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桜丘カンナの場合
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気付けば前世とやらの記憶があり、乙女ゲームとやらの世界におり、悪役令嬢とやらの役職についている。
どこで流行ってるの、そんな人生。なんて思っても、現実はそのまま。
私の名前は桜丘カンナ。16歳。職業高校生、副業悪役令嬢。長い黒髪に赤い瞳の、自分で言うのもなんだがお姉さん系美少女だ。しかし残念ながら高校卒業と同時にバッドエンド(私的に)を迎える。
ゲームの舞台はこれまたありきたりな、良家の子息子女ーー資産家や社長、芸能人など、納税ランキング上位者の子どもたちだーーが通う天聖学院。クラスに1~2名は特別学習生、略して特学生という偏差値激高の一般人がいて、ヒロインはその特学生。私が3年生になった年度に入学してくる。
ヒロインの攻略対象者は4人いるが、どのルートにも対象者の婚約者として現れるのが私だ。悪役というよりはライバルポジションか。
年下の女の子とガチで男の取り合いをし、敗れ、最後には「貴女には負けたわ…」なんて拍手しながら退場…できるか。負けたわって何なの。令嬢のプライドはどうした。
しかもこのゲーム、何をトチ狂ったのか18禁である。ヒロインが18歳に満たないのに18禁とはこれいかに。しかも婚約者がいる男性とにゃんにゃんするとか色々な点で倫理観が問われる。
令嬢側からしたら、まさに婚約者を寝取られているわけなのに、笑って拍手して退場とか、どれだけメンタル激強なのか。私なら発狂する。てかこれ私か。
そして今現在、私の婚約者であるのが、天聖学院高等部生徒会長、皇上院司。ヒロインめ、司ルートは王道じゃないか。
司はパッケージでセンターを飾る、王子様と呼ばれるポジションのキャラクターだ。栗色の髪と空色の瞳を備えた甘いマスクに、低めの色っぽい美声もつけてしまえば人気がでない方がおかしい。
まぁ、一時とはいえ、そんな人の婚約者でいられる事がもはや奇跡なのだから、笑って退場も致し方ない事なのかもしれないが。
「でもやっぱり拍手は無理だと思うのね」
「まぁ…そうだろうな」
放課後、私の部屋。二人きりで秘密の話をするにはもってこいのシチュエーションで、私は司にこの記憶のことを打ち明けていた。
ゲーム内ではどうだったかしらないが、幼い頃に婚約して以来、私と司は良好な関係を築いている。
親同士が決めた大人の事情もある婚約だし、ここからどうやって破棄に持っていくのか疑問に思わなくもない。
「だからね、司。そんな卒業パーティの最中に公衆の面前で婚約破棄とかしないで、もうちょっと先にオブラートに包みながら私だけに伝えてほしいわけ」
「破棄する前提かよ」
「ていうか、ヒロインちゃんと致す前にしっかり婚約破棄してよね。はっきり言って二股よ?最低よ?」
「しねぇよ!!てか俺に言うな俺に!」
司はせっかくの綺麗な顔を盛大に歪めながら、私のベッドに突っ伏した。
ちょっと。私だってベッドに入る時は制服脱いでるんだから、あなたも学ラン脱ぎなさい。
そう言ってやれば、司はまた物凄い顔をして「それが天然なら俺は怒る」と言った。
花粉も排気ガスもグラウンドの砂埃も浴びているだろう学ランでベッドに入りかけられている私の方が怒りたいのだが。
「てか、お前はそれでいいのか?」
「それで、って?」
「婚約。破棄していいの?」
「したいの?」
「聞いてるのは俺。質問で返すな」
司の言葉に、うーん、と考える。フリをした。
そんなの、嫌に決まってる。
ゲームとか関係なく、私は司が好きだ。婚約した当初から、ずっと。
けれど、これは言えないし、認めてはいけない。
