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第5章 ストラトス帝国編

出てきた者

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 エイシャとセナが塔へ入った。

 「ラミ?セナちゃんを連れてきたわよ?」

 「こんにちわ」

 『エイシャありがとう、セナちゃんよくきたわね』

 エイシャの言葉とセナの挨拶にラミネスが2人の頭の中に直接話しかけてきた。

 「それで?ラミなんのようなの?」

 『そんなに焦らないでよ、今から言うわよ』

 「おばあちゃんも知らなかったんだ」

 「えぇそうなのよ」

 二人のやり取りを聞き、セナは少し驚きながらエイシャを見た。

 『セナちゃん?セナちゃんは帝国へ向かうために飛竜がほしいのよね?』

 「はい、厚かましいですが飛竜に帝国まで乗せていってくれないかお願いできないかなと思ってます」

 『ふふふっ…やはりいい子ね?セナちゃん♪龍族にちゃんと敬意をもって接してくれるのね』

 「え?僕の事情ですし帝国までは遠いのと、危険もないとはいえませんから…」

 「ラミ?セナちゃんがいい子なのはわかりきってることじゃない、話をすすめなさいよ!時間がないのよ?」

 『わかってるわよ!相変わらず気が短いのよ!あなたは』

 少しイライラしながらいうエイシャにラミネスが語気を荒らげいった。

 『はぁ~、まぁいいわ。セナちゃん、私の直系の子をあなたにつけてあげるわ』

 「え?そんなすごい龍を!?」

 「あなたの直系って!契約には莫大な力が必要じゃない!セナちゃんはこれから旅立つのよ!?」

 深く息をはき、気を切り替えたラミレスがいうとセナは驚き固まって、エイシャは代償が大きすぎると反対した。

 『それくらい私にもわかるわよ…セナちゃんの刀にため込んだ力をもらうつもりよ?ここに来るまでの分とここにきてからの1か月分…十分すぎるほどたまってるでしょ?』

 「えぇ…溜まってるわ…けどそれをしたら刀がまた初期の状態に近いところまで戻ってしまうじゃない…」

 『えぇそうね。でも決めるのはセナちゃんよ?どうする?私の直系なら確実に間に合うわよ?』

 「ほかの飛竜では間に合わないんですか?」

 『すこし厳しいと思うわ…それに距離が長すぎて一気にそこまで飛べない可能性もあるの』

 ラミレスの言葉にセナは少し考えた。

 「じゃあ、すいませんがお願いしてもいいですか?」

 『わかったわ』

 「セナちゃん?わかってるの?刀が初期にもどるということの意味を」

 「え?」

 「この刀の名前は 別天神ことあまつかみと言って豪蔵の…あなたのおじいちゃんが作った最後の刀で、あの人が作った武器の中で生涯最高の一振りなのよ?」

 「えぇ!?」

 セナの言葉にエイシャが理由をいうとセナは目を見開いて驚いた。

 「この刀は持ち主や切った相手から力を少しづつため込んで強くなる…持ち主の成長にあわせるように…だから初期にもどると下手をしたら今のあなたの力には耐え切れないかもしれないの…おじいちゃんはこれにためた力を使いこっちに私を送ってくれたのよ…」

 「そうなんですか…おじいちゃんの作った…でも!…すいません…アリアや仲間の危機だから!ラミレス様お願いします!」

 「…そう…おじいちゃんに似たのね…もういいわ…ラミお願い」

 『あなたも負けず劣らず頑固だけどね…わかったわ。セナちゃんの刀をこれにあてがってちょうだい』

 エイシャの思わぬ話にセナは考え込んだが、アリアやカイン達の顔が思い浮かび刀の力を使うことにした。
そして、ラミレスからこぶし大の丸い石のようなものをエイシャが受け取った。  

