創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役（デウスエクスマキナ）に徹することにした。

【第４３話】 超光速バトル！！

◇　◇　◇　◇　◇

異世界アルファザード（惑星アルファザード）の空中神殿の遥か上空の宇宙空間で、オイラ…じゃなくて、オレと吸血鬼の女王（ヴァンパイア・ロード）カミールの戦闘がはじまった！

開幕、超光速で突進してきたカミールはオレの目前でスキル【空間転移】を使い、オレの背後をとった！

◇　◇　◇　◇　◇

【空間転移】でオレの背後をとったカミールだったが、カミールが【空間転移】を使えることは わかっていたので、これは想定内だった。

オレは事前に（密かに）スキル【並列思考（マルチタスク）】で思考（意識）を７つに増やし、１つの思考は肉眼での視覚に割り当て、残り６つの思考に対して ひとつづつ【千里眼】を割り当てた。
そして、６つの【千里眼】で前後左右上下の６方向からオレ自身を俯瞰で視ていた。
それにより、前後左右上下方向への死角がなくなる。

オレの背後に現れたカミールを、６つの【千里眼】の内の１つが鮮明に捉える。
オレの背後に現れたカミールは、５０ｃｍ程に伸長した右手の爪（【霊体破光（アストラル・ブレイク）】を施してある）をオレの背中に突き立てようとしていた！
それに対し、オレは右回転で振り向きつつ、右手の【聖なる剣（ホーリー・ソード）】による水平斬りをカミールにお見舞いした！
双方、光の速さ（およそマッハ８８万）を超える超光速の体さばきと剣さばきでの超光速バトルだ！

『　ガギィィィンッ！！　バチバチバチッ！！　』…と、もしも ここが空気のある惑星上だったならば、剣と爪がぶつかり合う音と、【聖なる剣（ホーリー・ソード）】の白い光と【霊体破光（アストラル・ブレイク）】の赤黒い光が干渉しあうスパーク音が鳴り響いていたことだろう。　（　実際は、ここは空気のない宇宙空間なので、無音なのだが…　）

カミールは右手の爪による刺突をオレの剣による水平斬りで弾かれ、体勢を崩している。
オレは、カミールの左肩から右わき腹に抜ける剣筋で袈裟斬りを放った！
瞬間、カミールは再び【空間転移】を使用した！

カミールの姿が掻き消え、オレの袈裟斬りが空を斬った直後、カミールは再度 出現した！
なんと、オレの目の前に、だ。
普通、【空間転移】を戦闘に使用する場合は、肉眼の死角となる背後か頭上を狙う。　（　バトル漫画でも たいていは そうだと思う。　）
が、カミールは そのセオリーを破って敵（オレ）の目の前に再出現したのだ！
オレは一瞬、虚をつかれた。
さすが、戦い慣れているな…。

虚をつかれたオレに対し、カミールは右手（爪）でオレの左胸（心臓）を狙った刺突を繰り出してきた！
オレは左胸を斜め後ろに引き、右肩が前に出るような半身の体勢で、カミールの右手の刺突をかわした！

が、ここで、オレの（６つの）【千里眼】の内のひとつが、カミールの左手の爪が いつの間にか（右手同様）５０ｃｍほどに伸長し、【霊体破光（アストラル・ブレイク）】の赤黒い光を宿していることを確認した！
カミールに対し、オレは右肩が前に出た半身の体勢の為、カミールの左手（の爪）による攻撃を回避するのは困難だ。

そこに、オレの右わき腹めがけてカミールが左手（爪）による刺突を繰り出してくる！
体さばきでも剣さばきでも かわすのが困難な状況…オレは【空間転移】を使用した！
（先ほどのオレの袈裟斬りのように）今度はカミールの左手の刺突が空を斬った！

瞬間、オレはカミールの真正面に再出現する！　（　なんか、先ほどのカミールの戦闘法のパクリみたいで、ちょっとアレだが…。　）
そして、右手と左手の刺突を空振りして体勢の崩れているカミールに対し、オレは右手の【聖なる剣（ホーリー・ソード）】を引き気味に構え、今にも右手の刺突を繰り出す…『ふり』をした。
カミールは体さばきで かわせないと瞬時に判断し、再度【空間転移】を行った！
オレは６つの【千里眼】に集中し、カミールの再出現位置を見極める。
…と、オレの背後にカミールが再出現した！
カミールはオレが刺突を空振っていると思って、その隙をつくつもりだったのだろう。
だが、オレは刺突を出さずに『ふり』をしていただけで、いつでも刺突を繰り出せる。

オレはカミールが再出現した瞬間に、背後にふり返りながら【聖なる剣（ホーリー・ソード）】による刺突を繰り出した！
再転移する時間はやらない！

再出現した瞬間、驚愕の表情を見せるカミール！
そして…
オレの【聖なる剣（ホーリー・ソード）】の突きが、カミールの腹部を貫いて背中に突き抜けた！！