ヒロインを見て、もし司の心が移り変わってしまったら。
司への恋心を抱え込んだままの私は、嫉妬に狂って取り返しのつかない何かをしでかしてしまうかもしれない。
そうなる前に、蓋をして、予防線を張らなければ。
司と私の、両方に。
「でも、ゲームの強制力っていうか、司もヒロインちゃんのこと、好きになっちゃうかもしれないから」
「絶対に?」
「わからないけど…でももし、そうなったら、私がどれだけ嫌がったところで、邪魔になっちゃうでしょう?」
「嫌なんだ?俺がヒロインとやらを好きになるのが」
「うん?」
なんだか誘導尋問されている気がして司を見ると、さっきまでベッドにもたれ掛かっていたはずの彼が、テーブルを挟んで反対側のソファに座る私の目の前まで来ていた。
いつの間に、と思う間もなく、背もたれに腕をついた司に顔を覗かれる。近い近い。
恥ずかしくて抱いていたクッションに顔を埋めようとしたが、司に取り上げられた。
ぽいっと背後のベッドに放り投げる。ああ、お気に入りのクッションなんだから、もっと丁寧に扱ってほしかった。
「俺は嫌だよ。お前以外の女とセックスするなんて」
「ちょっと!オブラート!!」
「いちいち包んでたらお前聞き流すだろ」
年頃の女の子に何て話をするんだ!と思いながらも、段々と司の顔が近づいてくるので思考が散らばる。
吐息さえも混じり合ってしまう程の距離まで来たところで、耐えきれずに両目を固く閉じた。
「待ってました、って言っていい?」
「つ、つかーーーんぅ」
名前を呼ぶ隙すら与えられず、唇が合わさる。
キスは初めてじゃない。
子どもの頃に、司と興味本位で何度かした。
けれど、意味のあるキスは初めてで。
啄むように、何度も、何度も司の唇がおちてきて、頭の中がまっしろになる。
「可愛いよ、カンナ。お前が好きだ。だからさーーー」
ヒロインとじゃなくて、お前と、したい。
「んなっ!?なななななにを!?」
吐息混じりの司の言葉に、けれど私は同じ様に言葉を返せない。
こんな時ばっかり、その無駄に良い声を発揮するのは卑怯だ。
頬がこれ以上ないくらい、熱い。
「結婚」
「へっ?」
「それ以外に俺と何すると思ったの?」
だって、あなたさっき何て言ってたよ!?
あまりのことに私はただ口をぱくぱくとさせるだけ。
対して司は自分の事は棚に上げて「カンナのえっちぃ」とニヤニヤしている。
軽く殺意が湧いたところで、もう一度唇が触れ合い、司の目が真剣味を帯びた。
「俺はお前以外と結婚する気はないし、他の女を抱く気もない。カンナ、お前は?」
「わ、たしも…司がいい。司じゃなきゃ、嫌だよ。婚約破棄してほしくない!」
「ん、よく言えました」
まるで子どもをあやすように、頭を撫でられる。唇は何度も触れ合い、それが相まって気持ちいい。
このまま溺れてしまいそうで、止めるよう司の肩を叩いたけれど、何故か彼はエスカレートした。
「あっ、ちょっ、どこ触っ!?」
「んー?意地っ張りカンナを素直にさせようと思って」
「誰が意地っ張りよ!あっ、あっ、ちょ!じゅ、18禁!!」
「お前なー、萎えるようなこと言ったって、ヤりたい盛りの男は止まらないよ?」
「止めなさいよ!!」
司ってこんなキャラだったっけ。
王子様と呼ばれ、パッケージでキラキラ笑顔を振りまいていた彼とは、似て非なるものだ。
「俺は、俺だよ。お前が前世とやらを思い出して、ゲームの桜丘カンナと違っていったように、俺は俺の考えで動いてるんだ。ゲームの皇上院司じゃない。好きな女を抱きたい、ただの男だ」
「…言ってることは腑に落ちてるけど、それって今はただヤりたいだけよね?」
「そうとも言うな。諦めろ」
「えええええ!」
桜丘カンナ。16歳。職業高校生、副業悪役令嬢改め皇上院司の婚約者。
ゲーム開始を待たずして、幸せになってしまいましたとさ。
めでたし、めでたし?
