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【第9話】 異世界アルファザードでの冒険開始から一週間が経過した…が…
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オレ・春埼隆人が異世界アルファザード(惑星アルファザード)の『リムルネールの街』の『冒険者ギルド』を訪れてから一週間が経っていた…。
今、オレはリムルネールの街の宿屋の一室にいる。
時刻は夜の11時…地球(日本)にいた時は録画しておいた深夜アニメを消化している時間帯なので、この時間だとなかなか寝付けない…。
部屋は12畳ほどの広さでベッドが4つ並んでおり、その内の3つのベッドでは男たちがいびきをかいて眠っていた。
1人目は名を『ガギク』と言い、身長2メートルくらいの筋骨隆々のマッチョな戦士だ。
褐色の肌には所々傷跡があり、歴戦の強者(つわもの)感を漂わせている。
スキンヘッドで眉毛も薄く、口には髭を生やしており、まさに『コワモテ』という表現がピッタリだ。
2人目は名を『サジス』と言う。
身長185センチくらいで、(ガギクほどではないが)こちらもマッチョな体格をしている。
尚、サジスもスキンヘッドだが、眉毛は太く、髭は生やしていない。
ちなみに、こんな体格だが職業(クラス)は『魔法使い』をやっている。
3人目は名を『タジツ』と言う。
タジツもサジスと同じくらいの体格をしている。
尚、タジツもスキンヘッドだが、眉毛は薄く、顎髭を生やしている。
ちなみに、職業(クラス)は『神官』をやっている。
この3人プラス魔法剣士のオレ『リュート・ハーサキ(偽名)』の4人で、この一週間、冒険をしていた。
…いや…果たして、この一週間の内容を冒険と呼べるだろうか…
ちょっと、この一週間のことを簡単に振り返ってみるか…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一週間前、オレはこの街の冒険者ギルドに登録し、ギルドカードを受け取った。
ここ異世界アルファザードの冒険者ギルドのランクはFランクからスタートする。
冒険者ギルドからの様々なクエストをクリアしていくことで、F→E→D→C→B→A→S→SS(ダブルエス)→SSS(トリプルエス)と上がっていく。
ちなみに、Fランクは初心者レベル、Aランクは一流冒険者、Sランクは超一流の冒険者、SSSランクは英雄や伝説級の冒険者…といった感じだ。
登録を終えたオレは、とりあえず、クエスト依頼書が貼ってあるクエストボードを眺めていた。
何か目ぼしいクエストがないかと探している時に、ガギク、サジス、タジツの3人から声をかけられた。
彼らも(歴戦の強者風な見た目に反して)冒険者になったばかりの新人とのことだった。
オレ的には正直なところ美少女冒険者とパーティーを組みたかったのだが、周りを見渡しても『一緒に冒険する仲間を探している美少女』は都合よくは見当たらなかったので、とりあえず、彼らと組んでみることにした。
しかし、この一週間がたまたまクエストが不作だったのか、クエストボードに貼り出されているクエストは地味なものしかなかった…。
例えば、『行方不明のペットのネコを探す』とか『老夫婦の家の力仕事を手伝う』とか『街のすぐそばの草原で薬草採り』とか『イベント会場の設営手伝い』だとか…。
クエストと言うよりは単なる短期バイトみたいな内容ばかりだった。
実際には、前述の地味なクエスト以外に、『モンスターの討伐』や『遺跡の探索』のクエストも多少は貼り出されてはいたようなのだが、間が悪く(オレたちが前述の地味なクエストをこなしている間に)、他のパーティーにクエストをとられてしまっていた…。
そんなこんなで、一週間が経ってしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
もしかしたら、(本来の姿である概念体の創造主としてではなく)人間・春埼隆人としてのオレは、『運』があまりよくないのかもしれない…
そう考えたオレは、スキル【鑑定】で自分自身の『運』を調べてみることにした。
このスキルを使うと、『運』や『筋力』や『スピード』や『スタミナ』などの能力の大きさを、オーラの大きさで視ることができる。
オレの身体から立ち上るオーラを視てみると…人並みのように視える。
もう少しわかりやすく数値化してみるか。
この星(惑星アルファザード)の全ての人間を対象にスキル【鑑定】で『運』のオーラ量を調べ、その一人当たりの平均のオーラ量を100(%)とした場合に、オレの『運』は何(%)になるかを調べてみた。
結果…100(%)と出た。
つまり、オレの『運』は、ごく普通…良くもなく悪くもない…ということだ。
…となると…今度は、ガギクたち3人の『運』も【鑑定】してみた。
結果…3人とも『運』は60(%)前後しかなかった。
パーティーメンバー4人中3人の『運』が悪いんじゃ、そりゃあ、地味なクエストしか当たらないか…。
( 仮に、オレの『運』が200(%)とかあれば、3人の『運』の悪さをカバーできるんだが、あいにく、オレの『運』は人並の100(%)しかない…。 )
…にしても、これじゃあ、オレの理想の冒険とは程遠いよなぁ…
ちなみに、オレの理想の冒険とは…
ギルド登録後、美少女新米冒険者とパーティ―を組むことになる。
モンスター討伐や遺跡の探索などのクエストでオレがチート無双し、その都度、美少女新米冒険者がオレを褒め称え、段々オレに惚れていく。
また、クエスト以外に、ちょくちょく美少女がらみのトラブルに巻き込まれるが、そのたびに、オレのチート無双により切り抜ける。
で、その都度、美少女がオレに惚れてパーティーに加わっていく。(最初から一緒に冒険をはじめた美少女(元)新米冒険者は、そのたび、やきもちを焼く。)
最終的には、男はオレ1人だけ(もしくはオレと親友ポジの男の2人だけ)で、あとは数人の美少女というパーティーとなる。
当然、魔王戦でもオレのチート無双が炸裂し、魔王を倒す!
で、パーティーのメンバーは、皆、オレを褒め称える。
…という感じだ。
今回のこの冒険は失敗かもしれないな…
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