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【第65話】 『オープン・ステータス』
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ここ惑星アルファザードの空中神殿の食堂では、オレ(春埼隆人=創造主)、炎の女神のファイナ、剣と氷の女神のアイネ、治癒の女神のヒーリス、ドラゴン(雷竜)のサンダリオン(美少女形態)、スライムのスラ吉の5人と一匹が大きな円卓を囲っている。
ちなみに、スラ吉はアイネの膝の上に抱っこされている。 ( 厳密には、太ももの上に抱っこされ、スラ吉の頭上にはアイネの爆乳が のっかっているような状態だ。 )
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「 じゃあ、ステータスについて、残りドンドン説明しちゃうからな? まぁ、わからなかったら遠慮なく質問してくれ。 」
オレの言葉に、皆、ウンと頷いた。
「 じゃあ…まず、各パラメーターの『基準』についてだ。 これは、冒険者を除く15歳~65歳の健康な人間の男女平均値を『基準』にしようと思う。 なんで、冒険者を除外したかと言うと、基本的に冒険者は、冒険者以外の人間に比べて各パラメーターが著しく高い。 体内の『気(オーラ)』をなかば無意識にコントロールすることで常人離れした身体能力を発揮したり、常人とは比較にならない膨大な魔力を備えていたり。 『一般人』の能力の平均値を『基準』にしたいってのに、そんな常人離れした冒険者たちの能力値はサンプリングすべきではないと考えたからだ。 次に、なぜ年齢の範囲を定めたかと言うと、赤ん坊や小さな子供は基本的に全パラメーターが著しく低く、高齢の老人は筋力が関係するパラメーター…物理攻撃力やら敏捷性やらが著しく低いからだ。 『一般人』の能力値を『基準』にしたいので、著しく能力値が低い年代は除外する意味で、15歳~65歳に絞った。 また、『健康な人間』に限定したのも同様な理由だ。 …あっ! あと、冒険者以外の者でも、パラメーターが異常に高い者はサンプリングから除外する 」
「 冒険者以外でパラメーターが異常に高い者…っスか? 例えば、ごく普通の農民が なぜかSクラス冒険者並みの実力を持ってたりした場合とかっスか? 」
と、早速、ファイナが質問してきた。
「 あぁ…。 惑星によっては…異世界によっては、チートな転生者や転移者が冒険者以外の一般職に就く場合も珍しくない。 例えば…ってか実例なんだが、チートな転生者が村人になると、魔王と互角以上に戦えるようなクッソ強い村人の爆誕となるわけだ。 そんな規格外のヤツの能力値までサンプリングしたら平均値が異常に高く出ちまって、『一般人』の正確な平均値とは言えなくなってしまう 」
「 魔王と互角以上の村人じゃとっ!? はぁ~…異世界には とんでもないヤツが おるもんじゃのう… 」
サンダリオンは大きな目をパチクリさせて驚いている。
「 転生者や転移者ではない…その世界の純粋な出身者でも、突然変異的にチートな強さを持って生まれてくるヤツはいる。 …まぁ、ファイナ、アイネ、ヒーリス…オマエ達が それにあたるわけだが 」
「 えっ…アタシらっスか…!? …つまり、アタシらはチート主人公だった…? 」
ファイナは褒められて(?)まんざらでもないといった表情(カオ)を浮かべながら、ちょっと調子に乗っている…。
…なにげにアイネとヒーリスも、若干だが まんざらでもない表情(カオ)をしている。
まぁ、(やや遠回しでも)褒められりゃ嬉しいもんな…。
「 まぁ、オマエ達(ファイナ達)の場合は順当に冒険者を選んだわけだが…もしも、オマエ達みたいに常人離れしたのが一般職にいて、それを誤って『一般人』の一人としてサンプリングしちまったら、『一般人』の能力値の平均値が実際よりも高く出てしまうわけだ… 」
「 なるほど… 」(ボソッ…)
アイネが頷いた。
「 え~と…皆、ここまでは いいか…? 」
皆、ウンウンと頷いた。
話を理解できるか心配だったサンダリオンも、なんとか ついてきているようだ。
…或いは、『半分くらいしか理解できてないけど、話のコシを折ったら悪いから…』と気を遣ってる可能性もあるが…まぁ、もし、そうだったら、後で【記憶伝達】で伝え直せばいいだろう。
「 各ステータスの『基準値』は『100』にしようと思う。 『ステータス』を扱っているラノベ作品によって、一般人の能力値は様々ではあるが、『100』という数字が『パーセンテージ』の感覚で直感的に理解しやすいと思うんでな。 じゃあ、今から ここ…惑星アルファザードの『冒険者を除く15歳~65歳の健康な人間の男女』を対象にスキル【鑑定】をかける。 で、ステータスの各パラメーターの平均値を算出し、その数値を『100』に設定する。 例えば…武器を持っていない状態での物理攻撃力が『110』で敏捷性が『90』の男がいたとする。 この男は、物理攻撃力は一般人の110%…言い方を変えれば1.1倍ということになり、敏捷性は一般人の90%…言い方を変えれば0.9倍ということになる。 まぁ、この男は物理攻撃力も敏捷性も一般人の範疇ということになるな。 これがAランクやSランクの冒険者だと、一般人の数十倍、数百倍、或いは それ以上だったりもするわけだ 」
