78 / 88
【第76話】 主人公2人をアルファザードに召喚する段取りについて
しおりを挟む◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここ惑星アルファザードの空中神殿の食堂では、オレ(盗賊装備の春埼隆人=創造主)、炎の女神のファイナ、剣と氷の女神のアイネ、治癒の女神のヒーリス、ドラゴン(雷竜)のサンダリオン(美少女形態)、スライムのスラ吉の5人と一匹が大きな円卓を囲っている。
ちなみに、スラ吉はアイネの膝の上に抱っこされている。 ( 厳密には、太ももの上に抱っこされ、スラ吉の頭上にはアイネの爆乳が のっかっているような状態だ。 )
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「 じゃあ、これから段取りを話すから、みんな聞いてくれ。 」
と、オレはファイナ達に告げた。
「 了解っス♪ 」 「 うん・・・ 」(ボソッ・・・) 「 はい♪ 」 「 わかったのじゃ♪ モグモグモグ・・・ 」(クッキーを食べながら・・・) 「 了解でヤンス♪ 」
「 さて・・・まず、オレとファイナは、あらかじめ『リムルネールの街』の近くに降りておく。 で、オレが主人公役の二人・・・六堂王輝(りくどうおうき)と静原美羽(しずはらみう)をココ(空中神殿)に召喚する。 そしたら、ヒーリスとサンダリオンは『主人公の二人を召喚した女神』の役を演じて、主人公二人をナビゲートしてやってくれ。 」 ( ・・・まぁ、女神役ってゆーか、ヒーリスは実際、この世界(アルファザード)の女神なんだけどな・・・ )
「 わかったのじゃ! 完全に理解したのじゃ! 」
サンダリオンは返事だけは威勢がいい・・・。
サンダリオンの威勢のいい返事の後、ヒーリスが少し考えながら言葉を紡いだ・・・
「 え~と・・・ナビゲートする内容・・・主人公お二人に説明する内容としましては・・・
①ここはアルファザードという世界の空中神殿です。あなた達からすると異世界にあたります。
②私はこの世界の癒しの女神でヒーリス、こちらは雷(いかづち)の女神でサンダリオンと申します。
③私たちがあなた方を召喚しました。
④ちなみに、あなた方には召喚の際に【翻訳】という特殊能力(スキル)をかけてありますので、言葉は普通に交わせます。
⑤今、この世界は魔王グランデール率いる魔王軍の攻勢により危機にさらされています。もし、魔王軍がここアルファザードを支配した場合、魔王軍は異世界にも侵略の魔の手を伸ばすと公言しており、いずれはあなた方の世界・・・地球にも魔の手が伸びることになるでしょう。
⑥そこで、魔王軍と戦う為、あなた方のお力をお借りしたいのです。
⑦先ほども言いましたが、ここアルファザードが侵略されたら、いずれは地球も狙われることになります。もしかしたら、次のターゲットが地球になる可能性もあります。
⑧あなた方にはチート能力が備わっています。が、魔王軍の雑兵はともかく、魔王グランデール本人と戦うには戦闘経験が足りません。なので、魔王城から遥か遠くの『リムルネールの街』からスタートして、戦闘経験を積んで強くなってください。
⑨王輝さんには戦士タイプの黒いコートと剣を、美羽さんには魔法剣士タイプの白いコートと剣を、それぞれお渡しします。
⑩それと、この世界には、先ほど言った特殊能力(スキル)の他にも、ステータスやレベルや魔法やオーラというものが存在します。なので、それらについての基礎知識を説明します。
⑪尚、無事に魔王軍を倒してこの世界を救って頂いた後は、あなた方を地球に・・・召喚される直前の時と場所にお送りいたします。
・・・で、一通り説明し終えたら、主人公のお二人をここ(空中神殿)から地上のリムルネールの街に転移させてあげればよろいいでしょうか・・・?