「そういや、ヒロインの名前は?」
「それがね、デフォルト名が決められてないのよ」
「…身体的特徴は」
「乙女ゲームよ?主人公なんてグラフィックに出るわけないじゃない。出ても手とかだけよ」
「…そんな曖昧な要素で、よくお前に勝てるなその女」
「それが乙女ゲームなの!」
「まぁでも、そいつが俺ルートを選んでなけりゃお前と俺が婚約してないわけだし、一応感謝しとかないとな」
「…それも、そう、ね?」
ヒロインが当て馬でいいのか。
疑問が残る賢者タイムであった。
どこで流行ってるの、そんな人生。なんて思っても、現実はそのまま。
私の名前は桜丘カンナ。16歳。職業高校生、副業悪役令嬢。長い黒髪に赤い瞳の、自分で言うのもなんだがお姉さん系美少女だ。しかし残念ながら高校卒業と同時にバッドエンド(私的に)を迎える。
ゲームの舞台はこれまたありきたりな、良家の子息子女ーー資産家や社長、芸能人など、納税ランキング上位者の子どもたちだーーが通う天聖学院。クラスに1~2名は特別学習生、略して特学生という偏差値激高の一般人がいて、ヒロインはその特学生。私が3年生になった年度に入学してくる。
ヒロインの攻略対象者は4人いるが、どのルートにも対象者の婚約者として現れるのが私だ。悪役というよりはライバルポジションか。
年下の女の子とガチで男の取り合いをし、敗れ、最後には「貴女には負けたわ…」なんて拍手しながら退場…できるか。負けたわって何なの。令嬢のプライドはどうした。
しかもこのゲーム、何をトチ狂ったのか18禁である。ヒロインが18歳に満たないのに18禁とはこれいかに。しかも婚約者がいる男性とにゃんにゃんするとか色々な点で倫理観が問われる。
令嬢側からしたら、まさに婚約者を寝取られているわけなのに、笑って拍手して退場とか、どれだけメンタル激強なのか。私なら発狂する。てかこれ私か。
そして今現在、私の婚約者であるのが、天聖学院高等部生徒会長、皇上院司。ヒロインめ、司ルートは王道じゃないか。
司はパッケージでセンターを飾る、王子様と呼ばれるポジションのキャラクターだ。栗色の髪と空色の瞳を備えた甘いマスクに、低めの色っぽい美声もつけてしまえば人気がでない方がおかしい。
まぁ、一時とはいえ、そんな人の婚約者でいられる事がもはや奇跡なのだから、笑って退場も致し方ない事なのかもしれないが。
「でもやっぱり拍手は無理だと思うのね」
「まぁ…そうだろうな」
放課後、私の部屋。二人きりで秘密の話をするにはもってこいのシチュエーションで、私は司にこの記憶のことを打ち明けていた。
ゲーム内ではどうだったかしらないが、幼い頃に婚約して以来、私と司は良好な関係を築いている。
親同士が決めた大人の事情もある婚約だし、ここからどうやって破棄に持っていくのか疑問に思わなくもない。
「だからね、司。そんな卒業パーティの最中に公衆の面前で婚約破棄とかしないで、もうちょっと先にオブラートに包みながら私だけに伝えてほしいわけ」
「破棄する前提かよ」
「ていうか、ヒロインちゃんと致す前にしっかり婚約破棄してよね。はっきり言って二股よ?最低よ?」
「しねぇよ!!てか俺に言うな俺に!」
司はせっかくの綺麗な顔を盛大に歪めながら、私のベッドに突っ伏した。
ちょっと。私だってベッドに入る時は制服脱いでるんだから、あなたも学ラン脱ぎなさい。
そう言ってやれば、司はまた物凄い顔をして「それが天然なら俺は怒る」と言った。
花粉も排気ガスもグラウンドの砂埃も浴びているだろう学ランでベッドに入りかけられている私の方が怒りたいのだが。
「てか、お前はそれでいいのか?」
「それで、って?」
「婚約。破棄していいの?」
「したいの?」
「聞いてるのは俺。質問で返すな」
司の言葉に、うーん、と考える。フリをした。
そんなの、嫌に決まってる。
ゲームとか関係なく、私は司が好きだ。婚約した当初から、ずっと。
けれど、これは言えないし、認めてはいけない。
ヒロインを見て、もし司の心が移り変わってしまったら。
司への恋心を抱え込んだままの私は、嫉妬に狂って取り返しのつかない何かをしでかしてしまうかもしれない。
そうなる前に、蓋をして、予防線を張らなければ。
司と私の、両方に。
「でも、ゲームの強制力っていうか、司もヒロインちゃんのこと、好きになっちゃうかもしれないから」
