創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

鏑木ディオス

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【第20話】 「 スカイダル。 オマエはかん違いをしているぞ。 」

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ここは異世界アルファザードの空中神殿の外。

オレ・春埼隆人は魔王軍四天王のひとり『天空王スカイダル』(巨乳なダークエルフ)と20m程の距離をおいて対峙している。

接近戦では分が悪いと判断したスカイダルは、強力なマッハ10の【翔波斬】の10連撃を繰り出してきた。

それに対してオレは瞬時に、スカイダルの放った【翔波斬】10連撃と全く同じ威力・速度の【翔波斬】10連撃を放った。

( ちなみに、女神たち三人(ファイナ、アイネ、ヒーリス)は、天空神殿内からスキル【千里眼】でオレとスカイダルの一騎打ちを見守っている…というか安心しきった顔で見物している。 オレが負けるなんてことは1ミリも想像していないようだ。 まあ、当然だが。 )

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『『『 ドオオオオオォォォォォンッッ!!! 』』』

スカイダルの放った【翔波斬】10連撃とオレの放った【翔波斬】10連撃が、オレとスカイダルのほぼ中間地点(空中戦なので、『地点』という表現は若干 違和感はあるが…)で衝突し、周囲の空間に凄まじい衝撃と爆音が鳴り響いた!!

「 なっ…!!? 」
スカイダルは驚愕の声を漏らす。

『 …オォォォォン… 』
程なくして、衝撃と爆音はおさまった。

「 なん…だと…!? 私の【翔波斬】10連撃を相殺した…だと!? 」
スカイダルは信じられないといった表情でオレの方を見ている。

それはそうだろう…
オレとスカイダルとの距離は約20m…【翔波斬】の速度がマッハ10…単純計算では0.006秒で【翔波斬】10連撃はオレに到達・命中するはずだった。
なのに、現実は、スカイダルの放った【翔波斬】はオレとスカイダルのほぼ中間地点で10発ともすべて相殺されているのだ。
スカイダルからしたら『 いくら【加速(ヘイスト)】を使っているにしても、反応も動作もあまりにも早すぎる… 』と感じていることだろう。
或いは『 こいつ…予知能力でも持っているのか!? 』とか疑っているかもしれない。
( まぁ、実際、オレはスキル【予知】も持っている。 もっとも、この戦いでは使うつもりはないけどな。 )

呆然としているスカイダルに対し…オレは先ほど言うべきか迷っていたことを告げることにした。
「 スカイダル。 オマエはかん違いをしているぞ。 」

「 なにっ…!? 」

オレはおもむろに剣を頭上に構え…
「 【翔波斬】10連撃。 」

剣を軽く10回振って、再び【翔波斬】10連撃を…今度はスカイダルに向けてではなく、頭上に向かって放った。
だが、その一発一発の威力は、先ほどスカイダルの10連撃を相殺した時とは桁違いだ。
もっとはっきりと言えば、オレが最初に放った…一発でドラゴンライダー1000騎を消滅させた【翔波斬】と同じ威力。
それを10連撃だ。

( ちなみに、ドラゴンライダーたちが放っていた【翔波斬】のサイズは横の長さ1~2m、厚さ5~10cmほどで、速度は音速に届いていない。
 スカイダルが先ほど放った【翔波斬】10連撃の1発あたりのサイズは、横の長さ10m、厚さ50cmほどあり、速度はマッハ10ほど。
 そして、オレが今、頭上に向けて放った【翔波斬】10連撃の1発あたりのサイズは、最初にドラゴンライダー1000騎を一発で消滅させた【翔波斬】と同じくらい…横の長さ13km、厚さ100mほどあり、速度はマッハ50ほどだ。 )

『『『 ドドドドドドドオオオオオオォォォォォッッッ!!!!! 』』』

凄まじい衝撃波(ソニックウェーブ)と爆音を周囲に放ちながら、巨大な【翔波斬】はマッハ50の猛スピードで(既にここはアルファザード上空ではあるが)更に上空に飛んで行き、惑星アルファザードの引力を振り切って宇宙空間に飛び出した…。
( この巨大な【翔波斬】を放っておくと、他所の惑星にぶつかって、そこに住む生物たちに大打撃を与えてしまう…という確率も0(ゼロ)ではない。 なので、心の中でスキル【消滅】を唱え、この巨大【翔波斬】10発は消しておいた。 )

「 なっ…!!!??? 」
スカイダルは呆然とした表情から一転、目を見開き、再び驚愕の表情を浮かべる。

「 さっきオレがオマエに接近戦を勧めたのは、今のような巨大【翔波斬】を放つ力が残ってないから…ってわけじゃない。 ってゆーか、この程度の巨大【翔波斬】なんて1000億発でも1000兆発でも余裕で撃てる。 」

「 なん…だとっ…!!? 」

「 つまり、さっきオマエがものすげードヤ顔で語ってた内容は、完全に的外れだったってわけだ…。 」

…言ってしまった。

今のオレの言葉を聞いたスカイダルは…顔を真っ赤にし、耳の先まで真っ赤にして、恥ずかしさのあまり微妙にプルプルと震えている…。
ネットとかで言うところの俗に言う、『 顔真っ赤www 』な状態だ。

ここで、神殿内の女神たちから【テレパシー】が入って来た。

( 「 …さすがに的外れでのドヤ顔を指摘されるのは、四天王とはいえ精神的にキツイようですね… 」 )
( 「 ドS… 」(ボソッ) )
( 「 さっすが、創造主様!! 敵のダークエルフとはいえ、美少女相手に言葉責めとは、ドSっすね~www 」 )

…って、誰が『ドS』だよ…
(^_^;)

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