創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

鏑木ディオス

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【第24話】 創造主だけでなく、女神たちも実はスゴイんです!!

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ここは異世界アルファザードの空中神殿の食堂だ。

3人の女神たち(ファイナ、アイネ、ヒーリス)から30年前の『ヤークド帝国』による『ヤハク村』の襲撃事件について一通り話を聞き終えたオレは、とりあえず、神殿の外のスカイダルのところに戻った。
尚、今、この世界(異世界アルファザード)は、オレと3人の女神以外の時間は停止している…。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

スカイダルの目の前に戻ったオレは…
「 【時間停止・解除】! 」

スキル【時間停止】を解除した。
正常に時が流れ始める…。

「 おいっ!? キサマっ…なぜ私の本名を… 」

スカイダルのオレへの問いかけを遮って、オレは答えた。
「 最初に言っただろ? オレは『創造主』だとな。 『創造主』のオレからしたら、オマエの本名を知るなんて容易いことだ。 」

「 なん…だとっ…!? キサマは本当にあの『創造主』だと言うのかっ…!!? 」

「 だから、そうだって言ってるだろ… 」

…と、その時、スカイダルの後方、約5kmの位置に広がっていた巨大な積乱雲の中から、激しい雷光が水平に飛来して、オレとスカイダルの数メートル脇をかすめて空中神殿を直撃した!
なんと言うか…さながら、『宇宙戦艦から放たれた巨大なビーム』のようだ。

「 うわっ!? 」
スカイダルは思わず驚きの声をあげた。

オレはというと、スキル【自動加速(オート・ヘイスト)】の発動により雷光が飛来するさまをスロービデオでも見るように視認できていたのだが、どの程度の威力があるのか興味があったので、空中神殿の結界(バリア)に当たる様子を黙認していた。

『 ドオオオォォォンッッ!!! 』

周囲に激しい音と衝撃が巻き起こり、空中神殿の結界が完全に消滅した。
結界は先刻のドラゴンライダー1000騎の攻撃でダメージを受けてはいた…が、ドラゴンライダー1000騎の攻撃であれば、まだ、あと数分は耐えられるくらいの耐久力はあったはずだ。
その結界が一発で消滅したのだから、なかなかの威力と言えるだろう。

「 結界が… 」(ボソッ…)
「 わっ!? 結界が消えちゃったっスか!? 」
「 結界が消滅したっ…!? …この雷光はまさか…!? 」
女神たちが口々に驚きの声をあげている。

スカイダルがスキル【拡声(スピーカー)】を使用しつつ叫んだ。
「「 遅いぞっ!! 雷竜サンダリオンっ!! 」」

スカイダルが叫ぶのとほぼ同時に、スカイダルの後方の積乱雲から黄金に輝く巨大なドラゴンが姿を現した…。
頭頂部から尻尾の付け根あたりまでで約30m、更に尻尾だけで約30m。
頭頂部から尻尾も含めた全長は約60mにもなるような巨大なドラゴンだ。
頭部には4本の角を生やし、背中には巨大な翼が生えている。







「「 仕方あるまい…儂は元々、乗り気じゃないんじゃから… 」」
サンダリオンと呼ばれた巨大なドラゴンも【拡声】を使用しながらスカイダルに返事をしたが、どうもあまり覇気が感じられない…。

ん…?
オレはサンダリオンの左胸…心臓のあたりに違和感を感じた。
スキル【拡大視(スコープ)】を発動し、5km程離れたサンダリオンの左胸あたりを見ると、そこには人間の人差し指の先くらいのサイズの刻印が記されていた。
サンダリオンのサイズ(尻尾含め全長60m)に対しての、人間の人差し指の先くらいのサイズなのだから、普通はよほど注意深く観察しないと気づかないだろう。
おそらく【呪い(カース)】の刻印といったところか。
サンダリオンのやる気のなさと、この【呪い】の刻印から察するに、サンダリオンは心臓に【呪い】をかけられてしまい、いやいやながら魔王軍に従わされているといったところか…。
従わないと心臓に激痛が走る…みたいな。
しかし、この強大な雷竜サンダリオンに【呪い】をかけられる実力者などそうはいない。
おそらくは魔王グランデールにかけられたのだろう。

( ここで、現在の位置関係を整理してみよう。 空中神殿内には、ファイナ、アイネ、ヒーリスの3人の女神。 空中神殿の北方100m程の位置にオレ。 オレのすぐ近く…オレの北方5m程の位置にスカイダル。 そして、スカイダルの北方5km程の位置に雷竜サンダリオンが巨大な積乱雲から姿を現したところだ。 )

スカイダルがサンダリオンに命じた。
「「 サンダリオンっ!! ヤツらの神殿の結界は消滅したっ!! もう一発、さっきの雷光を放てっ!! 」」

「「 あぁ…面倒くさいがわかったのじゃ… 」」

『 ブウゥゥゥ…ン… 』
スカイダルの口腔内に電気エネルギーが蓄積されていくのがわかる。

…と同時に、空中神殿内に火炎エネルギーが急速に膨れ上がっているのが感じられた。
『 ブオォォォォ… 』
どうやら、炎の女神ファイナが火炎魔法で迎撃するつもりらしい。

そして…
『『 ドオォォォンッッ!!! 』』
サンダリオンは口腔から雷光を、ファイナは手のひらから火柱を、ほぼ同時に撃ち出した!!

激しい雷光と火柱は中間地点でぶつかり合った!!
『『 ドドドドドドオォォォォォォォォッッッ!!! 』』

二つの巨大なエネルギーがぶつかり合い、凄まじい光と熱と衝撃が周囲に広がる。

「 なっ…!!? これは…炎の女神の魔法かっ!!? バカな…雷竜サンダリオンと互角だとっ!!? 」
スカイダルは驚愕している。

最初のドラゴンライダー1000騎による襲撃の時、空中神殿から距離をとって攻撃をしかけていたのは、今ファイナが放っているような殲滅系の魔法でドラゴンライダー1000騎が一瞬で殲滅されるのを危惧してのことだったのだろうが…それにしても、この威力はスカイダルの予想を上回っていたようだ。

数秒後、双方の攻撃は止んだ。

「「 なんと…儂の雷光と互角とはな…じゃが、儂はまだ本気ではないぞ…? 」」

サンダリオンが【拡声】でファイナに語りかけると、ファイナも【拡声】で返す。

「「 なかなかやるっスね♪ けど、アタシもまだまだ本気じゃないっスよ♪ 」」

その時…超高速の影がオレとスカイダルの脇を横切り、サンダリオンに向かって行った。 ( まぁ、オレは【自動加速(オート・ヘイスト)】のおかげで視認できていたが…。 )

ワンテンポ遅れて、空中神殿とその影の通貨した軌道上に、
『 ドオォォォンッッ!!! 』
という衝撃と爆音が鳴り響いた!

「 なっ…!!? 」
スカイダルが驚愕の声をあげる。

サンダリオンの方に目を向けると、サンダリオンの目の前100mほどの位置に、剣と氷の女神アイネが立ちはだかっていた。

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