「絶対に?」
「わからないけど…でももし、そうなったら、私がどれだけ嫌がったところで、邪魔になっちゃうでしょう?」
「嫌なんだ?俺がヒロインとやらを好きになるのが」
「うん?」
なんだか誘導尋問されている気がして司を見ると、さっきまでベッドにもたれ掛かっていたはずの彼が、テーブルを挟んで反対側のソファに座る私の目の前まで来ていた。
いつの間に、と思う間もなく、背もたれに腕をついた司に顔を覗かれる。近い近い。
恥ずかしくて抱いていたクッションに顔を埋めようとしたが、司に取り上げられた。
ぽいっと背後のベッドに放り投げる。ああ、お気に入りのクッションなんだから、もっと丁寧に扱ってほしかった。
「俺は嫌だよ。お前以外の女とセックスするなんて」
「ちょっと!オブラート!!」
「いちいち包んでたらお前聞き流すだろ」
年頃の女の子に何て話をするんだ!と思いながらも、段々と司の顔が近づいてくるので思考が散らばる。
吐息さえも混じり合ってしまう程の距離まで来たところで、耐えきれずに両目を固く閉じた。
「待ってました、って言っていい?」
「つ、つかーーーんぅ」
名前を呼ぶ隙すら与えられず、唇が合わさる。
キスは初めてじゃない。
子どもの頃に、司と興味本位で何度かした。
けれど、意味のあるキスは初めてで。
啄むように、何度も、何度も司の唇がおちてきて、頭の中がまっしろになる。
「可愛いよ、カンナ。お前が好きだ。だからさーーー」
ヒロインとじゃなくて、お前と、したい。
「んなっ!?なななななにを!?」
吐息混じりの司の言葉に、けれど私は同じ様に言葉を返せない。
こんな時ばっかり、その無駄に良い声を発揮するのは卑怯だ。
頬がこれ以上ないくらい、熱い。
「結婚」
「へっ?」
「それ以外に俺と何すると思ったの?」
だって、あなたさっき何て言ってたよ!?
あまりのことに私はただ口をぱくぱくとさせるだけ。
対して司は自分の事は棚に上げて「カンナのえっちぃ」とニヤニヤしている。
軽く殺意が湧いたところで、もう一度唇が触れ合い、司の目が真剣味を帯びた。
「俺はお前以外と結婚する気はないし、他の女を抱く気もない。カンナ、お前は?」
「わ、たしも…司がいい。司じゃなきゃ、嫌だよ。婚約破棄してほしくない!」
「ん、よく言えました」
まるで子どもをあやすように、頭を撫でられる。唇は何度も触れ合い、それが相まって気持ちいい。
このまま溺れてしまいそうで、止めるよう司の肩を叩いたけれど、何故か彼はエスカレートした。
「あっ、ちょっ、どこ触っ!?」
「んー?意地っ張りカンナを素直にさせようと思って」
「誰が意地っ張りよ!あっ、あっ、ちょ!じゅ、18禁!!」
「お前なー、萎えるようなこと言ったって、ヤりたい盛りの男は止まらないよ?」
「止めなさいよ!!」
司ってこんなキャラだったっけ。
王子様と呼ばれ、パッケージでキラキラ笑顔を振りまいていた彼とは、似て非なるものだ。
「俺は、俺だよ。お前が前世とやらを思い出して、ゲームの桜丘カンナと違っていったように、俺は俺の考えで動いてるんだ。ゲームの皇上院司じゃない。好きな女を抱きたい、ただの男だ」
「…言ってることは腑に落ちてるけど、それって今はただヤりたいだけよね?」
「そうとも言うな。諦めろ」
「えええええ!」
桜丘カンナ。16歳。職業高校生、副業悪役令嬢改め皇上院司の婚約者。
ゲーム開始を待たずして、幸せになってしまいましたとさ。
めでたし、めでたし?
「そういや、ヒロインの名前は?」
「それがね、デフォルト名が決められてないのよ」
「…身体的特徴は」
「乙女ゲームよ?主人公なんてグラフィックに出るわけないじゃない。出ても手とかだけよ」
「…そんな曖昧な要素で、よくお前に勝てるなその女」
「それが乙女ゲームなの!」
「まぁでも、そいつが俺ルートを選んでなけりゃお前と俺が婚約してないわけだし、一応感謝しとかないとな」
「…それも、そう、ね?」
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疑問が残る賢者タイムであった。
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