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「まて!お嬢様を放せ!」
「うるせぇ!!どけ!!ぶっ殺すぞ!!」
「ふわぁっ!」
「セイちゃんっ!!」
「っ!てめぇ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
=======================
「ん…うぅ…痛い!!!」
耳の奥というか頭の中でいろいろな声が聞こえ目が覚めると全身に痛みが走り強制的に意識がはっきりした。
「なんだっ!」
痛みにより声を上げると激しく階段を上る音とともに壊れるのではないかというほどの勢いでドアが開き無精ひげを生やした細身の男性が息を切らしてあらわれ俺と目が合うと驚いた表情で固まった。
「お…おぉ…」
「お?」
「起きたぞ!!セイが目を覚ましたぞ!!!」
目が合ったまま硬直していた男がわなわなと震えだしたと思ったら大声で叫び俺はびっくりしてビクンと体を震わせると痛みにより顔をしかめた。
「あなたっ!」
「あぁ!セイが!ふっがっ!!」
「あぁ!!セイちゃん!!!」
男を吹き飛ばし多少くすんで入るがきれいな金髪女性が灰色の瞳に涙を浮かべ俺を見た瞬間抱きしめてきた。
「イタッ!」
「あぁ!ごめんなさいっ!…よかった…目が覚めて本当に良かった…」
女性に激しく抱かれ背中に激しい痛みを覚え声を上げると女性は抱きしめる力を弱め涙を流しながら俺の顔をのぞいてきた。
「あの…しゅみましぇん。ここはどこですか?」
「えっ!?…」
見たことのない部屋であからさまに異国の方に声をかけられた俺が尋ねると女性は信じられないものを見るように息をのみ固まった。
「ま…まさか…セイちゃん…記憶が…あなたっ!セイの記憶がっ!」
「なんだと!」
俺の言葉にワナワナと震えた女性が先に来た男性に抱き着いた。
「おちつけセシリー、セイは1週間生死をさまよい起きたばかりなんだ…きっとまだ混乱しているんだ」
「え、えぇ…そ、そうよね…母親の私がしっかりしなきゃだめよね」
母親という言葉に驚いていた俺に二人は目線を合わせこれまでのことを小さな子供に言うようにゆっくりはなしはじめ俺は転生したことを理解しショックのあまり気絶した。
========================
「お?セイ帰ってきたか、今日も頑張ってきたか?」
「うん、ただいまお父さん。だいぶ右腕が動くようになってきたよ」
「そうか、えらいな!」
俺が転生者だと理解してから早2年俺は6歳になっており、前世の記憶が戻ったきっかけの出来事で右腕が動かなくなりリハビリに通っていた。
「治療費やらなんやら2年たった今でも出してくれるなんていい公爵様でよかったぜ」
「あったことないから僕わからない」
「セイはまだ子供だからしかたねぇよ」
父はにかっと笑いガシガシ俺の頭を撫でた。地味に痛いが俺はわりとこれが好きだった。
==========================
「お?今日も来やがったぜ?」
「ん?おーい片手君!今日も左手だけで荷物をもって大変だなぁ~」
「……」
「おいおい!無視すんなよ~。片手のセイジュ君!」
翌日リハビリに向かうセイジュに同年代の子たちが意地悪い顔でニヤニヤと近づきからかってきた。
「いいよなぁ!お前は公爵様のお金で治療院でリハビリよぉ」
「おぉ!ちらっとみたけどよぉ、こいつちっともボール前になげれねぇの!」
「いっつも足元にポトッっておちてるもんな!」
「飾りの右手ぶら下げてるだけで公爵様から金がもらえていいなぁ!!」
「失礼いたします」
「うぉっ!びっくりしたー!!」
からかっていた4~5人の子供たちの背後から執事らしき人物が声をかけてきた。
「驚かせてしまい申し訳ありません。失礼ですがそちらのお方はセイジュ様でしょうか?」
「は、はい。僕がセイジュですが……どなた」
「やっと会えましたわ!!」
執事の問いに答えているのを遮るようにバンと馬車のドアが開き一人のいかにもお嬢様というような風貌の少女がドーンという効果音が聞こえそうなほどの登場を披露した。
「うるせぇ!!どけ!!ぶっ殺すぞ!!」
「ふわぁっ!」
「セイちゃんっ!!」
