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第4章 ジルネイ編

一心同体

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 エイケンの言葉にヤオとタオ以外のメンバーが2人を見た。

 「それは……一種の禁術を使いました」

 「禁術だとっ!?」

 「エイシャ!貴様知っていたのか?」

 ヤオの答えにエイケンとサイが声を上げた。

 「えぇ…知っていたわ」

 「禁術など!セナ殿にどのような影響がでるか…」

 「セナ様に悪影響は…ほぼありませぬ…」

 「ほぼ?ということは少なからずあるんだね?」

 エイシャの答えにサイが食って掛かる勢いでいうと、ヤオが重そうに口を開き、アディオンが詳細を求めた。

 「はい…セナ様は燐気を使いすぎ、ご自身の体内でのバランスを大きく崩されてしまわれました」

 「アディオン様がおっしゃられた燐気と龍気を作る場所が壊れたとお感じになられたのは魔力だけ膨大な量を保有するあまり他の2つの力の源を侵食してしまいそうになっていたからですの」

 「なるほど…それでそなたらがそれぞれセナ殿に燐気と龍気を譲渡したということか?」

 「簡潔にもうしあげればそうでございます」

 サイの言葉にヤオが淡々と答えた。

 「それで?譲渡だけなら禁術は必要ないよね?それに肝心のデメリットも言ってないよ?」

 「それは、セナ様は元々3つの力が均等だったはずが、なぜか魔力だけ異様に強い状態でしたので…」

 「まて!まて!まて!それってお前らの修行のせいなんじゃねぇのか?」

 「う゛っ!」

 「い…今はそんなことはいいんだよ?話の腰を折らないでくれるかな?」

 アディオンの質問にタオが話始めるとエイケンが割って入り、サイが気まずそうに言葉を失い、アディオンは言葉を濁し話を進めるように促した。

 「はい。なので3つの力のバランスをとるために我らとセナ様をリンクさせたのですわ」

 「リンク?なんだそれは?」

 タオの答えにサイが首をかしげ聞き直した。

 「簡潔にもうしあげると、セナ様の燐気と龍気の足りない部分とコントロールを我らが提供し制御するということでございます」

 「我らとセナ様が繋がったということですわ」

 「なるほど!ぜんっぜん意味が分からねぇ!」

 「同じくだ」

 ヤオの答えにエイケンが苦々しい顔をし言うとサイも同意を示した。

 「なるほどね…それで?デメリットって何だい?」

 「はい。今後、我らにセナ様の居場所が探れるということと、慣れれば我らと念話が可能となったことでしょうか」

 「それだけかい?」

 「はい」

 アディオンの質問に2人が淡々と答えた。

 「ふむ。聞く限りではセナ殿への悪影響はあまりなさそうだな」

 「うっはっ!セナは今後2人に居場所や考えてることがばれんのか!ご愁傷様だな!」

 サイとエイケンが好き勝手言いあう中、アディオンの表情は眉間にしわを寄せ難しい顔のままだった。

 「ヤオ?タオ?ボクはデメリットを聞きたいといったんだよ?」

 「だからさっき言ったじゃねぇか?セナはこれからの人生ご愁傷様だ!わっはっはっはっは!」

 「エイケンそれはセナ君のデメリットでしょ?じゃぁ2人のデメリットはないのかい?」

 「そ…それは…」

 アディオンの言葉にタオが動揺を見せ言葉に詰まった。

 「あるのか…ならば話してもらおうか」

 タオの表情を見てサイが話を促した。

 「はい。…此度の術はセナ様を主とした術でございます」

 「ほぅ?」

 「ですのでセナ様は我らの力を自由に使うことができるようになったのですわ」

 「一方的にか?」

 「はい。我らからセナ様の力を使うということはできません。先ほど言ったコントロールも実際は暴走しないためのリミッターのようなものでセナ様の力に影響をあたえるような代物ではないのでございます」

