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第6章 エターニャ神皇国編
復活の決断
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「あなた…星那ちゃんはどう?」
「うん、順調に回復はしているが…」
禁呪を解呪してから2日目の昼過ぎ、アキラの研究室にエイコが訪れ二人で未だ眠るセナをみながらエイコの問いにアキラは苦い顔をし言い淀んだ。
「なにかあるの?」
「ああ、この装置はある程度の欠損なども治せるが…セナ君の目については…」
「治らないの!?」
「眼球自体は再生が始まっているようだけど…よほどの強い光だったのか…視神経が…後頭葉まで損傷はないようだけど…再生されるか…」
「じゃあ…最悪見た目だけ治って見えない可能性があるっていうのっ!?」
「ああ、このままではその可能性が高い」
俯き悲しそうにいうアキラにエイコはショックを隠せずにいた。
「なんとかならないの!?もうポーションは使えるんでしょ!?最高等級のを用意させるわ!」
「無駄だよ…その最高等級のポーションを基にした修復液を使ってるんだ…」
「そ…そんな…他の方法はないの?」
縋るようなエイコを見つめながらアキラは何かを考えると大きく深呼吸をし覚悟を決めたかのように話し出した。
「今…思いつく方法が1つだけあるにはあるんだ」
「じゃあ、それを!」
「リスクが高いんだ…」
「え?それって…」
「移植だよ」
「っ!?」
アキラの言葉にエイコが不安げな表情を浮かべ息をのんだ。
「視神経だけにとどまらず神経系の損傷は時間との勝負なんだと思う。神経がダメになるとそこを司っている脳の部分を違うところが侵食する形をとると聞いたこともあるしね、使い方を忘れてしまう感覚に近いんだとも思う…」
「そ、その視神経っていうのは移植できるようなものなの?」
「いや、視神経だけとかは僕には無理だ」
「じゃ、じゃあ…」
「今ある目を捨ててもらって…魔眼の移植を考えている」
「っ!?アキラさん!!」
真剣な魔差しで見つめられアキラに告げられた方法は、過去に自身も経験した魔眼移植でありそのリスクと痛みを思い出しエイコは顔を蒼くした。
「魔眼は視神経を侵食し後頭葉にまでその範囲を広げる…僕は片目だけしか耐えられなかったけど、両目を入れることができた君の血族のセナ君なら!しかも彼は当時の君よりはるかに巨大な魔力を持っている!それにかけるしか僕にはもう方法がない!」
「耐えられなければ…魔眼に乗っ取られてただの魔獣になりさがるのよ?…」
「ああ、だから他のケガが完治してセナ君の意識がもどったら彼に決断してもらおうと思う…もしかしたら僕の知らない再生方法を彼が知ってる可能性だってあるからね」
「そう…星那ちゃんに決めてもらうなら私は反対できないわ…それで?もし星那ちゃんが移植を希望したらどの目にするつもり?」
セナへと意思確認をするというアキラの言葉にあきらめに似た納得をしたエイコがふと思い出したかのように尋ねた。
「うん、片方は決まってるんだけど、もう片方はまだ考え中なんだ、中々同等のものがないからね」
「あなた…まさか…」
「うん…ダメかな?」
「ただでさえリスクが高いのに!なに無駄にさらにリスクあげようとしてるのよ!」
思い当たるものが正解だったことに驚き怒りをたぎらせたエイコがアキラにつかみかかった。
「落ち着いてエイコ、さっきも言ったけどセナ君の魔力保有量は当時の君をはるかに凌駕している、むしろ今の君と同等かそれ以上なんだ。だったら…どのみちリスクが生じるなら多少たかくなっても僕の保管している一番の物を彼に渡したい」
「多少じゃないでしょ!今の私でも受け入れて抑え込めるかわからない代物よ!?」
「じゃあ、エイコはセナ君に他にふさわしい眼があるのかい?」
「…ないけど…セナちゃんに選んでもらえば…」
「あれだけの貴重な品を彼は遠慮してしまうよ」
「ああー!もう!!私にはわからないわ!!」
「事前に説明をする、それでセナ君がほかがいいと言えば違う候補をあげるから…ね?」
「わかったわ…」
なだめる様にエイコを抱きしめながらアキラがいうと、エイコはアキラが一度思ったことを曲げないとしっているだけにあきらめて頷いた。
====================================
「アキラさん!セナが動いたぜ!?」
