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第5章 ストラトス帝国編

解除しろ

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 「失礼いたします。お兄様、リネアの歌姫と英雄をお連れしましたわ」

 皇帝レオの私室へと入りアレストラがベッドに横になっていたレオへ声をかけると顔をむけ苦しそうに上半身をあげた。

 「そうか、わざわざご足労頂いたがこのような格好での対応申し訳ない」

 「ふふっ今更気にしないでいいよレオ」

 「うむ。敗戦の王には見栄も威厳も意味はないからな」

 「ふふっ…そうだな」

 アリアとセナをみて頭を下げたレオにアディオンとサイが辛辣な言葉をかけレオは苦笑気味にうなずいた。

 「あ…あの…初めましてセナと申します」

 「アリアです」

 微妙な空気感が漂う中、セナが耐え切れずにレオへと声をかけるとつられるようにアリアも名乗りを上げた。

 「うむ。此度は申し訳なかったな」

 「いえ!そんな!」

 アリアを見たレオが頭を下げるとアリアはどうしていいかわからずアタフタした。

 「まぁ、ゲオルグ=からのとりあえず出された条件を満たすために彼らがきたというわけで、本来ならしなくてもいいんだけど挨拶したいと言ってたから連れてきてあげたってわけさ」

 「くっくっく…心遣い痛み入るよアディオン殿」

 腰に手を当てえらそうにいうアディオンに呆気にとられたあと笑いをかみ殺しながら、まるで敵わないとばかりに笑顔でレオが答えた。

 「あの、アディオンさん。国王様が提示した条件って」

 「私がお答えいたします。まず今後については一度国に戻り精査し帝国側に通達するのですが、その前に国王が独断でお決めになったことがいくつかありますの」

 「独断ですか…」

 「えぇ…内容的に問題はないと判断し王妃として私も賛同しました。まず獣人などを含めた亜人種と呼ばれている方々への差別や不当な扱いをやめること」

 「!?」

 「あとは神皇国ではなくリネア側の教会へと切り替えてもらうことですわ」

 「宗教にまで関与して大丈夫なんですか?」

 アレストラの言葉にエリスとスカーレットが驚きの表情を浮かべる中、アリアが尋ねた。

 「それは問題ないよ。ひとつ忘れているようだけど帝国は敗戦国なんだよ。基本拒否権はないし、むしろ現状のように僅かな混乱で収まってるだけリネア側の好意によるものが大きいんだよ」

 「あぁ…そうだな」

 アディオンの言葉にかみしめる様にレオが答えた。

 「そもそも今の帝国にリネアとジルネイを相手取る力はない。国を残したければどんな事でも受け入れるしかあるまい」
 
 「まぁな、武力が基準の国が武力で負けたんだ、ベッドで寝れて息してるだけもうけもんだろ」

 「言い方は悪いけど否定できないわね…それにこの国でアレストラ様やアリア様に何かあればこの国は消えてなくなると思うわ」

 「くっくっく、さっきのセナ君を見る限りまちがいないね!ただセナ君の性格的にアレスやアリアだけじゃなくボクたちをふくめてここにいる人たちに何かあったらって感じだと思うけどね」

