきありがとうございます」

 応接室のソファを進められ挨拶を返しセナたちは座った。

 「いえいえ、おきになさらず。ところで話は聞いておりますが今回は観光が目的とか」

 「はい。アリアがすこし自由な時間をつくれたことと、カトリーヌが行動を共にすることになったので回れる範囲でリネアを回ってみようかと思いまして」

 「そうですか」

 「はい。それでどうせだったら学校設立でお世話にもなり、その後も色々手助けしていただいた皆さんの所にお礼もかねて訪問させて頂こうと思いまして」

 「ふふふっセナ殿は変わらず律儀な方ですね。ただ礼には及びませんよ、ブレイダーをはじめとしランスロットにスレイヤーそしてランドリーフとの繋がりは我が領にも大いに恩恵がありますからね」

 「そうなんですか?」

 「はい。ランスロットとは合同軍事訓練を定期的におこなえるようになりましたし、そのおかげで近辺の治安もよくなりましたからスレイヤーへの観光などをする者たちや商売をする者たちが良く通るようになりましたからね」

 「はぁ~さすがですねぇ皆さん」

 「あははははっ!セナ殿のおかげですよ」

 「私はただギルス様や国王様、それに皆さんに自分のやりたいことをやっていただけないかお願いしただけですよ」

 「いいえ、セナ様のおかげでジルネイをはじめとする大陸4大国がいい繋がりをもてているんです。そのおかげでブレイダーから帝国方面へ行く商人なども増えましたし、逆にランドリーフ側から共和国や帝国にいく商人も増えました。すべてがうまく絡んで回っているという感じです」

 「それは皆さんの手腕によるものが大きいと思いますが」

 「欲のない方だ」

 「ほんとのことですから」

 セナの反応を見てアムートは終始笑顔をうかべていた。

 「それで本日はどちらにおとまりに?」

 「まだきまってないんです」

 「そうですか、本当なら我が家でぜひおもてなしさせていただきたいところですが…観光というのなら宿の方がよろしそうですね」

 「リネアでも有数の宿場町にせっかくきていますから、お気持ちだけありがたく受け取らせてください」

 「いえ、こちらこそ我が領に英雄セナ様と歌姫アリア様がおこしになられ宿泊や観光をしていただけるのはここに住む者たちも喜ぶと思います。それに第1皇姫カトリーヌ様までいらっしゃているとしれば帝国との同盟はほんとうでなおさらランスロットやスレイヤーに行くものの安心も得られましょう」

 「ありがとうございます」

 「いえ、セナ様なら街を散策して自ら宿をお決めになられたいと思うのですが、防犯などの問題もありますから今回は私に宿をお勧めさせていただけますか?」

 「え?いいんですか?そんなご迷惑をおかけしても」

 「もちろんです!では私の方で宿をおさえます。あ、セナ様、この街にはいつまでご滞在をご予定しておりますか?」

 「では宿は申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。んー、そうですね。今日は時間も時間で街をゆっくりみれないので明日も1泊して明後日の朝に出発しようと思っております」

 「そうですか、では明日の夕食は我が家にお越し願いませんか?王の開く晩さん会などには到底及びませんが我が領の名物などぜひご賞味していただきたいのですが」

 「え?そんなことまでさせてしまうのはさすがに悪いですよ」

 「いえ、パラドイネのお心遣い我ら一同感謝いたしますわ。ぜひ参加させていただきます」

 「ありがとうございます。馬車で待機なさっているおつきの方々も是非ご参加ください」

 「お招きありがとうございます。必ず我ら一同参加させていただきますわ。セナ様?アムート様のお立場もありますのでこういう場合はご厚意に甘えさせていただかなければなりませんわ」

 「お立場ですか?」

 「そうですわ、セナ様やアリアが領の中心にご滞在してらっしゃるのにもてなしもしなかったでは他に、パラドイネはそのようなこともわからないのか、もしくはもてなす力がなかったのではと笑われてしまうのですわ」

 「ええぇ!?」

 「ふふふっ、お心遣い感謝申し上げます皇姫様」

 「いえ、それとできれば今後は帝国わたくしもセナ様どうよう懇意にさせていただきたく、できればカトリーヌとおよびくだされば幸いですわ」

 「それは心強い。では私もアムートとおよびくださいカトリーヌ様」

 「こちらこそパラドイネと懇意にできるのは今後の帝国にも喜ばしいことですから、今後ともよろしくお願いいたしますわアムート様」

 驚くセナと世界が違いすぎて口をだすこともできないアリアをよそにカトリーヌとアムートが笑顔で握手を交わした。

 「カトリーヌが一緒にいてくれて助かったね」

 「う、うん。私そういうことぜんぜんわからないからカトリーヌがいてくれて本当によかったよ」

 セナがアリアにつぶやくとアリアも困惑しながらもうれしそうに答えた。

 「これが私の役目ですから、ですからヤオさんもタオさんも馬車に残っているのですわ」

 「ほえぇ、あの二人からセナを任せられてるなんてやっぱりカトリーヌはすごいんだね」

 「役目とかは特に考えないで一緒に楽しんでくれたらいいんだけど、しっかりしなきゃとは思ってるんだけど残念ながら僕もそういうのからっきしダメだからなぁ…なさけない話なんだけどね」