「お?思ったより少し早いね」
「治ったの!?」
「みたいだね。今液を抜いて外気呼吸に切り替えさせてもらうよ」
治療開始から3日目の夜、エイケンに魔眼の説明をしてると驚いたエイケンがセナを見つめるとセナの指先がぴくぴくと動いていることにきづき声を上げるとアキラは忙しそうにカプセルの中の液を徐々に抜いていった。
「ふぐっ!?がはっ!!はぁはぁはぁ」
「セナ!大丈夫なんかよ」
「うん、肺の中を満たしていた液はそのまま空気に触れると体内に吸収されて徐々になくなっていくから呼吸の切り替えはおもってるほど負担がないはずだよ」
「はぁはぁはぁ…その声は叔父さん?ここは?悪いんだけど真っ暗でなにも見えないんだ…」
3人が見守る中、セナは一瞬の呼吸の苦しさに焦ったように目を覚ましあたりを見渡したような行動をとったのち、エイケンの声が聞こえた方を向き申し訳なさそうにたずねた。
「やはりダメだったか…」
「星那ちゃん…」
「ん?叔父さん他にも誰かいるの?感じたことがないくらい強い魔力を2つ知らない気配を感じるんだけど」
セナの様子を見て予想どおりだったが悔しそうにアキラがつぶやき、エイコが悲しい声でセナをよぶとセナはエイケンに誰が居るのか尋ねた。
「ああ…いるぜ?お前もよく知ってる顔がな」
「久しぶりだね星那君」
「星那ちゃん!どこか痛いところはないの?!辛かったわね!私がいるからもう大丈夫よ!!」
「わっぷ!?」
エイケンの言葉につづきアキラがセナにできるだけ朗らかに声をかけたが、感極まったエイコはセナに飛びつき豊満な胸にセナの顔を抱きしめた。
「姉貴!セナが死んじまう!!」
「あっはっは、抱きしめたい気持ちはよくわかるけど少し落ち着いたらどうだい?エイコ」
「え?もしかしてアキラさんとエイコおねえさん!?」
「そうよ!星那ちゃん!」
「なんでこっちに!?え!?え!?」
セナが混乱しアタフタしだしたので落ち着かせるためアキラがエイコを引き離した。
「二人もこっちに来てたんだよ。向こうの時間的には俺のあとだが転移した時間軸的に俺よりかなり前にな」
「じゃあ、二人も櫃で?」
「いや、僕らは車で走っている最中、次元の穴が急にできて飲み込まれたんだ」
「そんなことがあるんですね…じゃあ!涼君もこっちに!?」
「……いや…僕を迎えに来てくれた帰りだから涼は乗ってなかったんだ…」
「…そうだったんですか…すいません」
「気にしなくてもいいよ、涼は英子に似てたくましいからうまくやってくれてるはずだよ」
「ええ、英信もいるしね。いざとなったら頼ってると思うわ」
二人の息子を思い出し場の空気が少々重くなった。
「ってかセナ!おめぇ普通にしてるが目がみえてねぇんだよなっ!?」
「え?あっ!驚きすぎて忘れてたよっ!やっぱり目が見えなくなっちゃったんだね…」
「自覚があったんだね」
「はい。禁呪が発動した時、魔法陣を見てかなりの光量と熱量を持つものだと思ったので」
「だからあんな頑丈な遮断壁で覆ったんかってかよくあの短けぇ時間でわかったな」
「複雑な呪式の絡みがあるのはなんとなくわかったくらいだけど、相反する力を無理やり組み合わせることで効果を発揮するのがわかったから」
「勉強熱心なこったな」
「アキラさんがね?教えてくれたことなんだ」
「ん?」
「いつだったか…僕が子供のころおじいちゃんの家でね、アキラさんが研究していることを見せてくれたことがあったんだよ」
「覚えていたのかい?」
「はい。子供だったから何を研究してるとか理解はできなかったんですけど、生物の色々や文化や歴史色々なものが繋がって今の時代や生き物がいること、どんなに小さな情報や知識でも皆を救えることがあるっていうことも僕の中に鮮明に残ってて…だから僕はこっちに来た時に何もわからないからこそ、色々なものを見て調べて試していかなきゃと思ったんだよね…本人を目の前にして恥ずかしいんだけどね…へへへ」
「星那君…」
セナの言葉を聞き感極まり涙をながすアキラに優しい笑顔をむけエイコがそっとハンカチを手渡した。
「星那君…君の目だが…見える様にする方法があるんだ…ただリスクもあるけどどうする?」
「やります」
「セナいいのかよ、んなに簡単に決めちまって」
「僕はまだなにも成し遂げてないし自分の誓いも守れてない、このままじゃいられないからね」
「そっか…」
「わかった…じゃあ詳しい説明をするよ」
「お願いします」
