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第4章 ジルネイ編

それぞれ

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 翌日の朝。

 「うん、さすがセナ君だね。あきれるほど丈夫で異様な回復力だよ」

 「さして問題はないのか?」

 「うん。サイもうなんともないよ。完治だよ」

 セナの身体に手を当て診断したアディオンが診断結果を口にした。

 「ありがとうございますアディオンさん」

 「ボクは君の主治医だからね気にしなくてもいい」

 「あぁ、ちゃんと今回は治療費をうちの国にふっかけてきてるから気にすんなセナ」

 「そうか…驚愕に値するタフネスだな…私もまだまだ修行がたりんか…」

 セナが礼をいうとアディオンは平らな胸をたたき、エイケンが笑顔で皮肉を言う中、サイは驚き片眉をあげたがブツブツ何かを言っていた。

 「快気うれしく思うぞセナ殿。して、すまんがこの書類をみてもらえるか?」

 笑顔のエイシャが快気を喜びながらも昨日はなした内容をまとめた書類をセナへと手渡した。

 「はい…確認しました。問題ありません」

 「では、すまんがここに自署願う」

 セナの確認が取れセナが直筆で自分の名を書くと書類が赤く光った。

 「これは?」

 「契約魔法がほどこされた紙だ」

 セナが驚きながら訪ねるとエイケンが答えた。

 「この契約を一方的にこちらが破ると契約破棄とみなされペナルティーが科せられる」

 「ど…どんなペナルティーなんですか?」

 「そりゃぁ契約魔法をかけるときに出した条件次第だが…あーちなみに今回は…」

 エイシャの説明にセナが疑問を口にするとエイケンがめずらしく歯切れの悪い答えをした。

 「私の命だ」

 「へ?」

 「こちら側のペナルティーは私の命だ破ると私は死ぬ」

 「なんてことを!」

 エイシャの答えに間抜けな声をあげたセナだったが再びエイシャの回答をきくと興奮したように立ち上がった。

 「みんな命を粗末にしすぎですよ!」

 「いや、セナ殿こんかいは仕方がない」

 セナが憤慨しながらいうとサイが腕を組み淡々と答えた。

 「あー、それくらいお前は重要人物なんだよ…セナ」

 「度重なる温情とリネアへの報告のとりさげ…十分釣り合ってるんだよ」

 「重すぎますよ!」

 エイケンとアディオンが言うがセナは納得できずにいた。

 「この世のバランスをとる国ドラゴニアがリネア1国に借りができてしまうところだったんだぞ?」

 「それはドラゴニアにとってはある意味死活問題なんだ」

 エイケンとアディオンがそれぞれ理由を述べた。

 「そういえば世界のバランスってなんなの?」

 「それはおいおい話す…今はそれで納得してくれ…な?」

 セナがエイケンの話を思い出し尋ねるとエイケンは少し困った顔をしセナの頭を乱雑になでながら言った。

 「納得いかないなぁ」

 「ははははっ!大の男が細かいこと気にすんなよ」

 ごまかされたような態度に納得いかない顔をしたセナにエイケンが満面の笑みで答えた。

 「セナ様 おはようございます」

 「セナ様?おはようございますわ」

 セナとエイケンのやり取りをエイシャ達が笑いながらみていると、ヤオとタオがカートのようなものを押しながら
入室し挨拶をしてきた。

 「ヤオさん、タオさんおはようございます」

 「ご気分はいかがですか?」

 「もう全然大丈夫です。ご心配をおかけしました」

