創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

鏑木ディオス

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【第80話】 クッキーと紅茶

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

オレの名は六堂王輝(りくどうおうき)。
37歳のサラリーマンだ。
オレと美羽(歳の離れた幼なじみで17歳のJK)は、突如、異世界に召喚された。
オレ達を召喚したという二人の女神・・・ヒーリスとサンダリオンの話によれば、ここはアルファザードという世界の空中神殿の内部だという。
んで、オレ達に魔王を倒してくれと言ってきた。
どうやら、オレ達にはチートスキルが備わっているらしいが・・・。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「 食堂はこちらです♪ 」
と言って、ヒーリスはサンダリオンを連れながら、オレ達を(大理石の柱が立ち並ぶ区画から)食堂へと案内した。

その食堂の中央には、10人くらい食事できそうな大きな円卓と、椅子が10個置いてあった。

「 では、適当に腰をかけていて下さい。 クッキーと紅茶をお持ちしますので♪ 」
と、ヒーリスが言うと・・・

「 儂も手伝うのじゃ! 」
と、サンダリオンが(お手伝いに)名乗りを挙げた。

「 まぁ! サンダリオンちゃんたらエライですね~♪ 」
そう言って、ヒーリスはサンダリオンをいい子いい子(頭を撫でまわす)しはじめた。

「 これくらい、当然なのじゃ! 」 ( エッヘン! )
サンダリオンは得意げにしている・・・。

そんなやり取りをしながら、女神二人(二柱)は食堂から出て行った。

食堂に残されたオレと美羽・・・ここでオレは美羽にたずねてみた。
「 ・・・美羽? これって・・・この世界って、やっぱ現実だと思うか? 」

美羽 「 ・・・うん。 現実だと思う。 普通なら『異世界転生だの異世界転移だのあるわけない』ってなるとこだけど・・・あの二人(ヒーリスとサンダリオン)の存在感といい、周囲の臨場感といい、とても夢や幻(まぼろし)とは思えないよ・・・。 」

オレ 「 そうだな・・・。 オレも現実だと思う。 ・・・まぁ、夢である可能性も0ではないが、『これは夢だから、この世界で死んでも大丈夫♪』・・・なんて甘い考えで行動して死んじまった場合、これが現実だったら取り返しがつかないことになりかねないからな・・・。 ここから先は、『この世界は現実』という認識・前提で行動しよた方がいいだろうな・・・。 」

美羽 「 私も、それがいいと思う。 まぁ、この世界(アルファザード)に、ゲームとかでいうとこの【蘇生(リザレクション)】みたいな魔法とかスキルがあれば、死んでもワンチャン生き返れるかもだけど・・・ 」

オレ 「 まぁ、そうなんだが・・・もし、【蘇生(リザレクション)】的な魔法やスキルがあったとしても、死なないにこしたことはないからな・・・ 」

美羽 「 うん、わかってる。 」

「 お待たせしました♪ 」 「 お待たせしたのじゃ! 」
・・・という声が聞こえてそちらを向くと、ヒーリスとサンダリオンが食堂に戻って来たところだった。

ヒーリスは大きなお盆に4人分のティーポットとティーカップとおしぼりを載せて、サンダリオンは大きなお盆に山盛りのクッキーが盛られたお皿を4人分(4皿)載せて現れた。
ヒーリスとサンダリオンは、紅茶とクッキーと おしぼりを4人(オレ、美羽、ヒーリス、サンダリオン)それぞれの席に配膳し終えると、自分達も席に着いた。

「 それでは皆さん、頂きましょう♪ いただきます♪ 」 「 いただきますのじゃ♪ 」
ヒーリスとサンダリオンの『いただきます』に続き、オレと美羽も、
「「 いただきます 」」
と、食前の『いただきます』を済ませて、おしぼりで手を拭いてから、(あまりに突拍子もないことが続いて緊張で喉が渇いていたので、)まずは紅茶を一口飲んだ。

オレ 「 ゴクリ・・・んっ!? うまっ・・・!! 」
美羽 「 ゴク・・・っ!? おいしいっ・・・!! なにこれっ!!? 」

それはレモンティーだったが、今までの人生で飲んできたどのレモンティーよりも遥かに美味かった。
一口飲むと、紅茶の(茶葉の)芳醇な香りとレモンの香りが鼻をつくと同時に、程よい控えめな甘さとレモンの酸味が舌と喉を潤した。
まるで最高級の茶葉と砂糖とレモンを絶妙な配分でブレンドしたような・・・とにかく絶品だった。

「 どうじゃっ!? ヒーリスのいれる紅茶はメチャクチャ美味いじゃろうっ!? 」
と、なぜかサンダリオンが得意げに言った。

「 あぁ・・・たしかにスゴイな・・・ 」 「 ホント、おいしい! 」

「 あらあら・・・そんなに褒めて頂けると光栄です・・・。 ささっ! どうぞ、クッキーも召し上がってください♪ 」 (///)
サンダリオンとオレと美羽に褒められ、ヒーリスは顔を少し赤らめながら、クッキーを勧めてきた。

オレも美羽も遠慮なく頂いた。 ( ちなみに、既にサンダリオンは『うまいのじゃ♪うまいのじゃ♪』と言いながら、自分の皿のクッキーをがっついている・・・。 )
これも一口食べると・・・
オレ 「 モグモグ・・・んっ!? うわっ・・・これもうまいなっ!! 」
美羽 「 モグ・・・っ!? ホントだっ!! おいしいっ!! 」

それは見た目通りシンプルなクッキーだったが・・・。
・・・いや、シンプルではないな。
先程の紅茶の時のように、最高級の素材(バター、砂糖、卵、小麦粉、ミルク、等々・・・)を絶妙な配分でブレンドし、最適な温度・最適なタイミングで調理したのだろう。
・・・と、口で言うのは簡単だが、誰にでもできることじゃあない。

「 ふふんっ!! どうじゃっ!? ヒーリスの作るクッキーはメチャクチャ美味いじゃろうっ!? 」
と、(再び)なぜかサンダリオンが得意げに言った。

「 たしかに、メチャクチャ美味いな・・・。 」 「 うん! 紅茶もクッキーもホントにおいしい! 」

「 え~と・・・そんなに褒めて頂けると照れくさいですね・・・ 」 (///)
ヒーリスは顔を赤らめている。

「 ま・・・まぁ、説明の続きに戻りましょう! 食事しながらでいいので、お聞きください。 」
ヒーリスは、(照れ隠しもあるのか、)顔を赤らめたまま説明の続きをはじめた・・・
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