=====================================
「…というわけで僕はそれを勧めたい」
「わかりました…お願いします」
「星那ちゃん?無理しなくてもいいのよ?」
「大丈夫。アキラさんが色々考えてくれた選択だから…僕は大丈夫」
「星那ちゃん…」
説明を聞いたセナが朗らかに笑い答える顔をみたエイコは自身の伴侶をそこまで信用してくれていることに対してのうれしさとセナを心配する気持ちが入交り複雑な表情を浮かべた。
「移植予定の眼は元々左目だったから左にそれを移植したいんだが…構わないかい?」
「はい」
「ありがとう。あとは右目をどうするか…だけど…残念ながら僕の手持ちに同等の物がないのと、類似するもので同等のものがどこかにあると思うんだけど…譲ってくれるどころか話すらでてこない状態なんだ」
「右目が見つかるまでは左目だけで頑張るしかないですね」
「あまり長期間は望ましくないけど現状は…」
アキラとセナが話をしているのを不安げに見守るエイケンとエイコだったが類似品ということばにエイコがエイケンに尋ねた。
「ドラニスタにはそういうのないの?」
「聞いたことがねぇ…そもそもそういうもんはオフクロに聞かなきゃわからねぇ」
「じゃあ、あんた聞いてきなさいよ、ドラニスタになかったとしてもお母さんならなにか知ってるかもしれないわ」
「そりゃあいいが、同程度のものってどんくらいのものが必要なんだよ」
「うん。今回セナ君に移植する予定の魔眼は初代魔王の左目だよ」
「はぁ~!?」
「初代魔王は左右で違う魔眼の持ち主でね。討伐された際、眼だけは回収してこの城に保管されていたんだ。そして右目はエイコが使ってる」
「マジか…」
「お母さんに言えばわかるわよ、さぁ!あんたはさっさと行ってくる!手ぶらでかえってくんなよ?」
「できれば1~2か月以内にたのむよ」
「むちゃくちゃじゃねぇか」
「ナンバーズがそんだけいるんだから何とかしなさいよ」
「わかったよ!グラニールを借りるぞ!」
開き直ったかのようにエイケンが勢いよく部屋をでてそのままの足でドラニスタへ向かった。
「さぁ星那君、一度体のチェックをして大丈夫そうなら左目の移植をはじめようか」
「お願いします」
エイケンを見送ったアキラがセナの肩に手を置きいい移植への準備をはじめた。
「うん、順調に回復はしているが…」
禁呪を解呪してから2日目の昼過ぎ、アキラの研究室にエイコが訪れ二人で未だ眠るセナをみながらエイコの問いにアキラは苦い顔をし言い淀んだ。
「なにかあるの?」
「ああ、この装置はある程度の欠損なども治せるが…セナ君の目については…」
「治らないの!?」
「眼球自体は再生が始まっているようだけど…よほどの強い光だったのか…視神経が…後頭葉まで損傷はないようだけど…再生されるか…」
「じゃあ…最悪見た目だけ治って見えない可能性があるっていうのっ!?」
「ああ、このままではその可能性が高い」
俯き悲しそうにいうアキラにエイコはショックを隠せずにいた。
「なんとかならないの!?もうポーションは使えるんでしょ!?最高等級のを用意させるわ!」
「無駄だよ…その最高等級のポーションを基にした修復液を使ってるんだ…」
「そ…そんな…他の方法はないの?」
縋るようなエイコを見つめながらアキラは何かを考えると大きく深呼吸をし覚悟を決めたかのように話し出した。
「今…思いつく方法が1つだけあるにはあるんだ」
「じゃあ、それを!」
「リスクが高いんだ…」
「え?それって…」
「移植だよ」
「っ!?」
アキラの言葉にエイコが不安げな表情を浮かべ息をのんだ。
「視神経だけにとどまらず神経系の損傷は時間との勝負なんだと思う。神経がダメになるとそこを司っている脳の部分を違うところが侵食する形をとると聞いたこともあるしね、使い方を忘れてしまう感覚に近いんだとも思う…」
「そ、その視神経っていうのは移植できるようなものなの?」
「いや、視神経だけとかは僕には無理だ」
「じゃ、じゃあ…」
「今ある目を捨ててもらって…魔眼の移植を考えている」
「っ!?アキラさん!!」
真剣な魔差しで見つめられアキラに告げられた方法は、過去に自身も経験した魔眼移植でありそのリスクと痛みを思い出しエイコは顔を蒼くした。
「魔眼は視神経を侵食し後頭葉にまでその範囲を広げる…僕は片目だけしか耐えられなかったけど、両目を入れることができた君の血族のセナ君なら!しかも彼は当時の君よりはるかに巨大な魔力を持っている!それにかけるしか僕にはもう方法がない!」