 セナの答えに二人はうれしそうな顔をした。
 
 「よかった…」

 「では、ご朝食をお持ちしましたのでお食べください」

 セナの言葉にヤオが安堵の息を吐くとタオがカートから盆をとりだしセナへと手渡した。

 「なるだけ消化にいいものを作ったつもりですが…お口に合えばよろしいのですが…」

 「え?これお二人が作ってくれたんですか?」

 「従者の務めですわ」

 ヤオの自信のない言葉にセナが驚くとタオが笑顔で当然のように答えた。

 「しっかしドラゴニアの双爪を従者に従えるってセナ、おめぇ色々な意味で すげぇな!がっはっはっはっは!」

 かいがいしくセナの世話を焼こうとするヤオとタオを見ながらエイケンが豪快に笑いながら言った。

 「ふむ。セナ殿?二人は世界を色々旅したこともある。きっとセナ殿の旅の役に立つと思うぞ」

 エイシャがうれしそうな顔で3人をみながら言った。

 「え?そうなんですか?」

 「はい。ですのでセナ様の旅のお邪魔になることはないと思いますわ」

 セナがエイシャの言葉を聞き2人の顔を見て尋ねるとタオが恭しく礼をしながら答えた。

 「邪魔だなんて…頼もしいかぎりですよ…よろしくお願いします」

 「御意」
 「おまかせくださいませ」

 セナが頭をさげると二人は驚いたが笑顔でセナの言葉に答えた。

 「ふむ。それでは今日から修行をするのか?」

 「んーん、今日は出歩いてもいいけど、一応明日からにしてもらおうかな」

 サイの問いにアディオンが答えた。

 「ふむ…修行がみれないのは残念だが我らはこれから帰るぞ、エイケン船を出せ」

 「え?もう帰るんですか?師匠」

 「んだよ、もっとゆっくりしていけばいいじゃねぇか」

 サイの言葉にスカーレットとエイケンが不満げな声をあげた。

 「此度の件で私もまだまだだと悟った…帰って修行する」

 「はぁ?まだ上をめざすんかよ?」

 「当然だ」

 サイの決意にエイケンがあきれたように言った。

 「それじゃぁボクも一度ジルネイによってからリネアに向かうよ」

 「え?アディオンさんリネアに戻るんですか?」

 「うん!飛竜が…メディも心配だしリネア王やギルスにもセナ君がドラゴニアにいることを伝えたいし、なにより学校がどれほど進んだか知りたいからね!」

 「最初っから欲望駄々洩れじゃねぇか」

 「あっはっはっはは!ん?なんだい?セナ君。もしかして寂しいのかい?」

 「それは寂しいですよ…サイさんやスカーレット、アディオンさんまで一気にいなくなるんですから」

 アディオンの言葉に眉を八の字にさげ悲しそうに笑いながらセナが答えた。

 「くっ!」

 「くぅ~!」

 その顔を見たサイは胸のあたりを鷲掴みし苦しそうな顔をし、スカーレットはなにかに悶えるように耐えた。

 「なんだ?二人とも急に」

 「あははははっ!セナ君があまりにも悲しそうにするから情が沸いたんだよ」

 エイケンの疑問にアディオンが笑顔で答えた。

 「おめぇは平気そうだな」

 「そりゃそうだよ。ボクはまたすぐ戻ってくるからね」

 エイケンの質問にアディオンが笑顔で当然のように答えた。

 その後、全員で昼食をとり城の前に来ていた。

 「エイシャ!はやく!はやく!」

 「少しは落ち着けドラゴンマニアめ」

 「では、呼ぶぞ?」

 「おぉー!」

 「はっ!」

 バタバタと落ち着かず急かすアディオンをサイがたしなめる中、エイシャが空に向かい右手を上げ空に金色の光を撃ちだした。

 バサッバサッバサ!

 ドスン!