 「ちげぇねぇ」

 サイとエイケンがあっけらかんと言い、リレイが申し訳なさそうにいったあとアディオンが面白そうにセナを見ながらいい、昔からセナの性格を知るエイケンが同意した。

 「容赦ないですね」

 「事実だからな」

 コニーの言葉にサイが素っ気なく答えた。

 「まぁこんな感じで今の帝国は牙をなくしたなんとやらだから君たちの好きなように動けばいいよ」

 「そういうわけには…」

 「まぁ帝国は問題はないわね」

 「どっかほかに問題あるみてぇな言い方だな」

 アディオンの言葉にアリアが困惑する中リレイの言葉にエイケンが口を出した。

 「あるわよ。神皇国がね…時間を与えすぎてるのよ」

 「今、ジェノスが王の言葉を持って兵を連れて向かっているらしいけど、帝国に時間を取られすぎて後手後手なんだよ」

 リレイとアディオンが答えた。

 「神皇国が此度の件をもみ消し…リネアを攻撃するのであれば…帝国はリネアと共に全勢力をもって神皇国と戦う」

 「えっ!?」

 「当然だよ。だって帝国が今のようになってしまった原因は神皇国のせいだからね」

 レオの言葉にアリアが驚くとアディオンが当然とばかりに言った。

 「それでジェノス達を神皇国がどう対応するかで今後が決まる」

 「たとえば、どんな?」

 「素直にリネアの提案を受け入れるのであればイース様たちが神皇国へ向かい内部改革を行う」

 「抵抗したり危害を加えてきたり、逆に自分たちを正当化してきた場合…残念ながら争いは避けられないかと」

 サイの言葉にアリアが尋ねるとアディオンとリレイが答えた。

 「本来ならば…我が国をこのようにし…我妃をあのようにした国など消し飛ばしてやりたいが…」

 「今の君にも帝国にもそれは無理だね」

 「くっ…わかっている」

 悔し気に歯を食いしばりながら言ったレオの言葉にアディオンが冷たい目で見降ろしながらいった。

 「あの…妃って…?」

 「ん?言葉のとおり皇帝レオの妃、この国の皇妃さ」

 「失礼ですけど…その方はいまどこに?」

 「神皇国に色々みたいでね、治療に専念しているよ」

 アリアの問いにアディオンが意味深に答えた。

 「どこか悪いんですか?それにいじられたって…」

 「んー、色々やられて心が壊れたのか息をしているってだけで抜け殻みたいになってるのさ」

 「えぇ!?大丈夫なんですか!?」

 「どんな手段で何をされたのかがわからないけど、とりあえず栄養摂取の補助とヒールを定期で行うぐらいしか現状やることがないね」

 「そんな…ひどい…」

 アディオンが素っ気なくいうことばにアリアはショックを受けたように顔を曇らせた。

 「失礼ながら…」

 「ん?どうしたんだい?」

 「神皇国の手段だとすれば歌と呪をあわせたのではと推測できますが」

 「神皇国の昔からの手口ですわ」

 「へぇー、よく知ってるね。さすが年のこ…なんでもないです」

 「セナ様とりあえず、我等が見てみましょうか?」

 話に割って入ったヤオとタオが軽口を叩こうとしたアディオンに殺気をむけたあとセナへと申し出た。

 「その方たちは…?」

 「ドラゴニアの双爪だ。今はセナの従者だけどな」

 「な…なんと…いや、今はそんなことより…すまんが頼めるか?」

 レオがヤオとタオを見て尋ねるとエイケンがニヤリと笑い素性をおしえ、驚きながらもレオはヤオとタオに頭を下げた。

 「レオ?頭を下げる相手が違うよ。その二人は主の命がなければ死んでも動かないよ」

 「見た目と違って中身は頑固婆だからなぁ!がっはっは…がはっ」

 アディオンがセナを指さしレオをにいうとエイケンが豪快に笑った後、タオからの掌打を鳩尾に食らい悶絶した。

 「そうだな。取り乱し失礼なことをした。リネアの英雄セナ殿、申し訳ないが妃…いや我妻を救ってはくれまいか」

 「セナ君どうする?」

 「僕は何もできませんが…ヤオさんタオさん…それにアリアも…お願いできるかな」

 「御意」

 「かしこまりましたわ」

 「私も?」

 頭を下げたレオにセナが3人を見ながら声をかけるとアリアは自分も含まれていて驚いた。

 「うん。さっきの話だと歌と呪術をあわせてる可能性もあるっていうし、アリアの歌が必要な気がするんだ。お願いできるかな」

 「虫のいい話とは思うが…余からも頼む」

 「わかりました」

 「すまん…恩に着る」

 アリアが了承するとレオは深々と頭を下げた。

 「もし治った場合の請求内容はリレイがあとから伝えるからね」

 「うむ」

 「え?」

 「これだけのメンツを彼の今の立場で願い出るんだタダというわけにはいかないのさ」

 「国同士のやり取りも含まれてっからごちゃごちゃとめんどくせぇんだよ」

 「わかりました…」

 エイケンの言葉にセナはどこか不満げに答えた。

 「じゃぁ早速ライラのところへ行こうじゃないか」

 アディオンがそう言い先頭をつかつかと歩き始めたのでセナたちはレオに挨拶をし部屋を出てアディオンの後に続いた。

 「さぁここだよ!」

 とある部屋のドアをあけアディオンがいうと部屋の中にベッドが1つ置かれていてそこに一人の女性が眠っていた。

 「この方が…皇妃様…ヤオさんタオさん、アリアお願いします」

 「御意」

 セナたちが眠るライラをみたあとヤオ達に場所を譲るとヤオとタオはライラの頭部と足部に別れ両手をかざした。

 「ふむ…やはり呪がかけられておりますな」

 「しかも無理に解除しようとしたらしく複雑な壊れ方をしている状態ですわ」

 「そっかぁ、ボクのところにはこの状態で運ばれてきたからねぇ。たぶんこの国の魔法師と術師がへっぽこだったんだね」

 両手を下ろし報告した2人の言葉にアディオンが答えた。

 「それで解除できそうなの?」

 「通常の呪よりも深く刺さっておりますゆえ、難しいかと」

 「たぶんですが何度も何度も歌を交え重ね掛けしたものだと推測いたしますわ」

 「ゆえに我等もアリア殿の歌に乗せ解呪を心みたいのですが」

 リレイの問いにヤオがアリアとセナをみながら答えた。

 「うん…やろう。やります!」

 「アリアちゃん…ありがとう。傲慢で勝ち気でいけ好かない人だけど義理でも私の姉なの」

 「え…っと…がんばります」

 決意を込めた目で両手を握り言ったアリアにライラをみながらアレストラがところどころにとげとげしさをのぞかせながらも願い出ると、戸惑いながらもアリアは頷きライラの右手を握った。