「耐えられなければ…魔眼に乗っ取られてただの魔獣になりさがるのよ?…」
「ああ、だから他のケガが完治してセナ君の意識がもどったら彼に決断してもらおうと思う…もしかしたら僕の知らない再生方法を彼が知ってる可能性だってあるからね」
「そう…星那ちゃんに決めてもらうなら私は反対できないわ…それで?もし星那ちゃんが移植を希望したらどの目にするつもり?」
セナへと意思確認をするというアキラの言葉にあきらめに似た納得をしたエイコがふと思い出したかのように尋ねた。
「うん、片方は決まってるんだけど、もう片方はまだ考え中なんだ、中々同等のものがないからね」
「あなた…まさか…」
「うん…ダメかな?」
「ただでさえリスクが高いのに!なに無駄にさらにリスクあげようとしてるのよ!」
思い当たるものが正解だったことに驚き怒りをたぎらせたエイコがアキラにつかみかかった。
「落ち着いてエイコ、さっきも言ったけどセナ君の魔力保有量は当時の君をはるかに凌駕している、むしろ今の君と同等かそれ以上なんだ。だったら…どのみちリスクが生じるなら多少たかくなっても僕の保管している一番の物を彼に渡したい」
「多少じゃないでしょ!今の私でも受け入れて抑え込めるかわからない代物よ!?」
「じゃあ、エイコはセナ君に他にふさわしい眼があるのかい?」
「…ないけど…セナちゃんに選んでもらえば…」
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「ああー!もう!!私にはわからないわ!!」
「事前に説明をする、それでセナ君がほかがいいと言えば違う候補をあげるから…ね?」
「わかったわ…」
なだめる様にエイコを抱きしめながらアキラがいうと、エイコはアキラが一度思ったことを曲げないとしっているだけにあきらめて頷いた。
====================================
「アキラさん!セナが動いたぜ!?」
「お?思ったより少し早いね」
「治ったの!?」
「みたいだね。今液を抜いて外気呼吸に切り替えさせてもらうよ」
治療開始から3日目の夜、エイケンに魔眼の説明をしてると驚いたエイケンがセナを見つめるとセナの指先がぴくぴくと動いていることにきづき声を上げるとアキラは忙しそうにカプセルの中の液を徐々に抜いていった。
「ふぐっ!?がはっ!!はぁはぁはぁ」
「セナ!大丈夫なんかよ」
「うん、肺の中を満たしていた液はそのまま空気に触れると体内に吸収されて徐々になくなっていくから呼吸の切り替えはおもってるほど負担がないはずだよ」
「はぁはぁはぁ…その声は叔父さん?ここは?悪いんだけど真っ暗でなにも見えないんだ…」
3人が見守る中、セナは一瞬の呼吸の苦しさに焦ったように目を覚ましあたりを見渡したような行動をとったのち、エイケンの声が聞こえた方を向き申し訳なさそうにたずねた。
「やはりダメだったか…」
「星那ちゃん…」
「ん?叔父さん他にも誰かいるの?感じたことがないくらい強い魔力を2つ知らない気配を感じるんだけど」
セナの様子を見て予想どおりだったが悔しそうにアキラがつぶやき、エイコが悲しい声でセナをよぶとセナはエイケンに誰が居るのか尋ねた。
「ああ…いるぜ?お前もよく知ってる顔がな」
「久しぶりだね星那君」
「星那ちゃん!どこか痛いところはないの?!辛かったわね!私がいるからもう大丈夫よ!!」
「わっぷ!?」
エイケンの言葉につづきアキラがセナにできるだけ朗らかに声をかけたが、感極まったエイコはセナに飛びつき豊満な胸にセナの顔を抱きしめた。
「姉貴!セナが死んじまう!!」
「あっはっは、抱きしめたい気持ちはよくわかるけど少し落ち着いたらどうだい?エイコ」
「え?もしかしてアキラさんとエイコおねえさん!?」
「そうよ!星那ちゃん!」
「なんでこっちに!?え!?え!?」
セナが混乱しアタフタしだしたので落ち着かせるためアキラがエイコを引き離した。
「二人もこっちに来てたんだよ。向こうの時間的には俺のあとだが転移した時間軸的に俺よりかなり前にな」
「じゃあ、二人も櫃で?」
「いや、僕らは車で走っている最中、次元の穴が急にできて飲み込まれたんだ」
「そんなことがあるんですね…じゃあ!涼君もこっちに!?」
「……いや…僕を迎えに来てくれた帰りだから涼は乗ってなかったんだ…」
「…そうだったんですか…すいません」