その後は、盗賊(シーフ)役の創造主様と神官役のファイナさんが、うまいこと偶然をよそおって主人公のお二人とパーティーを組む・・・という感じで・・・ 」"
「 さすがヒーリス。 ほぼ完璧だ。 特に、⑦の『次のターゲットが地球になる可能性も』と言うことで、暗に『オマエたち地球人にとっても他人事じゃないんだぞ?だから手伝えよ?』と匂わせてるところもいい。 」
「 ま・・・まぁ・・・ちょっと『脅し文句』みたいになってしまいますので、言おうかどうしようか迷いますが・・・ 」
ヒーリスは苦笑いと冷や汗をかきながら答えた。
「 んむ! さすがはヒーリスなのじゃ! 」
なぜかサンダリオンがドヤ顔している。
まぁ、サンダリオンのドヤ顔は置いといて・・・
「 そうだなぁ・・・少しだけ補足や修正しとこうか・・・。 まず、主人公二人を召喚する時点で、スキル【翻訳】と【不老】をかけておこうと思う。 」 ( 主人公たちはアルファザードで冒険する間そのままだと当然歳をとるので、地球に戻った時に周囲の人間に比べて主人公たちだけ少し老けることになってしまう。 その為、主人公たちは冒険中も「さっさと魔王倒して地球に帰らなきゃ・・・!」という焦りが生じてしまう。 JKの静原美羽は特にそういう焦りが出るだろう。 そういう焦りが生じないように、アルファザードにいる間は【不老】で歳をとらないようにし、その旨を主人公たちにも伝えておこう・・・という考えだ。 )
「 スキル【不老】でヤンスか・・・? あぁ・・・そういうことでヤンスね・・・ 」
とスラ吉が独り言ちるように言った。
続いて、ヒーリスやファイナやアイネも(主人公たちにスキル【不老】をかける意味を)理解したようで、「あぁ・・・」とか「なるほど・・・」というように独り言ちた。
そして、みんなより数秒遅れてサンダリオンも、
「 な・・・なる程なのじゃ・・・完全に理解したのじゃ・・・ 」(ボソッ・・・)
と、アイネ並みに小さな声で呟いた。
・・・あからさまに怪しい・・・
ちょっと意地悪かもとも思ったが、オレはサンダリオンに、
「 じゃあ、サンダリオンに説明してもらおうかな? なぜオレは、主人公たちにスキル【不老】をかけようと思ったのかを。 」
と言ってみた。
「 ・・・っっ!!? 」(カアァァ・・・)
サンダリオンは絶句した。
まるで、学校の授業で先生が『この問題わかる人?』と聞いた時に周りがみんな手を挙げてるから(本当はわからないのに)ついつい手を挙げたら運悪く指されてしまった生徒のように・・・。
次の瞬間、サンダリオンはテーブルに突っ伏して、
「 わ・・・わからないのじゃ・・・本当はわからないのじゃ・・・儂はドラゴンじゃから・・・みんなより頭悪いのじゃ・・・ 」(グスッ・・・)
と、ちょっと涙ぐんだ声で言った。
ヤバ・・・悪いことしちゃったかな・・・(汗)
ヒーリスがサンダリオンに駆け寄り、
「 大丈夫ですよ? サンダリオンちゃん? 全然気にすることないですよ? 」
と、一生懸命になだめたりあやしたりしている。
そして、(非常に珍しいことに)眉を吊り上げた怖い顔でオレの方に顔を向け、
「 創造主様っっ!! なんでそんな意地悪するんですかっっ!! サンダリオンちゃんに謝ってくださいっっ!! 」
と、オレに向かって怒った。
138億歳の宇宙の創造主なのに怒られてしまった・・・
ファイナ達も戦々恐々としている。
まぁ、たしかに今のはオレも意地が悪かった。 ( まぁ、知ったかぶりしたサンダリオンサイドにも若干問題あると思うが、それを言うとヒーリスが更に怒りそうなのでやめとこう・・・ )
「 その・・・悪かったなサンダリオン。 じゃあ、どういうことか説明するから、よく聞いてくれよ? 」
「 ん・・・わかったのじゃ・・・ 」
「 じゃあ、説明するぞ? 主人公たちはアルファザードで冒険する間、そのままだと当然歳をとる。 なので、地球に戻った時に周囲の人間に比べて主人公たちだけ少し老けることになってしまう。 その為、主人公たちは冒険中も「さっさと魔王倒して地球に帰らなきゃ、自分達だけ周りに比べて老けてしまう・・・!」という焦りが生じてしまう。 JKの・・・若い女の子の静原美羽なんかは特にそういう焦りが出るだろう。 冒険中にそういう焦りが生じないように、アルファザードにいる間は【不老】で歳をとらないようにしてあげて、その旨を主人公たちにもあらかじめ伝えてあげようってわけだ。 ・・・つっても、魔王倒すまでそんな何年もかからないだろうけどな。 せいぜい、数週間とか数ヶ月くらいだとは思うが・・・。 」
「 なるほどのぅ・・・今度こそ完全に理解したのじゃ♪ 」
「 いい子ですねぇ~サンダリオンちゃんは♪ はい♪ ご褒美のクッキーですよ♪ 」
「 ん・・・モグモグモグ・・・おいしいのじゃ♪ 」
サンダリオンがドンドン幼児退行し、ヒーリスがドンドン オカン化していく・・・
まぁ、それは置いといて・・・
「 あとは・・・ここに召喚する時点で防具と武器は装備した状態で召喚するか・・・。 それと、少々甘いかもしれないが、初期の所持金として一人あたり20万ゴルドほど渡してやるかな・・・ 」 ( ちな、ゴルドとは、ここアルファザードの通貨単位で、1ゴルド≒1円くらいである。 )
「 そうですね・・・たしかに、異世界で一文無しの状態からでは不安もあるでしょうし・・・ 」
と、ヒーリスも同意した。
これで、一応の段取りはできたかな・・・。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる