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第7章 大陸編
ジルネイ③
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「セナ様、歌姫様お久しぶりです」
「メルさんお久しぶりです」
「お久しぶりです」
メルのいるジルネイ首相執務室にきたセナ達をメルは笑顔で迎え入れた。
「どうぞこちらにすぐにお飲み物をご用意いたしますので」
「ありがとうございます」
メルにすすめられセナとアリアがソファーにすわりヤオとタオは二人の後ろに控えるように立った。
「お体の調子はいかがですか?」
「はい。もう全然調子いいです」
「…本当に良かった」
セナが笑顔で答えるとメルはうっすらと目に涙を浮かべ安堵の息をはいた。
「なんか皆さんには今回たくさんのご迷惑をおかけしてしまって…」
「そんなことはありません!むしろ我々がふがいないばかりにセナ様をあのようなめにあわせてしまったのです!」
申し訳なさそうにいったセナの言葉にメルはとんでもないことだと語尾を荒げて否定した。
「失礼します。どうしたんですか?メルさんが珍しいですね部屋の外まで声が漏れてましたよ?」
「あらごめんなさい。セナ様も歌姫様も申し訳ございません」
迅風を厩舎でやすませたメディーが珍しそうにメルをみながらいい、そのままメルの隣に座った。
「メルさん、セナ様がたまわった土地ってどのへんなんですか?」
「あっ!そうだった。皆さんあんなに褒章を!」
「足りませんよ全然。ただお恥ずかしい話あれが我が国でだせる現状、精いっぱいだったんですよ…」
席に着きだされたお茶を一口飲んだメディーがたずねると思い出したかのようにセナが切り出したが遮るようにメルが申し訳なさそうに言った。
「それで土地の場所と広さは?」
「ええ、場所はジルネイ国内ならどこでも、広さは地価が違うから選んでいただいた場所しだいね」
「え?僕が選ぶんですか!?」
「そのつもりでした。そちらのほうが使い勝手が良いでしょうし」
「はぁ…」
驚くセナを見てクスクスと笑いながらいうメルを見て、そのまま放置されたらこまると暗にいわれていることに気づいたセナがため息交じりに頷いた。
「セナ様!町の外にある森をもらいましょう!」
「え?あの小さな森?」
メディーがいうとアリアがジュネイの防壁のすぐ近くの小さな森を思い出し使用目的がわからず困惑気味にメディー尋ねた。
「はいそうです。あの森をセナ様の力で囲ってやって少し手入れをしてあげれば迅風が放せる場所になりますよ!」
「ああ…迅風のためね」
「そうです!」
アリアが脱力しながらいうとメディーは力強く即答した。
「うん、じゃあそうしようか。メルさんそこでもいいですか?」
「え、ええ。こちらは大丈夫ですが、逆にそのような場所でほんとうによろしいのかと」
「はい。メディーがいい場所だと言っているのできっと迅風も喜ぶと思いますし、そこでお願いいたします」
「わかりました。ではこちらで譲渡の書類をおつくり致します」
「ありがとうございます」
メディーの言葉を受けそのような場所でいいのかと申し訳なさそうなメルに朗らかに笑いながらセナが頭を下げた。
「昨日メディーから少しお聞きしましたが、なんでも今回の目的は歌姫様との旅とか」
「はい。イース様が1カ月ほどアリアに自由に外を見てくるように言ってくださったので僕が言ったことのある場所なら案内しようかと思いまして」
「なるほど、歌姫様ジルネイはどうですか?」
「はい、リネアに比べると暑いですが人も街も活気にあふれてますね」
「そうですか、ごゆるりとお楽しみください」
「はい!あの、あとで教会に祈りを捧げさせてもらいに行こうと思ってますが、いいですか?」
「もちろんです。みんなも喜ぶと思いますよ」
「では迅風で送りますね!場所は私も迅風もしってますから」
「メディーありがとう!メルさんもありがとうございます」
メルとメディーの申し出にアリアは満面の笑みで礼をした。
「それでセナ様、次はどちらに?」
「んー、次はドラニスタにいってグラニールと合流した後、リネアの国内を少し回ろうかと」
「そうなんですか。旅のご無事をお祈りいたします」