「気にしなくてもいいよ、涼は英子に似てたくましいからうまくやってくれてるはずだよ」
「ええ、英信もいるしね。いざとなったら頼ってると思うわ」
二人の息子を思い出し場の空気が少々重くなった。
「ってかセナ!おめぇ普通にしてるが目がみえてねぇんだよなっ!?」
「え?あっ!驚きすぎて忘れてたよっ!やっぱり目が見えなくなっちゃったんだね…」
「自覚があったんだね」
「はい。禁呪が発動した時、魔法陣を見てかなりの光量と熱量を持つものだと思ったので」
「だからあんな頑丈な遮断壁で覆ったんかってかよくあの短けぇ時間でわかったな」
「複雑な呪式の絡みがあるのはなんとなくわかったくらいだけど、相反する力を無理やり組み合わせることで効果を発揮するのがわかったから」
「勉強熱心なこったな」
「アキラさんがね?教えてくれたことなんだ」
「ん?」
「いつだったか…僕が子供のころおじいちゃんの家でね、アキラさんが研究していることを見せてくれたことがあったんだよ」
「覚えていたのかい?」
「はい。子供だったから何を研究してるとか理解はできなかったんですけど、生物の色々や文化や歴史色々なものが繋がって今の時代や生き物がいること、どんなに小さな情報や知識でも皆を救えることがあるっていうことも僕の中に鮮明に残ってて…だから僕はこっちに来た時に何もわからないからこそ、色々なものを見て調べて試していかなきゃと思ったんだよね…本人を目の前にして恥ずかしいんだけどね…へへへ」
「星那君…」
セナの言葉を聞き感極まり涙をながすアキラに優しい笑顔をむけエイコがそっとハンカチを手渡した。
「星那君…君の目だが…見える様にする方法があるんだ…ただリスクもあるけどどうする?」
「やります」
「セナいいのかよ、んなに簡単に決めちまって」
「僕はまだなにも成し遂げてないし自分の誓いも守れてない、このままじゃいられないからね」
「そっか…」
「わかった…じゃあ詳しい説明をするよ」
「お願いします」
=====================================
「…というわけで僕はそれを勧めたい」
「わかりました…お願いします」
「星那ちゃん?無理しなくてもいいのよ?」
「大丈夫。アキラさんが色々考えてくれた選択だから…僕は大丈夫」
「星那ちゃん…」
説明を聞いたセナが朗らかに笑い答える顔をみたエイコは自身の伴侶をそこまで信用してくれていることに対してのうれしさとセナを心配する気持ちが入交り複雑な表情を浮かべた。
「移植予定の眼は元々左目だったから左にそれを移植したいんだが…構わないかい?」
「はい」
「ありがとう。あとは右目をどうするか…だけど…残念ながら僕の手持ちに同等の物がないのと、類似するもので同等のものがどこかにあると思うんだけど…譲ってくれるどころか話すらでてこない状態なんだ」
「右目が見つかるまでは左目だけで頑張るしかないですね」
「あまり長期間は望ましくないけど現状は…」
アキラとセナが話をしているのを不安げに見守るエイケンとエイコだったが類似品ということばにエイコがエイケンに尋ねた。
「ドラニスタにはそういうのないの?」
「聞いたことがねぇ…そもそもそういうもんはオフクロに聞かなきゃわからねぇ」
「じゃあ、あんた聞いてきなさいよ、ドラニスタになかったとしてもお母さんならなにか知ってるかもしれないわ」
「そりゃあいいが、同程度のものってどんくらいのものが必要なんだよ」
「うん。今回セナ君に移植する予定の魔眼は初代魔王の左目だよ」
「はぁ~!?」
「初代魔王は左右で違う魔眼の持ち主でね。討伐された際、眼だけは回収してこの城に保管されていたんだ。そして右目はエイコが使ってる」
「マジか…」
「お母さんに言えばわかるわよ、さぁ!あんたはさっさと行ってくる!手ぶらでかえってくんなよ?」
「できれば1~2か月以内にたのむよ」
「むちゃくちゃじゃねぇか」
「ナンバーズがそんだけいるんだから何とかしなさいよ」
「わかったよ!グラニールを借りるぞ!」
開き直ったかのようにエイケンが勢いよく部屋をでてそのままの足でドラニスタへ向かった。
「さぁ星那君、一度体のチェックをして大丈夫そうなら左目の移植をはじめようか」
「お願いします」
エイケンを見送ったアキラがセナの肩に手を置きいい移植への準備をはじめた。
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