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聖夜代書
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もちろん、あなた方はサンタクロースをご存じでしょう。十二月二十四日の深夜にトナカイの引く橇に乗って世界中の人々にプレゼントを配って回るというあの老人。その白髭赤服の老人からの頼みで私はこの文書を作成することになったのです。私もあなた方同様、サンタクロースの友人ですから。
不思議なことに最近ではサンタクロースの存在を疑っている方が少なくないそうです。その名を聞けば私達はすぐに彼のことを思い起こすことができるというのに、実に不思議なことです。ですから私はこの短い文書の書き始めにあたって、当然の事実を一つ、述べておきます。サンタクロースは本当に存在しています。そしてこの代書を通して彼は、私は、世界中の人々に彼の本当の行いを伝えようというのです。
聖夜、サンタクロースは私達の良く知った格好で橇に乗り、トナカイに命じて空を駆け、人々にプレゼントを渡して回る。これは良くご存じのことでしょうし、事実です。しかし、私はここに、二つの注釈をつけておきます。
第一にサンタクロースは「良い子供」の所だけにではなく、クリスマスを過ごす全ての人々のもとに訪れるのです。そこに善悪や年齢は関係しないのです(こんなことをいうと決まってサンタクロースが時速何キロメートルで橇を操っているか、などという計算をしたがる人がいますが、彼は世界中のあらゆる場所に同時に存在することができるのです。あまり知られていませんがね)。
第二の注釈はあの恰幅の良い柔和な老人が私達にくれるプレゼントについて。本当に彼がくれるプレゼントは実体を伴った物ばかりとは限らないのです。それは銀河のような霧であったり、安らぎを放つ暖炉の火であったりすることもあります。きっとあなた方にも覚えがあるでしょう。クリスマスの町がイルミネーションに彩られ、誰かへのプレゼントを抱えた人々が行き交う様を見て、心に銀河の霧が広がるのを。街角の小さな喫茶店でレコードから流れる異国のクリスマスソングを聞きながら紅茶とシュトーレンを楽しむ最中、心に魔法の暖炉の火が灯るのを。これらはみんなサンタクロースからのプレゼントなのです。
あなた方は今年、どれくらいのプレゼントを彼から受け取ったでしょうか。私は実にたくさん受け取りました。時間があれば、それらを一つ一つ自慢したいのですが、聖夜を楽しむという重大な仕事がありますから、この辺りで筆をおくことにいたします。
世界中にメリークリスマス。今夜、世界中にプレゼントを配って回る私の友人にも、メリークリスマス。
不思議なことに最近ではサンタクロースの存在を疑っている方が少なくないそうです。その名を聞けば私達はすぐに彼のことを思い起こすことができるというのに、実に不思議なことです。ですから私はこの短い文書の書き始めにあたって、当然の事実を一つ、述べておきます。サンタクロースは本当に存在しています。そしてこの代書を通して彼は、私は、世界中の人々に彼の本当の行いを伝えようというのです。
聖夜、サンタクロースは私達の良く知った格好で橇に乗り、トナカイに命じて空を駆け、人々にプレゼントを渡して回る。これは良くご存じのことでしょうし、事実です。しかし、私はここに、二つの注釈をつけておきます。
第一にサンタクロースは「良い子供」の所だけにではなく、クリスマスを過ごす全ての人々のもとに訪れるのです。そこに善悪や年齢は関係しないのです(こんなことをいうと決まってサンタクロースが時速何キロメートルで橇を操っているか、などという計算をしたがる人がいますが、彼は世界中のあらゆる場所に同時に存在することができるのです。あまり知られていませんがね)。
第二の注釈はあの恰幅の良い柔和な老人が私達にくれるプレゼントについて。本当に彼がくれるプレゼントは実体を伴った物ばかりとは限らないのです。それは銀河のような霧であったり、安らぎを放つ暖炉の火であったりすることもあります。きっとあなた方にも覚えがあるでしょう。クリスマスの町がイルミネーションに彩られ、誰かへのプレゼントを抱えた人々が行き交う様を見て、心に銀河の霧が広がるのを。街角の小さな喫茶店でレコードから流れる異国のクリスマスソングを聞きながら紅茶とシュトーレンを楽しむ最中、心に魔法の暖炉の火が灯るのを。これらはみんなサンタクロースからのプレゼントなのです。
あなた方は今年、どれくらいのプレゼントを彼から受け取ったでしょうか。私は実にたくさん受け取りました。時間があれば、それらを一つ一つ自慢したいのですが、聖夜を楽しむという重大な仕事がありますから、この辺りで筆をおくことにいたします。
世界中にメリークリスマス。今夜、世界中にプレゼントを配って回る私の友人にも、メリークリスマス。
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