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【第41話】 戦いの際に自分の手の内を明かすほど愚かではない。
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異世界アルファザード(惑星アルファザード)の空中神殿…そのボロボロになった食堂で、オレ(春埼隆人=創造主)と吸血鬼の女王(ヴァンパイア・ロード)カミールが5メートルほどの距離を隔て対峙している。
そして、オレの背後には三人の女神(炎系魔法使いのファイナ、氷系魔法剣士のアイネ、治癒系&補助系魔法使いのヒーリス)と美少女に変身中の雷竜サンダリオンが…
カミールの背後には その下僕(しもべ)の4人の女冒険者(戦士のリグザ、武闘家のフォンファン、侍(サムライ)のヤマテ、エルフの騎士のエイル)が、それぞれ控えている…。
…が、こちら側のサンダリオン&ヒーリスと、カミール側のリグザ&フォンファンとの間で、ちょっとした口論が生じていた…
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「 ウチのサンダリオンちゃんをいじめないで下さいっ!! だいたい、なんなんですかっ!? あなた達はっ!! アポ無しな上に土足で人の家に上がり込んでっ!! しかも部屋をボロボロにしてっ!! 」
珍しく、ヒーリスが声を荒げている。
…ってゆーか、もう、すっかり(サンダリオンの)母親目線になっている。
「 あぁっ!!? 煽ってきたのは、そのチビの方だろっ!!? 」
そう言って、身長約180cmの戦士リグザは、身長約145cmのサンダリオンを指さして怒鳴った。
サンダリオンのことを『チビ』とか言ってるけど、リグザはサンダリオンの正体が(尻尾込みの全長が約60mほどもある)ドラゴンだとは知らないのだろう。
「 だっ…だから、別に儂(わし)は煽ってなどいないのじゃっ!! 」
サンダリオンはヒーリスの影(背後)に隠れながら、リグザに言い返す。
まぁ…いつまでも口論を聞いていても仕方がない。
『 パンパンッ! 』
オレは両手を打ち鳴らした。
食堂内の全員の視線がオレに集まる。
「 え~……今からオレ『創造主 春埼隆人』と、平行世界(パラレルワールド)のひとつを統べる『吸血鬼女王(ヴァンパイア・ロード)カミール』が一戦交える。 」
そして、オレはスキル【復元】と【投影】と【千里眼】を発動させた。
一瞬にして破壊しつくされていた空中神殿内の食堂が元通りに復元され、同時に、食堂の空中に、縦2m×横3m程の画面(スクリーン)が出現した。
スクリーンには、オレとカミールの二人が映っている。
「 この画面は、今、オレがスキル【投影】と【千里眼】を組み合わせて作った画面で、常にオレとカミールの位置を追従して映し出す。 ほら、今もオレとカミールが映っているだろ? 」
「 ホントだ、すごいっスね~ 」
「 創造主というのは、そんな器用なこともできるでござるか… 」
ファイナとヤマテから感嘆の声が上がる。
「 けど、なんだって、そんな画面を作ったんだ? 」
先程、サンダリオン&ヒーリスと喧嘩になりそうになったリグザがオレに問いかけてきた。
…が、
「 プププッ…なんじゃ? オヌシはそんなこともわからんのか? 」
と、サンダリオンがリグザを煽るようなことを言ってしまった…。
「 あぁ~!? んだと、このチビ助っ!! ってか、オレはテメェには聞いてねぇ!! 創造主に聞いてんだよっ!! 」
リグザがサンダリオンを怒鳴りつける。
「 ひゃっ 」
と、小さく声を上げ、サンダリオンはヒーリスの背後には隠れた。
やれやれ…
「 あ~…『リグザ』って言ったっけ? 『なんでオレがこの画面を作ったか?』についてだが…オレとカミールの戦いは宇宙で行うからだ。 」
「「「「「「「「 宇宙っ!!? 」」」」」」」」
その場にいた全員…正確には、オレとカミールを除く全員が一斉に驚きの声をあげた。
……ってか、サンダリオンは(リグザを煽ってたくらいだから)『なぜオレがこの画面を作ったのか』をわかってたんじゃないのかよ…(困惑)
「 はっきり言って、惑星上でオレとカミールが まともに戦ったら、この星…アルファザードに甚大な被害が出るか、下手したら消滅しちまう。 だから、この遥か上空…宇宙空間で戦うことになる。 けど、オマエらは宇宙に来れないから、代わりにこの画面で観戦させてやろうと思ってな。 オマエらの中には【千里眼】が苦手なヤツもいるんだろう? 」
オレがそう言うと、サンダリオンとリグザは、ドキッ…と言うか、ギクリとした表情をした。
サンダリオンは【千里眼】覚えたてだし、リグザという女戦士も恐らく【千里眼】が苦手なのだろう。
「 …というわけで、オレ達の戦う場所は宇宙でいいな? カミール? 」
オレからの一方的な提案(命令?)に対してカミールは…
「 むろん、我は一向にかまわん! 」
と素直に承諾した。
まぁ…もし、拒否った場合は【強制転移】で宇宙に飛ばすつもりだったんだが…。
意外と、『下僕(しもべ)の女冒険者4人をこの場に連れてきてしまったから、戦闘に巻き込みたくない』…みたいな仲間思いの一面とかあったりして…。
さて…オレとカミールが宇宙で戦うと決まったわけだが、ひとつカミールに確認しておきたいことがある。
「 カミールよ…ひとつ聞いておきたいんだが…。 過去、オレに戦いを挑んできた137人の中には、オレが【時間停止】や【現実改変】を使えるってことを知らずに戦いを挑んできたヤツらも何人かいたんだが…オマエはオレの【時間停止】や【現実改変】に対する対策はちゃんと用意してあるのか…? 」
それに対しカミールは…
「 ふふ…創造主よ…戦いの際に自分の手の内を明かすほど我は愚かではないぞ? 」
オレとしては暗に、『もし【時間停止】や【現実改変】への対策がないなら、オレに挑むのはやめといた方がいいぜ?』という忠告の意味も込めていたんだが…
だが、まぁ、たしかにカミールの言うことは一理ある。
バトル漫画とかだと、戦闘の前や最中に自分の手の内や能力を敵にベラベラ話ている描写をたびたび見かける。
中には、『自分の能力をベラベラと敵にしゃべってしまった為に、その能力を破られて敗北してしまう』なんていう展開も ごくまれに起こる。
普通に考えれば、戦闘中や戦闘前に自分の手の内や能力を敵にベラベラしゃべって明かすなんてのは、愚の骨頂だもんな…。
……まぁ、オレ個人的には、そういう『戦闘中に能力についてベラベラしゃべる展開』とか結構 好きなんだがな…
(^_^;)
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