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「たったそれっぽっちでいいのかい?」
「じゅ、十分すぎます…あの、ありがとうございます」
「君はアンジェと同じ年なのにずいぶんシッカリしているね。あぁ、アンジェリーナは家族や親しいものからはアンジェと呼ばれているんだ」
「そ、そうなんですか。いえ私なんか…ただの平民ですから、正直礼節については全く分からず不敬を働いていないかと先ほどから冷や冷やしておりまして…」
俺は4冊の本を左手でもっており額に流れる冷や汗を拭くこともできずに答えた。
「あははははっ!それで先ほどからずっと汗を垂らしてカチコチになっていたのかい?」
「私の身分で公爵様の邸宅に踏み入ることなどないと思っていましたし…正直どうしたらいいのかと」
「そのように硬くならずに楽にしてくれてかまいませんわよ?」
「い、いえそういうわけには…けがの援助をしてもらいあまつさえ本までお貸しいただけるなんて…感謝と恐縮しか」
「ははっ、セイジュ君は誠実で真面目なんだね」
「当然ですわ、セイですもの」
「なんだいそれは?答えになっていないじゃないか」
「いっ、いいんですのっ!」
「あははははっ!まぁもうこの書庫に用はないし中庭で少々お茶でも飲もうじゃないか」
「あ、では私はそろそろ」
「セイなにをしてますの?さっさといきましょう?」
「え?あの」
「まだ時間は大丈夫なんだろう?いこう」
「え?は、はい」
なんだろ、公爵家は勝手にもりあがり勝手に話を進める一族なのか…全然話を聞いてくれずペースをまったくつかめない。
=============================================
「ハンス様」
「なんだい?」
「リカルド様とコルグ様がお見えになられております」
「え~、リカルドはまだしもコルグの相手するのは面倒だなぁ。今日は特にね」
「お気持ちはお察しいたしますがハンス様、アンジェリーナ様にあってはせめてご挨拶だけでもしていただきたく」
「そうだね。とりあえず挨拶くらいしにいこう。アンジェ行こうか」
「さきにセイをご両親の元へご案内してから向かいますわ」
「セイジュ様は私がご案内いたしますのでご安心ください」
「セイを見送ったあとに挨拶に行きますわ」
「アンジェリーナ様にそこまでしていただくわけには…」
「なら、途中まで一緒にいこうじゃないか。それで我慢してくれ」
「しかたないですわね…わかりましたわ」
「いえ、ですから僕はセルジュさんに…」
「それじゃ、そういうことで行こうか。さぁセイジュ君も行こう」
中庭で高そうな紅茶をいただいていた俺たち、俺は当然緊張で味などはわからず会話に相槌をうつので精いっぱいの中、執事のセルジュが来客をつげ相変わらず勝手に話を決めた兄弟の後を俺はとぼとぼとついていくしかなかった。
「セイジュ君のご両親は?」
「はい、帰りの馬車の前でセイジュ様をお待ちになられております」
「そうか、ならアンジェはセイジュ君を馬車まで送ってあげてくれるかい?」
「え?いいんのですの?」
「かまわないよ、本の返却日なんかをその時に決めてくるといい」
「流石お兄さまですわ!さぁいきますわよセイ」
「え?は?えっとハンス様このように良くしてくださりありがとうございました~あぁぁ、失礼いたしますぅ~」
「きにしなくていいよ~、また機会があったら遊ぼう!」
「は~い~」
ハンスに礼をしている最中アンジェリーナに首根っこをつかまれ引きずられながら遠ざかる俺にハンスは面白そうに笑顔を浮かべながら優雅に手を振っていた。
「本を読み終えるのにどれほどかかりそうですの?」
「できる限りすぐにでもお返しいたします」
「なら1週間後にセイの元へ行きますわ」
「そんな!恐れ多いですよ!私がここまでお返しに参りますので!」
「お兄さまに頼まれたんですもの私の責務ですわ…ん?セイがここに届けに来る?」
「は、はい」
「……」
公爵令嬢を使いっ走りになんて身の破滅しか想像できない俺をよそにアンジェリーナは顎に手を当てて馬車へと歩きながらも何かを考えているようだ。
「あのアンジェリーナ様?」
「え?あ、あぁ…。セイ」
「はい?」
「本を返却するときはいつでも門番に言ってちょうだい。門番には言っておきますわ」
「はい。色々ご親切にしていただき、公爵様にも御礼を言えず申し訳ありませんでした」
「別にセイが気にすることではありませんわ。いつものお二人がお兄さまにお会いにきただけですから」
「そ、そうですか」
「ええ、そちらではないわこちらよ」
「あ、すみません」
「きゃっ!」
「あ゛ぁ~ん?」
道を間違えた俺を見ながら角をまがったアンジェリーナが何かにぶつかり短い悲鳴をあげ俺がそちらに行くとアンジェリーナがぶつかったと思われる相手が不機嫌そうに尻もちをついたアンジェリーナを見下ろしていた。
