創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

鏑木ディオス

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【第32話】 千里眼の練習

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

異世界アルファザードの空中神殿の食堂に、オレ(春埼隆人=創造主)と3人の女神(ファイナ、アイネ、ヒーリス)と美少女に変身した(雷竜)サンダリオンが集っている。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「 じゃあ、サンダリオン。 オマエに頼みたいことなんだが… 」

「 ん? あぁ、そうじゃな。 では、さっそく話してみてくれなのじゃ。 」

「 あ…でも、言葉で一から説明するより、スキル【記憶伝達】でオレの記憶の一部をオマエに伝達する方が手っ取り早いな… 」
そう言ってオレは、右手の手のひらをサンダリオンの方に向けた。

「 スキル【記憶伝達】! オレがここ…アルファザードに召喚された時から今の時点までの記憶…あと、ついでに、『宇宙』に関する基礎知識をサンダリオンに伝達する! 」
( ぶっちゃけ、右手をサンダリオンに向けるポーズも、『スキル【記憶伝達】!』という宣言も必要ではなく、心の中で念じるだけでスキルは発動できる。 ただ、ポーズと宣言があった方が、サンダリオンや女神たちが『創造主様が儂(サンダリオン)にスキル【記憶伝達】を使ったんだな』とわかりやすいのでそうしたまでだ。 …まぁ、心の中で念じるだけだと『なんか味気ない』からってのも少しあるが…。 )

サンダリオンのおでこが一瞬だけ光って消えた。
オレの記憶(の一部)が正常に伝達されたようだ。

「 おぉっ!!? なんじゃっ!!? 儂の頭の中にオヌシの記憶(の一部)が入ってきたのじゃっ!! 」
サンダリオンは目を丸くして驚いている。

「 創造主様というのはホントになんでもありなんじゃなぁ…。 まぁ、それはいいとして…なるほど…物語の主人公となるべき少年を創造主様が地球からこの空中神殿に召喚するので、儂が女神役を演じて その少年を地上に旅立たせればよいのじゃな? で、創造主様とファイナとアイネとヒーリスはあらかじめ冒険者として地上に降りていて、その主人公と偶然をよそおい合流する。 で、儂は、オヌシらが魔王軍を倒すまでの数ヶ月間、この空中神殿で留守番をする…と。 元々、儂は穴倉でのんびりすごすのが好きなドラゴンじゃったからな。 のんびり留守番など、お安い御用なのじゃ♪ 」

「 おぉ! 話が早くて助かる♪ じゃあ、よろしく頼む。 」
「 よろしくっス! 」
「 よろしく… 」(ボソッ…)
「 よろしくお願いします♪ 」

「 …じゃが…儂は地球の言葉はしゃべれんのじゃが、そのへんはどうすればいいのじゃ…? 」

「 あぁ、それなら大丈夫。 オレが主人公になるヤツを地球からこの空中神殿に召喚する際に、【スキル付与】を使ってスキル【自動翻訳】を主人公に付与しとくから。 ついでに、【身体強化(フィジカル・バースト)】や【魔力覚醒】なんかも付与しとくつもりだ。 」

「 なるほど…では、儂が地球語を話せなくても、その主人公がスキル【自動翻訳】で勝手にアルファザード語を話してくれるというわけか。 」

「 あ…あと、オマエにも数ヶ月間、女神として ここですごしてもらうから、一応、スキル【千里眼】を付与しとくよ。 あ…でも、ずっと神殿にこもりっきりになる必要はなくて、自由に外出はしていいから。 …で、あとは…【テレパシー】は、さっきの空中戦の後に付与したもんな。 じゃあ、とりま… 」

オレはサンダリオンに向けて手をかざした。
「 【スキル付与】! サンダリオンにスキル【千里眼】を付与する! 」
サンダリオンの目のあたりが一瞬光り、すぐに消えた。

「 おぉ…これで儂も【千里眼】を使えるようになったわけか… 」

「 サンダリオンちゃんは、先ほど、創造主様から『宇宙』に関する基礎知識も伝達されたんですよね…? 【千里眼】の練習も兼ねて、空のかなた…宇宙空間や星々を【千里眼】で視てみてはどうでしょうか…? 」
ヒーリスが提案してきた。

「 あぁ、それイイっスね♪ 」
「 いい… 」(ボソッ…)
ファイナとアイネも賛同する。

「 そうだな…じゃあ、サンダリオン、ちょっと練習してみようか? 」

「 うむ! では、最初はどうすればよいのじゃ? 」

「 まずは、目を閉じてはじめた方がやりやすいと思うんで、目を閉じてくれ。 で、頭の中で今の自分の姿を、自分の後方斜め上から俯瞰で見てるイメージをしてくれ。 」

「 うむ…むっ…むむむむっ… 」
サンダリオンは目を閉じて、唸っている。
一生懸命、イメージしているのだろう。

「 …っ!! おぉっ!! 見えたぞっ!! 儂自身の後ろ姿がっ!! はぁ~…不思議じゃのぉ~… 」
サンダリオンは【千里眼】の第一歩を踏み出したようで、感嘆の声をあげた。

「 慣れてくれば、目を開けたままでも、できるようになるよ。 目は肉眼で正面を見据えながら、並行して、【千里眼】で自身の後方を見張るなんてこともできるようになる。 」

「 ほぉ~…【千里眼】というのは、なにげに戦闘でも使えるスゴイ便利なスキルだったんじゃなぁ~… 」

「 じゃあ、次は…【千里眼】の視点を自身(サンダリオン)の後ろ姿を視るのではなく、この食堂の天井に向けてみてくれ。 」

「 うむ…っ! 向けたのじゃ! 今、【千里眼】で天井を視てるのじゃ! 」

「 おぉっ! やるじゃん♪ 」

「 飲み込み早いっスね~♪ さすが、上位のドラゴンっス♪ 」
「 さす… 」(ボソッ…)
「 サンダリオンちゃん、さすがです! 」
オレに続き、3人の女神たちもサンダリオンを褒めちぎる。
いわゆる『褒めて伸ばす』教育(?)というやつだ。

「 おっ…そ…そうか…? 」(///)
サンダリオンはまんざらでもないのか、頬を赤くして少し照れているようだ。

次のステップは、このまま【千里眼】の視点を(天井を突き抜けて)更に上空に移動することだ。
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