 「グルゥワァ」

 すると、南の方角から翼を広げた姿は10mを優に超すであろう緑色に輝く1匹の飛竜がやってきて、皆の前に降り立った。

 「ご苦労」

 「随分立派なのを呼んだじゃねぇか」

 「この子ならサイとスカーレットも乗れるであろう?」

 飛竜へねぎらいの言葉をかけ、エイシャがエイケンの問いに答えた。

 「うわぁ!立派だねぇ!」

 「グルゥっ」

 「うるさいから嫌われたようだぞ?」

 飛竜をみたアディオンがテンションをあげ近づこうとした時、飛竜が声を低くし威嚇した。

 「でも、ドラゴンって本当に立派で綺麗ですねぇ」

 「グルゥ」

 セナが柔らかい笑顔を浮かべ感心したように飛竜を見ながら言うと飛竜は声のトーンを1段あげたかのような嬉しそうな声で鳴いた。

 「優しそうなドラゴンですね?名前は?」

 「名前なんてねぇよ」

 「え?」

 優しく鳴き、セナのほうへ頭を下げ伸ばすとセナは優しく飛竜の頭を撫でながら聞いた。

 「…ふむ。ではセナ殿 その子に名をつけてあげてやってくれ」

 「え?いいんですか?」

 「うむ」

 エイシャの突然の申し出に驚きながらもセナは飛竜を見ながら考えた。

 「じゃ、じゃぁ…エルシーダでどうかな?」

 「グルルルワァ!」

 「うわっ!?」

 「どうやら気に入ったようだな」

 セナが思い浮かんだ名前を飛竜に伝えると目を見開き翼を目一杯広げ嬉しそうに一鳴きした。

 「気に入ってくれたんだね?ありがとう。エルシーダ…アディオンさん達をよろしくお願いいたします」

 セナは嬉しそうに優しく微笑みエルシーダへ頭をさげた。

 「グルワァ!」

 エルシーダは了承したように力強く一鳴きした。

 「おぉ!さすがセナ君!よろしく頼むよエルシーダ!」

 「すまんが我らも頼むぞ」

 「よ、よろしくお願いします」

 エルシーダの様子を見てアディオンが嬉しそうに近づきエルシーダを1撫でしたあと背中に乗り、続いてサイとスカーレットも一声かけた後、背中に乗った。

 「エルシーダであれば往復1月かかるまい。では、道中気をつけてな」

 「サイまたこいよ?」

 「皆様、此度は大変お世話になりました」

 エイシャ、エイケン、タオが声をかけた。

 「サイさん、スカーレットもありがとうございました。また会いましょう。アディオンさん 気を付けていってきてくださいね?」

 セナが最後に3人それぞれに声をかけた。

 「エイシャ、エイケン世話になった」

 「皆様ありがとうございました」

 「それじゃぁ、ちょっと行ってくるね!」

 サイ、スカーレット、アディオンが笑顔で挨拶をしおえると、エルシーダは一鳴きし、高く飛び上がると、城の上空を1度まわり東の空へと飛び立っていった。

 「おし!セナ、気を取り直して街にでもいこうぜ!案内するからよ!」

 アディオンたちが見えなくなるとエイケンが笑顔でセナへいった。

 「それには及びませぬ。セナ様には我らがついておりますゆえ」

 「エイケン様にセナ様を案内させるとセナ様が穢れてしまいますわ」

 「ひでぇな!甥っ子に町を案内するだけだろうが」

 エイケンの申し出を恭しく一礼しながらヤオとタオが断った。

 「じゃぁ、4人でいこうよ」

 「ばっか!それじゃぁ飲み屋にいけねぇじゃねぇかっ!」

 セナの申し出にエイケンがつい答えてしまった。

 「セナ様。やはり我らだけでいきましょう」

 「そうね。エイケンは軍の訓練をみるように」

 ヤオが軽蔑のまなざしでエイケンを見ながら言うと、エイシャも同じ目をしながらエイケンに訓練指導を命じた。

 「げっ!」

 エイケンが心底いやそうな顔をしたが構わず騎士たちに訓練場へと連れられて行った。


 「セナ殿。今日の晩にでも食事を交えながら今後の話をしよう」

 「はい。わかりました。よろしくお願いします」

 エイシャの言葉にセナは笑顔で答えた。




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これにてジルネイ編終了です。

PC不調により、更新がおくれますが今後も楽しんで読んでいただけると幸いです。

 
 


 

 

 
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