「ありがとうございます」
予定を尋ねられたセナの言葉にとメルはにこやかに言った。
「セナ様!アリアの祈りが終わったら森を見に行きましょう!」
「そうだね」
「ふふふ、メディー?それは明日以降になると思うわよ?」
「どうしてですか?」
メディーの言葉を聞いてメルが笑いをこらえながらいった。
「だって、迅風と歌姫様が教会にいくのよ?人が集まらないわけないじゃない。昨日だって皆さんがきたのを門番が焦って知らせにきて治安維持に騎士を配置したのよ?」
「そうだったんですか、ほんとご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ、お二人が気軽にお越しになったことでここに住む人たちもジルネイとリネアのつながりの強さを実感してるともいますから、こちらこそ有難く思っております」
笑顔のメルに見送られセナ達は街に戻るとメディーと迅風はアリアをつれて教会に向かった。
「セナ様このあとはどのように?」
「そうですねぇ、街をすこし回ってアリアたちがもどってくるのを待ちましょうか」
「かしこまりました」
タオの問いに少しかんがえたセナが街の中を探索するために歩き始めた。
「そういえばジルネイのギルドって行ったことないなぁ。迅風のこともお礼を言いたいし少しよってみてもいいですか?」
「もちろんにございます」
セナがギルドの看板を見て思い出したかのように言い、ギルドの中へとむかった。
「すいません」
「はい、初めての方ですね。ご用件はなんでしょうか」
受付に行くとボブカットで可愛い受付嬢が丁寧に声をかけてきた。
「はい。私はリネアからきたセナと申します。突然で申し訳ありませんがギルドマスターのご予定が空いていれば御目通りをお願いできますでしょうか」
「リネアからお越しに、遠いところわざわざご苦労様です。マスターは2階マスタールームにおりますので予定を確認してきます。申し訳ありませんが少々お待ちください」
「はい。よろしくお願いいたします」
「それには及びません。高いところから申し訳ありませんセナ様ようこそいらっしゃいました」
「マスター!」
受付嬢が階段を登ろうとすると、上から赤のスーツをびしっと着こなした女性マスターがセナへ挨拶を返した。
「いえ、こちらこそ急な訪問で申し訳ありません。今日はいつも私の従魔にご配慮いただいている御礼にあがらせていただきました」
「そんな、わざわざセナ様が足をおはこびになられるようなことではございませんよ。とりあえず立ち話もなんですのでこちらへ」
「お忙しいのでは?今日は御礼だけでもと顔をださせていただいただけですので」
「ふふふっ。S級冒険者、しかもリネア王国の英雄様を追い返すほどの用事などございませんのでご安心ください」
「えぇ!?」
マスターの返しの言葉に受付嬢が盛大に驚き、めったに下に降りてこないマスターをみたギルド内の冒険者たちも驚き固まっていた。
「リネアの英雄様と知らずお待たせさせるなど、たいへん失礼いたしました!」
自身の言動をふりかえりセナに待つようにいったことを盛大にやらかしたと真っ青な顔で冷や汗だらけに受付嬢が土下座する勢いで謝罪をしてきた。
「気にしてませんから落ち着いてください。そもそもお会いしたことがないんですから知らないのは仕方ないことですから」
「ううう…ありがとうございます。…あれ?でもマスターはセナ様をお見かけしたことがあるのですか?」
取り乱す受付嬢を落ち着かせ笑顔をうかべると、受付嬢はセナの寛大さに感謝していたが自分が用件を伝える前にセナだとわかっていたマスターに疑問をもった。
「いいえ、ありません」
「え?じゃあどうしておわかりになられたんですか?」
「昨日、セナ様がジュネイにおこしになったという話はきいてますね?」
「はい。歌姫様と仲良くおこしになられたと街中大騒ぎでしたから」
「え゛」
受付嬢の話を聞きセナはメルの言葉が大げさだったわけじゃないのかと驚いた。
「ふふふっ。そして先ほど私では測ることすら到底できないほどの強力な力がここにきて、正体をみようと降りてくると聞いていたどおりの方だったので間違いないかと思っただけです」
「聞いていた?」
「ええ、ちょっとした古い友人に」
セナが尋ねると苦笑しながらセナの後ろを指さしマスターが答えた。