 「えぇ…わかったわ。ここでやっても大丈夫かしら?」

 『外でやってもらえるかしら?』

 「そんななの?」

 『もしものためよ』

 「そうね…そうするわ…いきましょ?セナちゃん」

 「え?これは?…いや…はい。ラミレス様ありがとうございました」

 『セナちゃん、頑張るのよ?そしてまた帰ってきて顔をみせてちょうだい?』

 「はい!」

 『龍のご加護がありますように』

 「ん?ありがとうございます」

 エイシャに言われ挨拶をし塔をでようとしたセナへ、ラミレスが祈りを口にするとセナの左胸あたりが一瞬温かみを感じ笑顔で一礼し塔を後にした。

 「どうだった?」

 「ラミレス様から眷属をいただいたわ」

 「はぁ?」

 「なんと…」

 「さすがセナ様ですわ…ありがとうございます…龍王ラミレス様…」

 塔をでた2人を見てエイケンが尋ねエイシャから話を手短に聞くとエイケンとヤオが驚き、タオは膝をつきラミレスの居る塔へ頭をさげ感謝した。

 「場所を移動するわ。屋外闘技場へ向かいましょう」

 エイシャの言葉に一同が頷き移動した。

 「ここでいいわね…セナちゃん?これに刀を当ててくれるかしら」

 「はい…それからどうすれば?…うわっ!?」

 闘技場の中央へ着くと地面に小さな台をおき、そこへラミレスからもらった石のような球体を置いたエイシャが、セナへ刀を渡し指示をした。
 そして指示に従ったセナが刀を当てた状態からどうしたらいいのか尋ねようとしたした瞬間、石がまばゆい光を放った。


 「セナ落ち着け、大丈夫だ!…あぁそういえば…刀にさらに力を送り込むといいらしいぞ?…にっしっし」

 「ふわぁぁ…え?そうなの?わかったよ!」

 「ちょ!?エイケン何言ってるの!セナちゃん まっ…」

 「ふん!」

 「あぁ!だめでございます!セナ様!!」

 驚き取り乱したセナをなだめる様に声をかけたエイケンだったが何か思いついたのか悪だくみを隠そうとしない黒い笑顔をうかべセナを促した、エイシャが気づきとめる前にセナが刀に渾身の燐気、龍気、魔力を注ぎ込むと石はさらに輝きを増した。

 「え?…あっ…」

 「セナ様!」

 まばゆい光を放ち石が空高く上がっていくのをみたセナが力を込めすぎて倒れ、ヤオが駆け寄った。

 「バカ!やりすぎだセナ!」

 「誰のせいだと思ってるのよ!」

 「いたっ!悪かったって…おい!タオ落ち着け!」

 倒れたセナへエイケンが焦りながら駆け寄ると、エイシャに頭をはたかれ、殺気を放ったタオは短剣を構えていた。

 ピカッ!

 ゴロゴロゴロっ!

 石があがっていった上空にいつのまにか雲が厚くかかり雷が鳴り始めた。

 「おいおい…これは…」

 「なんと…」

 「なにあれ…あんなの私でもみたことないわ」

 雷が光ると雲の中にいる者のシルエットをうかびあがらせると、エイケン、ヤオ、エイシャがその姿を見て驚いた。

 「グルルルルルル……グワァァァァァ!」

 雲の中にいるそれが、辺りが震えるほどの鳴き声をあげると雲が消し飛び、巨大な姿をあらわした。

 「姫……あれは龍なのですか……?」

 「たぶん……」

 「いやいや!羽が4枚も生えてるじゃねぇか!それに見た目も変じゃねぇかよ?!」

 空をみあげていうヤオにエイシャが自信なさげに答えると、エイケンは驚き空のそれを指をさして叫ぶように言った。

 「タオ……みたことは……」

 「あ……ありませんわ……」

 エイシャの問いにタオが困惑気味に答えた。

 「グルルルル」

 ドシン!

 「うわっ!」

 「セナ様に!?」

 龍がゆっくり地面に降り立つと着地の振動と風が全員を襲い、みんなこらえたが、龍はセナへ顔を近づけてきたのでヤオがセナをかばうように間に入った。

 「グルルル」

 「ヤオ?大丈夫よ…その子に殺気はないわ…」

 「姫!?しかし!…いえ…わかりました」

 エイシャの言葉を聞き、ヤオがゆっくり龍から目線をそらさずその場をよけた。

 「グルルゥ…」

 「何を!?」

 ベロン!

 「ふごっ!な、なに!?」

 セナを見つめていた龍が急に口を大きく開け、それをみたヤオが焦りもどろうとしたところ、龍はセナを大きな舌でなめた、するとセナは苦しそうにし意識をとりもどし、目の前の光景をみて驚き立ち上がった。

 「落ち着いてセナちゃん!その子は龍宝玉からでた、あなたの龍よ!」

 「そうだぞ!たぶん龍だ!」

 「え?たぶん!?」

 「エイケン殿…」

 「すまん…冗談だ…」

 驚いているセナにエイシャが伝え、エイケンが茶化すと、落ち着きをとりもどそうしていたセナが、再び驚きの声を上げると、エイケンの首筋にヤオが短刀をあてがい低いトーンでエイケンに話しかけエイケンは青い顔をして、両手を上げ謝罪した。
  
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