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第5章 小話

祖母と母のお話

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 「色々画策してたみたいね」

 「ええ、まさかまで攻めてこようとしてたなんてね」

 セナ達がグラニールに乗りストラトス帝国へ向かい再びリネアのブレイダー領へ着きスタンピードと敵軍を退けた頃、ドラゴニアではエイシャとラミレスがその様子をグラニールを使い話をしていた。

 「それにしても…セナちゃん強いわねぇ」

 「当然でしょ?私の可愛い可愛い可愛い孫なのよ?それにグラニールだってかなりのものじゃない」

 「それこそ当然よ!私の子供よ?」

 「セナちゃんの力を吸って生まれてきたからじゃない?」

 「それは否定できけないけど元々の素質の問題よ。力を与えられても収めきれなきゃ無理でしょ?」

 「それもそうね」

 ブレイダー領での1戦を振り返り二人はお互いの孫と子供を自慢しあった。

 「ねぇ…ないとは思うけど…セナちゃんがうちの子と力によって世界征服を目指したりしたらどうするの?抑止力が現状ないわよ?」

 「それは余程のことがなければ起こらないと思うけど?」

 「なんでそう言い切れるのよ」

 「孤独じゃないから…それにもそんなものに興味なかったし、周りにいてくれる人たちもいい子ばかりのようだしね」

 「そうだけど万が一ってこともあるでしょ?」

 「じゃぁ聞くけど、セナちゃんとグラニールを止めれる?」

 「…無理ね…あの子まだあれで幼体なのよ?…成体になったらと思うと我が子ながら恐ろしいわ」

 「そのわり随分嬉しそうじゃない…」

 「だって!あの力でまだ幼体なのよ!?うちの子天才すぎるじゃない!?可愛いかっこよすぎじゃない!?世界がひれ伏しちゃうじゃない!?」

 「だまれ親馬鹿」
 
 「なによぉ!事実じゃない!」

 後半、はあはあと興奮しながら子供自慢をするラミレスへエイシャが呆れたような目をむけた。

 「でも…セナちゃんの本気ってどんなものなのかしらね。あの子優しいから無意識で力を押さえてるところがあるじゃない?」

 「ええ、セナちゃんは優しくて賢くてかっこよくて可愛くて最強すぎるから、さすがの私も底が知れないわね」

 「終わった?孫自慢」

 「なによ!事実じゃない!」

 同じように次第に興奮しながら言ったエイシャへ今度はラミレスが呆れたような目を向けた。

 「ヤオとタオがついていけてないみたいね」

 「みたいね、二人からの報告だと毎日の修行で少しずつ力があがってきてるそうよ?」

 「…異様よね」

 「正直に言うとね…セナちゃんの年齢を考えればこれほどまで伸び続けるのは異様だと思うわ」

 「本人は気づかなかったみたいだけど、こっちにきて魔力に目覚めたとき体も多少若返ってるとはいえ、普通は2~3歳、才あるものでも4~5歳…限界はあるわよね」

 「そうね…でも抱きしめた時に少し探ったけど、セナちゃんの今の肉体は10代後半から20代前半くらいだと思うわ…やっぱり龍気・燐気にも目覚めてるのが関係してるのかしら」

 「やはり異質で…謎ね」

 「えぇ…サイやエイケンに今までの修練方法を聞いて驚いたけど…尋常じゃない超高負荷修練をしても見た目が引き締まった程度にしか見えないって」

 「けど…地力は爆発的についていると」

 「えぇ、エイケンが強化なしだと力負けすると言ってたからね」

 「ギャップがひどすぎるわね」

 「ギャップのあるこの方が魅力的じゃない!華奢でしなやかで爆発的に強いのよ?」

 「限度があるわよ!しまいに死霊王デスロードまで従えちゃってるじゃない!そもそも呪法がエグすぎるのよ!」

 「あれはたかだかデスロードや吸血鬼風情が身の程もわきまえずにセナちゃんの甘美な魅力につられて手をだしてきたせいじゃない!」

 「たかだかって…でも闇の魔力と呪力につられてきて、光の魔力で消し飛びそうになってたものね…そりゃぁ手のひら返してきてもしかたないわ…」

 「セナちゃんの優しさに漬け込んで口八丁で上から目線で契約したのも気に入らないわ!態度を改めなきゃセナちゃんがきたら呼び出して消し飛ばしてやるわ!」
 
 「あなたが一番怖いわ…」

 ラミレスとエイシャが好き勝手言いあっていたが、最後はラミレスが深いため息をついた。

 「グラニールが居なくなったからセナちゃんの雄姿がみれないのがつらいわ」

 「あの程度の雑魚を相手に雄姿もへったくれもないでしょうに…」

 「いいじゃない!孫の元気な姿をみたいっていう可愛い気持ちじゃない!」

 「可愛い?人気のあるセナちゃんが心配なだけじゃない?」

 「当然でしょ!セナちゃんなのよ!?世の女どもがほっとくわけないじゃない!」

 「はぁ~…だからってヤオとタオに抹殺指令はないでしょうに」

 「悪い虫がついてからじゃ遅いの!エイシンみたいに私が居ないからってかっさわれたらたまったもんじゃないわ!」

 「娘にはそんなの言ってないし、エイケンだって自由にさせてるのに?」

 「あの子らはいいの!あの人に似てたくましいんだから!でもエイシンもセナちゃんも穏やかで優しいから漬け込む馬鹿が多いのよ!」

 「末っ子と初孫ってやつね…でもうるさくしすぎて嫌われないように気をつけなさい?」

 「大丈夫よ…そんな子たちじゃないわ…それにエイシンにはもう会えないし…ね」

 「もう…この頃はすぐしんみりするんだから」

 「仕方ないじゃない…馬鹿息子もヤオもタオも居なくなったし…セナちゃんに会ってしまったんですもの」

 「まぁね…でも、あまりしんみりし過ぎて老けこんで次にあったら誰かわからなかったなんて笑えないわよ?」

 「むきぃー!!そんなことにはならないわよ!」

 「そのうちあの歌姫ちゃんあたりとの子供でもつれてかえってくるわよ?ひいおばあちゃん?うふふふ」

 「怖いこと言わないでよ…まだまだ先でいいわ」


 セナの子供を想像したが範疇を超えたのか思い浮かばず首をはげしく横に振りエイシャがいった。


 「今日も姫と龍王様は激しく訓練なさってるようだな」

 「あぁ、エイケン様やヤオ様、タオ様それにセナ様もがご不在になられたしな」

 「我々も気合をいれねばな!」

 「あぁ!」


 エイシャがラミレスのいる塔でこのような無駄話をしているとはつゆとも知らず、二人が感情を高ぶらせると同時に龍気も高まり、それは塔から漏れ出すほどでそれを感知した兵達は国のためにエイシャ達が頑張ってると思い込み自身たちも更なる高みを目指さねばと一致団結していた。

 そのようにドラゴニアの日常は過ぎて行った。
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