「え?あれ!?レスターさん?」
「は、はい。セナ様…ご無沙汰しております」
セナの後ろでギルドの扉を開けたまま驚き固まっていたマルンの冒険者ギルド元マスターだったレスターがぎこちない動作で声をかけれ気まずそうにセナへと挨拶をした。
「お久しぶりです!お元気そうで!今はジュネイでご活動をなさってるんですか?」
「は、はい。セナ様もお元気そうで何よりにございます」
久しぶりに会ったレスターにまるで旧友にあったように嬉しそうに声をかけるセナと戸惑いながらもこたえるレスターをみてマスターはクスクスと肩をゆすって笑っていた。
「レスターあなたがそんな風になるなんてね。いいものを見せてもらったわ」
「くっ!いらないこと言わないでヴィス」
「さきほどレスターさんとは古い友人だとおっしゃってましたが」
「ええ、彼女と昔パーティを組んでいたんですよ」
「そうだったんですか」
二人の関係をきいたセナが1つのパーティからギルドマスターが二人も出るなんて優秀なパーティだったんだろうなぁと感心したように頷いた。
「セナ様そろそろ」
「あ、そうですね。こちらから訪ねておいて申し訳ないのですがこの後しょうしょう予定がありましてこれで失礼させていただきます」
「いえ、こちらこそ結局この場での対応で大変申し訳ございませんでした」
「いえいえ、お気になさらず。レスターさんも久しぶりにお会いできてうれしかったです」
「私のしたことを考えればそのように言っていただけただけで救われる思いです」
「大袈裟ですよ。今度機会があれば一緒にクエストをやれるといいなと思ってますよ」
「っ!?ありがとうございます。機会があればぜひ」
「はい。僕たちは敵同士じゃないんです。元々味方同士なんですから協力して仲良くがんばりましょ?」
「…はい」
優しく微笑んだセナの言葉を聞き、レスターはうれし涙をうかべ深々とあたまをさげセナ達を見送った。
「さて、リリさんの宿に戻ろうか。アリアたちがきてるといいんだけどね」
ギルドからでたセナが後味悪くわかれたレスターが元気でいたことをうれしく思い。晴れ晴れした気持ちを表すような笑顔でヤオとタオにいい3人は宿屋へと足取り軽く帰った。
「メルさんお久しぶりです」
「お久しぶりです」
メルのいるジルネイ首相執務室にきたセナ達をメルは笑顔で迎え入れた。
「どうぞこちらにすぐにお飲み物をご用意いたしますので」
「ありがとうございます」
メルにすすめられセナとアリアがソファーにすわりヤオとタオは二人の後ろに控えるように立った。
「お体の調子はいかがですか?」
「はい。もう全然調子いいです」
「…本当に良かった」
セナが笑顔で答えるとメルはうっすらと目に涙を浮かべ安堵の息をはいた。
「なんか皆さんには今回たくさんのご迷惑をおかけしてしまって…」
「そんなことはありません!むしろ我々がふがいないばかりにセナ様をあのようなめにあわせてしまったのです!」
申し訳なさそうにいったセナの言葉にメルはとんでもないことだと語尾を荒げて否定した。
「失礼します。どうしたんですか?メルさんが珍しいですね部屋の外まで声が漏れてましたよ?」
「あらごめんなさい。セナ様も歌姫様も申し訳ございません」
迅風を厩舎でやすませたメディーが珍しそうにメルをみながらいい、そのままメルの隣に座った。
「メルさん、セナ様がたまわった土地ってどのへんなんですか?」
「あっ!そうだった。皆さんあんなに褒章を!」
「足りませんよ全然。ただお恥ずかしい話あれが我が国でだせる現状、精いっぱいだったんですよ…」
席に着きだされたお茶を一口飲んだメディーがたずねると思い出したかのようにセナが切り出したが遮るようにメルが申し訳なさそうに言った。
「それで土地の場所と広さは?」
「ええ、場所はジルネイ国内ならどこでも、広さは地価が違うから選んでいただいた場所しだいね」
「え?僕が選ぶんですか!?」
「そのつもりでした。そちらのほうが使い勝手が良いでしょうし」
「はぁ…」
驚くセナを見てクスクスと笑いながらいうメルを見て、そのまま放置されたらこまると暗にいわれていることに気づいたセナがため息交じりに頷いた。
「セナ様!町の外にある森をもらいましょう!」
「え?あの小さな森?」