 ヤオが決意を決めた顔をし話し出しエイケンの質問にも素直に答えた。

 「それだけじゃないよね?話して」

 「さすがアディオン様…ですね」

 「世事はいいよ」

 サイとエイケンが納得しかけた時、アディオンがさらに追及するとタオが諦めたような笑顔を浮かべ答えた。

 「先ほど話した通り、セナ様を主として術を行いましたわ…術の媒体は我らの時です…」

 「時?…時間?」

 「そうですわ。我らが時を止めていた力を使いましたの」

 ヤオの言葉にサイが不思議そうな顔で尋ねるとタオが答えた。

 「ゆえに…我らの時は再び動き出しました」

 「なんか…大事だな…」

 ヤオの言葉にエイケンが疲れたようにつぶやいた。

 「ふむ。厳しいようなことを言うが己たちの責任だ。セナ殿を救うためには致し方なかろう」

 「はい。これでも足りないくらいだと認識しております」

 サイが原因を作ったのは二人だというとヤオはすんなり受け入れ後悔の念を口にした。

 「今までの話を聞いて…最後に1つだけ質問いいかな?」

 「もちろんでございます。なんなりとお聞きくだされ」

 アディオンがヤオをタオを見つめながら言うとヤオは笑顔を浮かべ答えた。

 「じゃぁ聞くね?セナ君が主の術で二人はセナ君とつながったんだよね?」

 「はい」

 「じゃぁセナ君が死んだら君たちはどうなるの?」

 「そ…それは…」

 アディオンの問いにタオが言葉につまり気まずそうな顔をした。

 「おいおい…まさか…」

 「やっぱり…二人も死ぬんだね?」

 「…はい」

 エイケンが一つの可能性を想像しつぶやくとアディオンがその想像を口にしヤオが苦々しい顔で肯定した。

 「おい!ならば二人のうちどちから…いや二人とも死んだらセナ殿も死ぬのか?」

 「それはありませぬ!」

 サイが激高しながら言うと、ヤオは遮るように力強く答えた。

 「サイ?セナ君を主としてって言ったからそれは多分ないんだよ」

 「それでも此度の件の責には足りぬとは思いますが…もう我らにはそれしか差し出すものがなかったのでございます」

 アディオンがサイを落ち着かせながら言うと、ヤオは涙を流し悔しそうな顔で言った。

 「そこまでの覚悟であったか…」

 「おい?姫様よぉ?…あんたわかってってやらせたのかよ…」

 サイが驚き感服したようにいい、エイケンはエイシャを射るような目でみながら訪ねた。

 「なら聞くがエイケンよ…そこまでの覚悟を決めたものを主はとめられるか…?」

 「…無理だな…すまん」

 エイシャの返しにヤオとタオの顔をみたあと、脱力し情けない顔をしたエイケンが謝罪をした。

 「我々からの話は以上でございます」

 ヤオが深々と頭をさげ言った。

 「最後に…セナ様にはこのことは…」

 タオが縋るような顔をし全員に頭をさげ言った。

 「しかし!それでは!」

 「我らはセナ様の枷にはなりたくないのでございます!」

 サイの言葉を遮りヤオが叫ぶようにいった。

 「セナ殿への説明は私がする」

 沈黙の場をやぶるようにエイシャが口を開いた。

 「御意」

 「悪いようにはしないから安心なさい?」

 「…はい」

 エイシャの言葉に片膝をつき二人が答えると、二人にだけ聞こえるようにエイシャが声をかけた。

 「んじゃ、俺らはセナにいらねぇこと言わねぇように気を付けようぜ?」

 「そうしてくれ」

 エイケンが笑顔でそういうと、エイシャが頷き答えた。

 「ふむ。そのほうがいいだろうな…アディオンいうなよ?」

 「大丈夫だよ!」

 「…不安しかねぇ…」

 「なんでさっ!」

 サイも納得し頷きながらアディオンを見ながらいい、アディオンが即答したのを見てエイケンが額に手を当て不安げに首を横に振ると、アディオンは憤慨し地団太を踏んだ。
 

 

 

 

 
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