「っ!てめぇ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
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「ん…うぅ…痛い!!!」
耳の奥というか頭の中でいろいろな声が聞こえ目が覚めると全身に痛みが走り強制的に意識がはっきりした。
「なんだっ!」
痛みにより声を上げると激しく階段を上る音とともに壊れるのではないかというほどの勢いでドアが開き無精ひげを生やした細身の男性が息を切らしてあらわれ俺と目が合うと驚いた表情で固まった。
「お…おぉ…」
「お?」
「起きたぞ!!セイが目を覚ましたぞ!!!」
目が合ったまま硬直していた男がわなわなと震えだしたと思ったら大声で叫び俺はびっくりしてビクンと体を震わせると痛みにより顔をしかめた。
「あなたっ!」
「あぁ!セイが!ふっがっ!!」
「あぁ!!セイちゃん!!!」
男を吹き飛ばし多少くすんで入るがきれいな金髪女性が灰色の瞳に涙を浮かべ俺を見た瞬間抱きしめてきた。
「イタッ!」
「あぁ!ごめんなさいっ!…よかった…目が覚めて本当に良かった…」
女性に激しく抱かれ背中に激しい痛みを覚え声を上げると女性は抱きしめる力を弱め涙を流しながら俺の顔をのぞいてきた。
「あの…しゅみましぇん。ここはどこですか?」
「えっ!?…」
見たことのない部屋であからさまに異国の方に声をかけられた俺が尋ねると女性は信じられないものを見るように息をのみ固まった。
「ま…まさか…セイちゃん…記憶が…あなたっ!セイの記憶がっ!」
「なんだと!」
俺の言葉にワナワナと震えた女性が先に来た男性に抱き着いた。
「おちつけセシリー、セイは1週間生死をさまよい起きたばかりなんだ…きっとまだ混乱しているんだ」
「え、えぇ…そ、そうよね…母親の私がしっかりしなきゃだめよね」
母親という言葉に驚いていた俺に二人は目線を合わせこれまでのことを小さな子供に言うようにゆっくりはなしはじめ俺は転生したことを理解しショックのあまり気絶した。
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「お?セイ帰ってきたか、今日も頑張ってきたか?」
「うん、ただいまお父さん。だいぶ右腕が動くようになってきたよ」
「そうか、えらいな!」
俺が転生者だと理解してから早2年俺は6歳になっており、前世の記憶が戻ったきっかけの出来事で右腕が動かなくなりリハビリに通っていた。
「治療費やらなんやら2年たった今でも出してくれるなんていい公爵様でよかったぜ」
「あったことないから僕わからない」
「セイはまだ子供だからしかたねぇよ」
父はにかっと笑いガシガシ俺の頭を撫でた。地味に痛いが俺はわりとこれが好きだった。
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「お?今日も来やがったぜ?」
「ん?おーい片手君!今日も左手だけで荷物をもって大変だなぁ~」
「……」
「おいおい!無視すんなよ~。片手のセイジュ君!」
翌日リハビリに向かうセイジュに同年代の子たちが意地悪い顔でニヤニヤと近づきからかってきた。
「いいよなぁ!お前は公爵様のお金で治療院でリハビリよぉ」
「おぉ!ちらっとみたけどよぉ、こいつちっともボール前になげれねぇの!」
「いっつも足元にポトッっておちてるもんな!」
「飾りの右手ぶら下げてるだけで公爵様から金がもらえていいなぁ!!」
「失礼いたします」
「うぉっ!びっくりしたー!!」
からかっていた4~5人の子供たちの背後から執事らしき人物が声をかけてきた。
「驚かせてしまい申し訳ありません。失礼ですがそちらのお方はセイジュ様でしょうか?」
「は、はい。僕がセイジュですが……どなた」
「やっと会えましたわ!!」
執事の問いに答えているのを遮るようにバンと馬車のドアが開き一人のいかにもお嬢様というような風貌の少女がドーンという効果音が聞こえそうなほどの登場を披露した。
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