メディーがいうとアリアがジュネイの防壁のすぐ近くの小さな森を思い出し使用目的がわからず困惑気味にメディー尋ねた。
「はいそうです。あの森をセナ様の力で囲ってやって少し手入れをしてあげれば迅風が放せる場所になりますよ!」
「ああ…迅風のためね」
「そうです!」
アリアが脱力しながらいうとメディーは力強く即答した。
「うん、じゃあそうしようか。メルさんそこでもいいですか?」
「え、ええ。こちらは大丈夫ですが、逆にそのような場所でほんとうによろしいのかと」
「はい。メディーがいい場所だと言っているのできっと迅風も喜ぶと思いますし、そこでお願いいたします」
「わかりました。ではこちらで譲渡の書類をおつくり致します」
「ありがとうございます」
メディーの言葉を受けそのような場所でいいのかと申し訳なさそうなメルに朗らかに笑いながらセナが頭を下げた。
「昨日メディーから少しお聞きしましたが、なんでも今回の目的は歌姫様との旅とか」
「はい。イース様が1カ月ほどアリアに自由に外を見てくるように言ってくださったので僕が言ったことのある場所なら案内しようかと思いまして」
「なるほど、歌姫様ジルネイはどうですか?」
「はい、リネアに比べると暑いですが人も街も活気にあふれてますね」
「そうですか、ごゆるりとお楽しみください」
「はい!あの、あとで教会に祈りを捧げさせてもらいに行こうと思ってますが、いいですか?」
「もちろんです。みんなも喜ぶと思いますよ」
「では迅風で送りますね!場所は私も迅風もしってますから」
「メディーありがとう!メルさんもありがとうございます」
メルとメディーの申し出にアリアは満面の笑みで礼をした。
「それでセナ様、次はどちらに?」
「んー、次はドラニスタにいってグラニールと合流した後、リネアの国内を少し回ろうかと」
「そうなんですか。旅のご無事をお祈りいたします」
「ありがとうございます」
予定を尋ねられたセナの言葉にとメルはにこやかに言った。
「セナ様!アリアの祈りが終わったら森を見に行きましょう!」
「そうだね」
「ふふふ、メディー?それは明日以降になると思うわよ?」
「どうしてですか?」
メディーの言葉を聞いてメルが笑いをこらえながらいった。
「だって、迅風と歌姫様が教会にいくのよ?人が集まらないわけないじゃない。昨日だって皆さんがきたのを門番が焦って知らせにきて治安維持に騎士を配置したのよ?」
「そうだったんですか、ほんとご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ、お二人が気軽にお越しになったことでここに住む人たちもジルネイとリネアのつながりの強さを実感してるともいますから、こちらこそ有難く思っております」
笑顔のメルに見送られセナ達は街に戻るとメディーと迅風はアリアをつれて教会に向かった。
「セナ様このあとはどのように?」
「そうですねぇ、街をすこし回ってアリアたちがもどってくるのを待ちましょうか」
「かしこまりました」
タオの問いに少しかんがえたセナが街の中を探索するために歩き始めた。
「そういえばジルネイのギルドって行ったことないなぁ。迅風のこともお礼を言いたいし少しよってみてもいいですか?」
「もちろんにございます」
セナがギルドの看板を見て思い出したかのように言い、ギルドの中へとむかった。
「すいません」
「はい、初めての方ですね。ご用件はなんでしょうか」
受付に行くとボブカットで可愛い受付嬢が丁寧に声をかけてきた。
「はい。私はリネアからきたセナと申します。突然で申し訳ありませんがギルドマスターのご予定が空いていれば御目通りをお願いできますでしょうか」
「リネアからお越しに、遠いところわざわざご苦労様です。マスターは2階マスタールームにおりますので予定を確認してきます。申し訳ありませんが少々お待ちください」
「はい。よろしくお願いいたします」
「それには及びません。高いところから申し訳ありませんセナ様ようこそいらっしゃいました」
「マスター!」
受付嬢が階段を登ろうとすると、上から赤のスーツをびしっと着こなした女性マスターがセナへ挨拶を返した。
「いえ、こちらこそ急な訪問で申し訳ありません。今日はいつも私の従魔にご配慮いただいている御礼にあがらせていただきました」
