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第6章 エターニャ神皇国編

英雄もどる⑥

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 「へへへ、セナ助かったぜ。じゃあ気をつけて帰れよ?」

 「楽しかったし驚かせてもらったよ。ライズも頑張れよ!じゃあリズさん、ココちゃんと家ができたら招待しますので是非遊びに来てください」

 「はい、楽しみにしています。セナ様、くれぐれも無茶せずお体を大事にしてくださいね!」

 「う゛っ、気をつけます。村の皆さんも急にきてご迷惑をおかけしました」

 次の日の昼過ぎ、もうすぐ夕方になろうとしているエルの村の出口で村人全員に見送られていた。

 「とんでもございません!セナ様に復興のお手伝いをさせてしまい、こちらこそ申し訳ございませんでした」

 「そんなにかしこまらないでください。同じブレイダー領に住む仲間じゃないですか。それに色々助けてもらったことがあるのは我々のほうですから」

 エル村の復興の手伝いをしたセナに村長が申し訳なさそうに頭をさげるが、セナとしてはライズとともに同じ作業をし自身にも思いれのある村が少しでも復興したことを嬉しそうにいうと村人たち全員は同じ仲間という言葉にうれしさと誇りを感じ取った笑顔をうかべた。

 「じゃあそろそろ行くよ」

 「ああ、またな親友!ヤオさんとタオさんもありがとうございました!」

 「うん、必ずまたね!親友!」

 ライズとがっちり握手をした後、セナが転移を使いその場から消えた。

 「さてと!帰りますか!」

 「ほんとに消えた!?ライズ!貴様は驚かんのか?」

 「ああ?村長、セナなんだぜ?んなことでいちいち驚いてたらあいつの親友なんてやってらんねぇよ」

 おどろく村の人々を代表するかのように尋ねた村長にめんどくさそうにライズが答え、なんだかんだ慣れてきたリズもたしかにと苦笑しながら家族3人で家に帰っていった。

 「おそくなってしまい申し訳ありません」

 「お?セナ殿帰ったか、いや本来ならもう少しゆっくりさせてやりたかったんだがな」

 「また飛んでいって驚かせるので大丈夫ですよ」

 「うふふふっ、セナ様ったら」

 突然あらわれたセナに驚きながらも笑顔で出迎えたギルス夫妻と笑顔で挨拶をかわしセルジオたちに見送られセナ達は王都のブレイダー邸と帰ってきた。

 「セナ殿すまんかったな!夕飯までゆっくり休んでくれ」

 「はい」

 エミルはセナに礼をしメイリーのもとへ行き、ギルスもセナをねぎらいセバスを呼びに行った。

 「セナ様おかえりなさいませ」

 「レイファさんただいま戻りました」

 「お疲れのところ申し訳ありませんが先ほど教会より明日の朝イース様がエターニャへ向かいたいと連絡がきておりました」

 「いえ、大丈夫ですよ。明日朝ですね?了解しました。では教会にいって」

 「いえ、こちらで知らせにいきますのでごゆっくりお休みください」

 「ありがとうございます」

 レイファが恭しく一礼し退室するとヤオがお茶をそっと手渡した。

 「失礼します。おかえりなさいませセナ様」

 「マインさんただ今戻りました。マインさんは今日は治療院へ行かなかったんですか?」

 「いえ、一度いって戻ってきていたところにセナ様がお戻りになられたと知らせを受けたもので」

 「そうだったんですか、頑張ってるみたいですね」

 「え?」

 「ドラニスタでみんなと再会した時から思ってたんですが皆なにか信念のようなものをもった目をしてましたから」

 セナがヤオとタオ、マインを見ながらお茶を一口飲んだあと朗らかに笑顔でいうと、3人はセナが自分たちをしっかりみてくれていることに嬉しさが沸き、更なる精進を心に誓った。

 「セナ様、お願いがあるのですが」

 「なんですか?」

 「スターシャ様からセナ様が色々回った先で医学書や薬学の書物を買っているとお聞きしましてできればお貸しいただけないかと…スターシャ様からお借りしたものもあるのですが、恥ずかしながら私の手持ちではそんなに多くの書物を購入できなくて…」

 「なんだそんなことですか!もちろんいいですよ!それに僕にわかる範囲ならお教えしますよ」

 「え!?こんなに!?い、いえ…さすがにそこまでご迷惑をおかけするわけには」

 セナが嬉しそうにマジックバッグから次々と出す書物の多さにマインが驚いた。

 「マイン殿はヒールも解毒などの魔法も使えるはずですがなぜそのような書物を?」

 「私のすくない魔力では回復できる数が少なすぎるのと選べる手段をできるだけ多くしたいと思うのと、いつ新しい病気や毒などが発見されるかわかりませんから」

 セナのだした書物を1つづつ吟味し自身の知識で理解できそうなものを選びながらヤオの問いにマインは答え聞いたヤオとタオはアルドラの秘術で瀕死の重傷をおったセナを思い出した。