「じゅ、十分すぎます…あの、ありがとうございます」
「君はアンジェと同じ年なのにずいぶんシッカリしているね。あぁ、アンジェリーナは家族や親しいものからはアンジェと呼ばれているんだ」
「そ、そうなんですか。いえ私なんか…ただの平民ですから、正直礼節については全く分からず不敬を働いていないかと先ほどから冷や冷やしておりまして…」
俺は4冊の本を左手でもっており額に流れる冷や汗を拭くこともできずに答えた。
「あははははっ!それで先ほどからずっと汗を垂らしてカチコチになっていたのかい?」
「私の身分で公爵様の邸宅に踏み入ることなどないと思っていましたし…正直どうしたらいいのかと」
「そのように硬くならずに楽にしてくれてかまいませんわよ?」
「い、いえそういうわけには…けがの援助をしてもらいあまつさえ本までお貸しいただけるなんて…感謝と恐縮しか」
「ははっ、セイジュ君は誠実で真面目なんだね」
「当然ですわ、セイですもの」
「なんだいそれは?答えになっていないじゃないか」
「いっ、いいんですのっ!」
「あははははっ!まぁもうこの書庫に用はないし中庭で少々お茶でも飲もうじゃないか」
「あ、では私はそろそろ」
「セイなにをしてますの?さっさといきましょう?」
「え?あの」
「まだ時間は大丈夫なんだろう?いこう」
「え?は、はい」
なんだろ、公爵家は勝手にもりあがり勝手に話を進める一族なのか…全然話を聞いてくれずペースをまったくつかめない。
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「ハンス様」
「なんだい?」
「リカルド様とコルグ様がお見えになられております」
「え~、リカルドはまだしもコルグの相手するのは面倒だなぁ。今日は特にね」
「お気持ちはお察しいたしますがハンス様、アンジェリーナ様にあってはせめてご挨拶だけでもしていただきたく」
「そうだね。とりあえず挨拶くらいしにいこう。アンジェ行こうか」
「さきにセイをご両親の元へご案内してから向かいますわ」
「セイジュ様は私がご案内いたしますのでご安心ください」
「セイを見送ったあとに挨拶に行きますわ」
「アンジェリーナ様にそこまでしていただくわけには…」
「なら、途中まで一緒にいこうじゃないか。それで我慢してくれ」
「しかたないですわね…わかりましたわ」
「いえ、ですから僕はセルジュさんに…」
「それじゃ、そういうことで行こうか。さぁセイジュ君も行こう」
中庭で高そうな紅茶をいただいていた俺たち、俺は当然緊張で味などはわからず会話に相槌をうつので精いっぱいの中、執事のセルジュが来客をつげ相変わらず勝手に話を決めた兄弟の後を俺はとぼとぼとついていくしかなかった。
「セイジュ君のご両親は?」
「はい、帰りの馬車の前でセイジュ様をお待ちになられております」
「そうか、ならアンジェはセイジュ君を馬車まで送ってあげてくれるかい?」
「え?いいんのですの?」
「かまわないよ、本の返却日なんかをその時に決めてくるといい」
「流石お兄さまですわ!さぁいきますわよセイ」
「え?は?えっとハンス様このように良くしてくださりありがとうございました~あぁぁ、失礼いたしますぅ~」
「きにしなくていいよ~、また機会があったら遊ぼう!」
「は~い~」
ハンスに礼をしている最中アンジェリーナに首根っこをつかまれ引きずられながら遠ざかる俺にハンスは面白そうに笑顔を浮かべながら優雅に手を振っていた。
「本を読み終えるのにどれほどかかりそうですの?」
「できる限りすぐにでもお返しいたします」
「なら1週間後にセイの元へ行きますわ」
「そんな!恐れ多いですよ!私がここまでお返しに参りますので!」
「お兄さまに頼まれたんですもの私の責務ですわ…ん?セイがここに届けに来る?」
「は、はい」
「……」
公爵令嬢を使いっ走りになんて身の破滅しか想像できない俺をよそにアンジェリーナは顎に手を当てて馬車へと歩きながらも何かを考えているようだ。
「あのアンジェリーナ様?」
「え?あ、あぁ…。セイ」
「はい?」
「本を返却するときはいつでも門番に言ってちょうだい。門番には言っておきますわ」
「はい。色々ご親切にしていただき、公爵様にも御礼を言えず申し訳ありませんでした」
「別にセイが気にすることではありませんわ。いつものお二人がお兄さまにお会いにきただけですから」
「そ、そうですか」
「ええ、そちらではないわこちらよ」
「あ、すみません」
「きゃっ!」
「あ゛ぁ~ん?」
道を間違えた俺を見ながら角をまがったアンジェリーナが何かにぶつかり短い悲鳴をあげ俺がそちらに行くとアンジェリーナがぶつかったと思われる相手が不機嫌そうに尻もちをついたアンジェリーナを見下ろしていた。
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