「そんな、わざわざセナ様が足をおはこびになられるようなことではございませんよ。とりあえず立ち話もなんですのでこちらへ」
「お忙しいのでは?今日は御礼だけでもと顔をださせていただいただけですので」
「ふふふっ。S級冒険者、しかもリネア王国の英雄様を追い返すほどの用事などございませんのでご安心ください」
「えぇ!?」
マスターの返しの言葉に受付嬢が盛大に驚き、めったに下に降りてこないマスターをみたギルド内の冒険者たちも驚き固まっていた。
「リネアの英雄様と知らずお待たせさせるなど、たいへん失礼いたしました!」
自身の言動をふりかえりセナに待つようにいったことを盛大にやらかしたと真っ青な顔で冷や汗だらけに受付嬢が土下座する勢いで謝罪をしてきた。
「気にしてませんから落ち着いてください。そもそもお会いしたことがないんですから知らないのは仕方ないことですから」
「ううう…ありがとうございます。…あれ?でもマスターはセナ様をお見かけしたことがあるのですか?」
取り乱す受付嬢を落ち着かせ笑顔をうかべると、受付嬢はセナの寛大さに感謝していたが自分が用件を伝える前にセナだとわかっていたマスターに疑問をもった。
「いいえ、ありません」
「え?じゃあどうしておわかりになられたんですか?」
「昨日、セナ様がジュネイにおこしになったという話はきいてますね?」
「はい。歌姫様と仲良くおこしになられたと街中大騒ぎでしたから」
「え゛」
受付嬢の話を聞きセナはメルの言葉が大げさだったわけじゃないのかと驚いた。
「ふふふっ。そして先ほど私では測ることすら到底できないほどの強力な力がここにきて、正体をみようと降りてくると聞いていたどおりの方だったので間違いないかと思っただけです」
「聞いていた?」
「ええ、ちょっとした古い友人に」
セナが尋ねると苦笑しながらセナの後ろを指さしマスターが答えた。
「え?あれ!?レスターさん?」
「は、はい。セナ様…ご無沙汰しております」
セナの後ろでギルドの扉を開けたまま驚き固まっていたマルンの冒険者ギルド元マスターだったレスターがぎこちない動作で声をかけれ気まずそうにセナへと挨拶をした。
「お久しぶりです!お元気そうで!今はジュネイでご活動をなさってるんですか?」
「は、はい。セナ様もお元気そうで何よりにございます」
久しぶりに会ったレスターにまるで旧友にあったように嬉しそうに声をかけるセナと戸惑いながらもこたえるレスターをみてマスターはクスクスと肩をゆすって笑っていた。
「レスターあなたがそんな風になるなんてね。いいものを見せてもらったわ」
「くっ!いらないこと言わないでヴィス」
「さきほどレスターさんとは古い友人だとおっしゃってましたが」
「ええ、彼女と昔パーティを組んでいたんですよ」
「そうだったんですか」
二人の関係をきいたセナが1つのパーティからギルドマスターが二人も出るなんて優秀なパーティだったんだろうなぁと感心したように頷いた。
「セナ様そろそろ」
「あ、そうですね。こちらから訪ねておいて申し訳ないのですがこの後しょうしょう予定がありましてこれで失礼させていただきます」
「いえ、こちらこそ結局この場での対応で大変申し訳ございませんでした」
「いえいえ、お気になさらず。レスターさんも久しぶりにお会いできてうれしかったです」
「私のしたことを考えればそのように言っていただけただけで救われる思いです」
「大袈裟ですよ。今度機会があれば一緒にクエストをやれるといいなと思ってますよ」
「っ!?ありがとうございます。機会があればぜひ」
「はい。僕たちは敵同士じゃないんです。元々味方同士なんですから協力して仲良くがんばりましょ?」
「…はい」
優しく微笑んだセナの言葉を聞き、レスターはうれし涙をうかべ深々とあたまをさげセナ達を見送った。
「さて、リリさんの宿に戻ろうか。アリアたちがきてるといいんだけどね」
ギルドからでたセナが後味悪くわかれたレスターが元気でいたことをうれしく思い。晴れ晴れした気持ちを表すような笑顔でヤオとタオにいい3人は宿屋へと足取り軽く帰った。
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