 「そうにございますか…呪術なら我らが…錬金術ならばメディーもおりますればいつでも協力いたしますゆえお声掛けしてくだされ」

 「ありがとうございます!」

 ヤオの言葉にタオがうなずくのを見たマインが嬉しそうに礼をいい、それをみていたセナも仲間同士が仲良く協力するのを嬉しそうにみていた。

 「セナ様!おかえりなさいませ!!」

 「メディーただいま。かわりはなかったかい?」

 「はい!迅風はいつもどおりですがセナ様、そろそろランクの高い魔物を狩ってきてください!質のいい餌が底をつく前に!それとおじい様が新しく手に入れた町の外の土地をどうしたいのか聞いておいてほしいと言っていました」

 「え?土地はどうしようかな…そうだ!外の土地は迅風とグラニールの厩舎を立ててほしいと伝えてもらえるかい?それなら自由に外で遊べるはずだしね!あとは質のいい魔物かぁ…魔大陸で狩ってみるよ」

 「自由にお散歩できるしいい案ですね!明日にでも知らせてきます!魔物のほうはあと1~2か月は持つのでそのうちで十分ですがお願いします!」

 「わかったよ」

 バタンと勢いよくドアをあけメディーが元気よく入室したのを少し驚いた後えがおで迎え入れあわただしく会話をこなしたが日常にもどったようななつかしい感じをセナは感じた。

 「セナ様おかえりなさいませ」

 「ん?エリスさんどうしたんですか?」

 「え?」

 「なにか悩み事ですか?」

 いつものようにセナのもとにもどってきたエリスだったが龍眼と魔眼の力のせいかセナはエリスの感情の落ち込みを感じ声をかけた。

 「じつはマーカス様にご相談して色々武器屋をまわっているのですが…」

 「自分にあったものがないと?」

 「いえ、感触的に良さげなものはいくつもあったのですが、師匠のいうリネアの剣という部分でしっくりこなくて」

 「あぁ難しい条件ですよね」

 「はい」

 エリスの悩みをききセナも一緒に困惑した表情をして考え込んだ。

 「なんだ、そんなことですか」

 「メディー?」

 「結局はリネアというエリスのもつイメージのものがないという心情的な部分だけなんですよね?」
 
 「う、うん。ぶっちゃけるとね…というかそもそもリネアらしい武器っていうのがイメージ沸かないのよ」

 「なるほど!セナ様?セナ様のお作りになった作品でエリスに合いそうな剣ってないですか?」

 「ん?僕の作ったものなんかでいいの?だったらいくつかあると思うけど」

 「そ、そんな恐れ多い!」

 メディーの問いにセナがマジックバッグをあさり始めるとエリスは焦りながらそれを止めようとした。
 
 「リネアの初代英雄たるセナ様がお作りになられた剣だったら、まさにリネアの剣でしょう?」

 「たしかに」

 「そうですわね」

 メディーの言葉にヤオとタオが確かにと納得したようにうなずいた。

 「あっ!これがよさげですね!これを使ってみてくれませんか?」

 「これはっ!?」

 「うわぁ綺麗ですねぇ」

 セナが取り出した翡翠色のさやに納まる一振りの刀をみてエリスは驚きの声を上げマインは美しさに息をのんだ。
 
 「これは僕が作った刀で火・風・水・土・金というそれぞれをイメージして作ったうちの1つで風をイメージして自分的には義を表しているものとして作った一振りなのでエリスさんにぴったりだと思います」

 「!?」

 「義ですか!たしかに堅物なエリスにぴったりです!!」

 「メディー別にそういう意味で言ったわけじゃないよ…エリスさんは常に正しく居たいと努力している人だからその姿勢を見ると僕もそうありたいと思える。だからだよ」

 「っ!!…セナ様そのように思ってくださってたんですね…申し訳ありませんがこの刀をいただけますでしょうか」

 「素人の僕がつくった自己満足な品ですが気に入ってくれると嬉しいんですけどね」

 茶化していうメディーの言葉に困った顔で自分のエリスにたいするイメージを伝えながら手渡された刀を恭しく受け取ると大事そうに胸にやさしく抱いて心からの感謝と更なる忠誠を誓った。