 「セナ様はそのままでいいのですわ」

 「ふふふっ、そうですね」

 「いやいや、そういうわけにはってアムート様まで」
 
 アリアが感心する中、セナの言葉を聞きカトリーヌとアムートはセナに笑顔をむけ言った。

 「セナ様なんでもおひとりでやろうとなさらず、できるものにできることをお願いすればいいのです。皆セナ様の仲間なのでございましょう?仲間にたよられるというのも認められていると実感できうれしいものなのですよ?」

 「なんか申し訳なくって」

 「なんでも頼られるのは迷惑ですが、逆にセナ様は頼らなすぎるのですわ」

 アムートの言葉に頭をかき気まずそうにいったセナにカトリーヌは不満げにすねたようにほほを膨らませいった。

 「さて、宿も確保できたようですし私がご案内いたしますのでいきましょうか」

 「え?そんなことまでしていただかなくても」

 「ふふふっ大丈夫です、それにパラドイネはブレイダーとはお仲間だと思っておりましたが?」

 「え!?はぁ~…ではご厚意に甘えさせていただきます。案内よろしくお願いいたします」

 「はははははっ!おまかせください」

 いたずらっぽくわらったアムートにセナが降参し頭を下げると嬉しそうに本来の姿でアムートが豪快に笑った。

=======================================

 先導する馬車をとめるとアムートの執事がセナたちの馬車にきて宿屋についたことをつげ一同が馬車からおりると5階建ての立派な宿の前に褐色でどこか色気があるが品のある美しい女性を中心に大勢の従業員が綺麗に並んでセナたちを迎えた。

 「セナ様、ここが本日お泊りになる宿です」

 「はぁ~…立派ですねぇ。こんないい宿をとっていただきありがとうございます」

 アムートが笑顔で宿を紹介するとセナはホテルをみあげ感嘆の声と感謝を口にした。

 「英雄セナ様、歌姫アリア様並びにストラトス帝国第1皇姫カトリーヌ様ご一行様、本日は当宿にお越しいただき誠にありがとうございます。私当宿を営んでおりますカイナと申します。今宵は当宿出来る限りのおもてなしをさせていただきたいと思っておりますので、どうぞごゆるりとお休みいただければ幸いでございます」

 カイナが流暢に挨拶をし恭しく一礼した。

 「セナと申します。アムート様のご厚意でこのような素晴らしい宿を用意していただき感謝しております。この人数での急な宿泊をお受け頂きカイナさんはじめ宿屋従業員の皆さんにも感謝申し上げます」

 「アリアです。その…本日から数日、よろしくお願いいたします」

 「ストラトス帝国皇姫カトリーヌですわ。此度のパラドイネのご厚意、感謝しております」

 セナが笑顔でつたないながらも礼を言い頭を下げ、アリアは緊張した面持ちで勢いよく頭を下げる中カトリーヌは優雅にカーテシーをきめた。

 「ご丁寧にありがとうございます。ではお部屋へご案内いたしますのでどうぞこちらへ」

 「あ、セナ様、私は迅風と馬車を」

 「もしやご立派だとおもっておりましたがそちらのバトルホースは」

 「はい!セナ様の御愛馬の迅風です!!」

 「そうでしたか、では当館さいこうの厩舎をご用意いたしますのでご足労おかけいたしますがそちらへ」

 「はい!大きいですが馬車もおかせていただいていいですか?」

 「もちろんにございます。倉庫で厳重に」

 「いえ、簡易結界をはりますのでその辺においておいても大丈夫なので広い場所をご用意していただればと思います」

 「は、はぁ。馬車に結界ですか…さすが英雄様の馬車にございますね…ではこの者が案内いたします」

 「よろしくおねがいします!」

 宿の中に向かおうとしたセナたちをひきとめたメディーが驚くカイナ達をよそに迅風を引き連れ宿の裏に向かった。

 「で、では改めましてこちらに」

 「はい。おねがいします」

 身綺麗な格好をした細身の男性が声をかけセナたちを宿の中へ案内していった。

 「いつまで笑ってるのよアム」

 「くっくっく…、すまない。どうだ?実際に見た英雄殿は」

 くすくすと笑いをかみしめるアムートがジト目で声をかけたカイナにセナの第一印象をたずねた。

 「はぁ~、どうっていわれても普通は話に尾ひれがついて大げさなものじゃない?」

 「ふむ。そうだな」

 「でもあの方、聞いてるお話以上のお力をお持ちになってるわよ?お会いしてみて温厚で穏やかなお人柄だとわかっていても対面すると生きた心地がしないわ」

 「あっはっはっは!やはり気づいたか!」

 「面白がらないでよね!こっちはご滞在中粗相してお気を悪くさせないか気が気じゃないんだから!」

 「セナ様はそのような方ではないよ」

 「言われなくてもわかるわよそれくらい!でももしものことがあるでしょ!」

 「はははは、では他に移ってもらうか?」

 「冗談でしょ!?英雄様ご一行に気に入っていただければ大陸中に名が伝わる。名宿の仲間入りのチャンスなのよ!?」

 「あはははは、リリには後れを取りたくないか」

 「当然でしょ!アディオンもリリの所じゃなくまず私の所につれてきてくれればよかったのに!じゃあ、私は英雄様をおもてなししなくちゃならないからもう行くわ!とりあえず感謝しておいてあげる。さっさといくわよ」

 「ああ、わかった。まぁがんばれよカイナ」

 親しげに挨拶を交わし二人はセナたちの元を追い宿の中へと消えて行った。 
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