創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

鏑木ディオス

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【第12話】 創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

オレ・春埼隆人は、今(夜中の0時過ぎ)、異世界アルファザードの空中神殿にいる。
先ほど、地上での一週間の冒険を切り上げて空中神殿に戻って来たオレは、目の前の3人の女神たちに一週間の冒険について語るのだった…。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「 なるほど…運の悪いスキンヘッド且つマッチョなオッサン3人とパーティーを組むことになってしまった。 しかも、運が悪いから、とれたクエストは軒並み『冒険』と呼べないような、お手伝いクエストや短期バイトみたいなクエストばかりだった…ってことっスかぁ~…。 」

「 ついてない… 」(ボソッ)

「 たしかに、今読ませて頂いている異世界チートものとは、かけ離れていますね… 」

「 まぁ、そんなわけで、冒険をリセットしようと思って、いったん戻って来たんだ。 」

ここで、少し間をおいてからヒーリスが、
「 …この一週間で異世界チートものを何冊か読ませて頂いたのですが…主人公は人間としては確かにチートですけど…なんと言うか…各作品とも、『物語が成り立つギリギリのチート具合を見定めてある』ように感じました。 ですが、宇宙を破壊できるスキル【ビッグ・バン(大爆発)】やスキル【最上位現実改変】やスキル【絶対無効化】などを持つ創造主様レベルの主人公はいませんでした。 言いづらいのですが…もし、再度、地上に降りて冒険を再開して、今度はモンスターや魔王軍と戦うクエストをとれたとしても、さすがに創造主様ではチート過ぎてしまって、物語がうまく成り立たないのではないでしょうか…? まぁ、創造主様ご自身も最初から懸念されていたかもしれませんが… 」
と、もっともな意見を述べてきた。

「 まぁ、たしかにな…。 」
ヒーリスが言う通り、これは前々からオレも思っていたことだ。
地上で剣と魔法でキンキン・バンバンやりあってる世界観の中で、ただ一人だけ宇宙破壊レベルの力を有しているのだから…。

「 天然さも足りないと思う… 」(ボソッ)

「 あ~…それはあるかもっス。 例えば、『オイラ、また、なんかやっちまったかい?』とか、『ボクの攻撃力がおかしいって、弱すぎるって意味だよね?』みたいな、天然さが創造主様には足りないっス! もっと天然でKYになる必要があるっス! 」

「 …ファイナぐらい? 」
と、冗談半分で言ってみたところ…

「 そうそう、アタシぐらい天然ボケで空気の読めないヤツになれば、そういうセリフもスラスラと…って、誰が天然でKYっスかっ!!? 」(プンプン!)

見事なノリツッコミだ…ってか、この世界(アルファザード)にも漫才的な娯楽があるんだろうか…?
どこでこんなノリツッコミを覚えたんだ…と一瞬思ったが、そう言えば、ファイナが読んでたラノベのキャラにノリツッコミを多用するお調子者キャラがいたことを思い出した。
たぶん、そのキャラからノリツッコミを学んだ(?)んだろう。

「 まぁ、ノリツッコミはいいとして…たしかに、オマエ達が言うように、オレの力は『魔王軍討伐』という冒険物語には見合わないほど強大過ぎるし、頭が良過ぎて天然さが足りない。 」

「 いや…『天然さが足りない』とは言ったっスけど、『頭が良過ぎて』とは言ってないっスよ…? 」

「 …じゃあ、『頭は良過ぎて』は省いてもいいよ。 」

…という感じで、ファイナとコントのようなやり取りをしていたが、ここでファイナから思わぬ提案が出てきた。
「 ってか、思ったんスけど、創造主様は無理に主人公やることもないんじゃないっスか? 」

「「「 えっ…? 」」」
ファイナからの意外な提案に、オレとアイネとヒーリスは思わずハモってしまった。

「 別に自分自身が主人公として冒険しなくても、異世界チートもののラノベを読んでるだけでも充分面白かったっス。 だったら、別に自分自身が主人公じゃなくても、他の誰かを主人公にして『オレTUEE』してるのを…なかばラノベを読むような感覚で…間近で見るだけでも充分面白いと思うんスよ。 」

「 なるほど…。 」
ファイナにしては、なかなか面白い意見だ。

………ちょっと考えてみたが、これはこれで、面白いかもしれないな。
と言うか、前述のようにオレは能力が(物語が成り立たないレベルで)チート過ぎな上に天然さが足りな過ぎて主人公にあまり向いてない以上、このファイナの案に乗ってみるのもいいテかもしれない…。

「 ファイナも、たまにはいいこと言うよな。 」

「 『たまには』は余計っスよ! そこは『ファイナは、いつもいいこと言うよな。』っていうとこっスよ! 」
ファイナは本気か冗談かわからない抗議をあげていた。

そんなわけで、創造主のオレが主人公だとチート過ぎて物語が成り立たないので、脇役(デウスエクスマキナ)に徹することにした。

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