 「ありがとうございます…最高の私のリネアの剣です」

 「よかったわねエリス」

 「ええ…ありがたい」

 嬉しそうなエリスに優しい笑顔でマインが声をかけた。

 「んー…うらやましいですけど私は武器を使わないしなぁ」

 「え?メディーも何か欲しかったのかい?じゃあ…これをあげるからよかったら使ってよ」

 エリスを見ながら羨ましそうにしていたメディーにセナが一対のグローブを手渡した。

 「セナ様これは?」

 「少しごついけど耐寒耐熱防刃に優れてるグローブで拡張機能もつけてあるから色々作ってあわせてみてよ」

 「すごいですね!見た目に反して蒸れないですし細かい作業もしやすそうです!」

 「これは金のイメージで信を表すものとして作ったものだからメディーに使ってほしいかな」

 「セナ様のいう信とは?」

 嬉しそうに装着して感触をたしかめているメディーにセナがグローブにこめたイメージを伝えると少し焦ったようにヤオが意味をたずねた。

 「信はそのまま信頼の信ですね。皆さんのことも信じてますが、メディーは嘘をつかないんです」

 「我らとてセナ様には!」

 「ええ、わかっています。ただメディーはどんな時でも僕に真実で向き合ってくれるんです。それが僕の不利益になろうが、伝えずらいことであろうが必ずです。これから先もメディーにはそうあってほしいと思ってるしそうなんだろうと信じているから渡したんです」

 「なんとそこまで…」

 セナの言葉をきき一番セナの信頼を得ているのはメディーなのではないかとヤオとタオが不安げな表情を浮かべながらセナの話を聞いた。

 「えっへへへへ、さすがセナ様ですねぇ。ところで3人にはどういうイメージをおもちなんですか?」

 蕩けるように笑顔でグローブを胸に抱いたメディーが羨ましそうにみていたヤオとタオ、それにマインをみて少し申し訳なく思いわざとらしくセナに尋ねると3人は身を乗り出すようにセナの言葉をまった。

 「3人?それならこれとこれ…それにこれかな」

 メディーの言葉にセナが3人をみて迷うことなく白と黒の脇差程度の長さの短刀と1つの指輪がブレスレットとチェーンでつながった水色の金属でできたアクセサリーを1つ取り出した。

 「ヤオさんには黒、タオさんには白の少し長いですが護身刀です。それからマインさんにはこれですね」

 「ありがとうございます!それでセナ様ご意味はどのような!?」

 朗らかに手渡された武器を大事そうに抱いたヤオが3人の気持ちを代弁するかのようにセナに尋ねた。

 「お二人の武器はメディーと一緒の金でそれぞれ忠のイメージですね。マインさんのは水で信ですね」

 「お二人は忠でマインは私と同じ信ですかぁ。なるほど、なるほど」

 「二人のはそのままの意味だよ。二人はどんなことがあっても必ず僕の傍にいてくれて、二人が動くのは僕のためになるようなことばかりだしね…だから絶対僕を裏切らないと信じられる。だから二人の刀は僕の使ってるこいつと対なる脇差ってイメージで作ったものをお二人に合わせて護身刀にしたものなんだ」

 「セナ様…」

 「それとマインさんのはメディーの信とは少し意味合いがちがうんだ。マインさんの信は友情に厚いって意味合いだね。これはコニーさんも一緒なんだけどね。やっぱりエリスさんとコニーさん3人の友情はすごくうらやましいくらい素敵だし、アリアに対する3人の思いや行動も素敵だと思うからこれにしたんだ。あ、それはリングを右手の中指に通すんです」

 「ありがとうございますセナ様…」

 セナのイメージをききヤオとタオは短刀を胸に抱きしめ感動で涙を流し、セナの指示通り装着したマインも珍しく嬉しそうに破顔しエリスに見せびらかすようにひらひらと手を振りみせていた。

 「気に入ってもらえてよかったです。マインさんのそれは杖と同じように魔力をすこし増幅してくれるものなので杖を使えない時でも同等に魔法を使えると思います。まぁ、それで増幅した魔力をさらに杖で増幅できるようにしてあるってのが一番しっくりくる使い方かもしれませんね」

 「すごいですね…一生大事にします!ありがとうございますセナ様」

 全員が嬉しそうに武器を見せ合う姿をみて嬉しそうにセナが笑った。

 「なんだ?今日は皆ずいぶん上機嫌なようだな!」

 「メディー?さすがに食事の際はそのグローブは脱いだらいかがかしら?」

 「すいませんエミル様それは無理なんです!」
 
 「そ、そう…それではしかたありませんわね」

 「はい!すいません!!」

 ワイワイ騒ぐ中、夕食に全員さそわれ席に着くと嬉しそうにしているみんなを見てギルスはなにかあったのかと笑顔でたずね、エミルの言葉にメディーは悪びれることもなくお気に入りのおもちゃを手放さない子供のようにグローブをみにつけたまま食事をした。 
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