皆、ウンウンと頷いているので、話を続けることにする。
「 じゃあ、サンプリングを開始する。 スキル【鑑定】! ここ惑星アルファザードの『冒険者を除く15歳~65歳の健康な人間の男女』を対象に、このステータス画面の各パラメーターのデータを収集し、その平均値を『100』と設定する! 」
オレがスキルを発動すると、一瞬だけ惑星全体が光り、すぐに消えた。 ( …と言っても、この光はオレにしか見えていないが…。 )
これでサンプリングは終了だ。
「 よし、サンプリングは終わった。 じゃあ、今から【現実改変】で、この惑星全体に『ステータス制』を浸透させるからな 」
そして、オレはスキル【現実改変】を発動した。
「 スキル【現実改変】! 惑星アルファザード全体に『ステータス制』を浸透させる。 誰しもが、心の中で『オープン・ステータス』と念じることで、スキル【投影】が発動し、自分のステータスが目の前の空中に現れるようになり、『クローズ・ステータス』と念じるとステータスは消える。 他者のステータスに関しては、『レベル』と『種族』と『体力』だけは自由に見ることはできるが、それ以外のパラメーターは基本的には勝手に見ることはできない。 但し、相手の同意があれば全てのパラメーターを見ることができる。 尚、【鑑定】系の魔法やスキルを使えば、相手の同意を得なくても相手のステータスを見ることは可能となり、これにより、モンスターの詳細なステータスを見ることも可能。 それと…『保有魔法』等を多数保有している場合は普段は折りたたまれており、パラメーターの項目の右側の上向き三角形(△)のボタンを押すように念じると三角形が下向き(▽)になり、『保有魔法』等が展開・羅列されるようになる。 あとは…この『ステータス制』は、人々の間では遥か昔から当たり前のように使われていたことにする。 但し、今、この場(空中神殿の食堂内)にいる者たちは、この【現実改変】の記憶を保持するものとする。 」
オレがスキルを発動した瞬間、世界中が一瞬だけ光りに包まれ、すぐに元に戻った…
スキル【現実改変】が発動したのだ。
試しに【千里眼】で地上の街並みを見てみると、街の住人たちは ごく普通にステータスを開いて使用している。
森の方を見てみると、とある冒険者のパーティーがゴブリンの集団と戦っているが、そこでも普通にステータスを開いて、自分と相手(ゴブリン)のレベルや体力を確認しながら戦っている。
尚、この『ステータス制』は人間だけに適用させたわけではないので、ゴブリンの方も相手(冒険者)の『レベル』と『種族』と『体力』だけは自由に確認できるので、それらを確認しながら戦っている。
…なんか、ゴブリンが冒険者のステータス(『レベル』と『種族』と『体力』だけだが…)を開いてる絵面ってのも奇妙だな…。 ( ちなみに、ゴブリンでも、【鑑定】系の魔法やスキルを使える者ならば、冒険者の詳細なステータスを見ることができる。 )
…そうだ!
一応、ファイナ達には今の【現実改変】の記憶を保持するようにしといたので、覚えてるはずだが…確認してみよう。
「 …今、【現実改変】を使って『ステータス制』を導入したんだが、覚えてる…よな? 」
と、たずねてみたところ…
「 …? 創造主様、何 言ってるんスか…? 『ステータス』なんて、遥か昔から普通に使われてるじゃないっスか…? 」
と、ファイナがキョトンとした顔で たずねかえしてきた。
「 あれっ…!? おかしいな…ここにいる面子は【現実改変】の記憶を保持するようにしといたはずなんだが… 」
オレが首を傾げた その時…
「 創造主様やっ! 儂は ちゃんと覚えておるぞっ! 創造主様が【現実改変】で『ステータス制』を浸透させたことや、この場にいる者だけは その【現実改変】の記憶を保持するできるようにしてくれたことを! 」
と、サンダリオン。
サンダリオンに続いて、ヒーリス、アイネ、スラ吉も、【現実改変】のことを ちゃんと覚えていると言ってきた。
…じゃあ、ファイナだけが【現実改変】の記憶がないのか…?
ん…? これは、もしかして…?
「 …ファイナ、オマエ、本当はオレが今しがた【現実改変】を使ったって記憶…あるんだろ? 」
「 いや~…バレちゃったっスかぁ~…まぁ、ほんの冗談っス♪ 」
はぁ~…やれやれ…
ホント、ファイナは しょうがないヤツだな…
まぁ、らしいっちゃあらしいが
(^_^;)
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