 「歌姫様、すべての物を浄化するイメージでお願いいたします」

 「わかりました」

 「3人ともよろしくおねがいします」

 ヤオからの注文に頷き、深く息を吸いアリアが歌い始めるとヤオとタオは再び頭と足にわかれ両手を掲げ呪文のようなものを唱え始めた。


 「~♪~♫」

 「かれこれ5分以上たってる歌姫殿もヤオ殿・タオ殿もかなり消耗しているぞ?」

 アリアの歌声が揺らぎ始めヤオとタオも額に浮かぶ汗が滴りおちているのをみてサイが言った。

 「どれほどの進行状況なのか私たちにはわからないし、途中で止めていいのかすら判断ができないわね」

 「集中しているから体力の消耗もそうだけど、それぞれの力もだいぶ消耗しているね。二人は燐気と龍気も織り交ぜてるようだし、それに特にアリアは慣れていないのもあるけど魔力の消耗がおもったより大きいみたいだ」

 リレイとアディオンがアリア達を冷静に観察しながらいった。

 「無理なのかしら…」

 アディオン達の言葉を聞きアリアたちを見たアレストラが不安げに尋ねた。

 「ふむ。このままでは10分を超えたあたりで3人とも枯渇する可能性があるな」

 「今の彼女たちでは現状を確認できないからねぇ…」

 アレストラの問いにサイとアディオンが答えた。

 「なにめんどくせぇことを言いあってんだよ」

 「馬鹿はだまれ」

 「馬鹿ってお前なぁ…まぁいい、要するに魔力と燐気、龍気を補充してやりゃぁいいんだろ?」

 「言うほど簡単じゃないわよ?魔力と燐気は私たちやあなたがいるからいいけど龍気はどうするのよ」

 「馬鹿かおめぇら、ここにとっておきの燃料タンクが居るじゃねぇか」

 サイやリレイの言葉にめんどくさそうにセナの肩を叩きながらエイケンが言った。

 「あっ!」

 「あっ!じゃねぇよ。あっ!じゃよぉ。こいつと婆どもは繋がってんだから勝手に必要分とらせりゃいいし、魔力はアディオンが吸って渡してやりゃあいいじゃねぇか」

 「くっ!なんだこの敗北感は」

 「馬鹿に馬鹿って言われたわ…サイ…私…もうだめかもしれない…」

 「気をしっかり持てリレイ!我等は奴と違って色々気を使っていただけだ」

 「そ、そうよね…ありがとうサイ」

 「ひでぇな!おい!」

 「はいはい!どいたどいた!君の出番はもう終わったよ!」

 「おい!」

 絶望したリレイの肩をだき立ち上がらせたサイをみてショックを受けていたエイケンを邪魔にしてグイグイと壁際におしやったアディオンがセナを見てにこやかに笑った。

 「さぁ!やろうかセナ君。まず燐気と龍気を強制的に二人に流し込んでやってくれるかい?」

 「は、はい」

 「っ!?」

 アディオンの言葉にセナがヤオとタオにそれぞれ力を流すと二人は驚いたように目を見開いた後、頷きあい再び呪を唱えつづけた。

 「次に魔力だね!魔力は少し多めに頼むよ」

 「はい!」

 「~♫~っ!?」

 魔力を練ったセナの胸に左手を置き右手でアリアの背中にふれたアディオンがセナの魔力をアリアへと流し込んだ。

 「ふむ。この調子なら3日は持つな」

 「化け物すぎるわね…」

 「くっふっふ!さぁ!3人ともスタミナ以外いくら使ってもらっても構わない!一気にやっちゃって!」

 楽しそうにアディオンが言った後、15分ほどたった。

 「解呪ディスペル!!」

 アリア、ヤオ、タオの3人が目を合わせ頷きタイミングを合わせ叫ぶように言った。

 パリーーーン!!

 部屋中にガラスが割れるような音が響き渡ったあと、呼吸を荒くした3人が満足げに笑いあったのち、ヤオが口を開いた。

 「セナ様無事に終わりました」

 「成功しましたわ」

 タオが全員を見渡しいった。

 「やったぁ!」

 「うんうん!脈、呼吸も問題ないね。あとは意識が戻るのを待ってみよう」

 「誰か!お兄様にこのことをお伝えして!」

 タオの報告を聞き、見ていた者達は喜びの声を上げ、アディオンがライラを触診して笑顔を浮かべ、アレストラは兵をレオへの報告に走らせた。

 「ヤオさん、タオさん、アリア!お疲れ様でした!」

 セナが3人をみて満面の笑顔で頭を下げた。

 「もったいなきお言葉」

 「セナ様のお力添えのおかげですわ」

 「うんうん!セナの応援のおかげだよ!!」

 3人はそれぞれ嬉しそうにセナに笑顔で返した。

 

 

 

 
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